“〆直”の読み方と例文
読み方割合
しめなほ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
見れば細君は稲扱いねこく手を休めた。音作の女房も振返つて、気の毒さうに省吾の顔を眺め乍ら、前掛を〆直しめなほしたり、身体の塵埃ほこりを掃つたりして、やがて顔に流れる膏汗あぶらあせを拭いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
も手早く〆直しめなほし三十六計逃るにしかじとすきを見合せひよいと身ををどらせて奴等がまたくゞぬけ表の方へ駈出すにヤレ逃すなと追駈おつかくるを表に待たる仲間の雲助共おつと兄イさううまゆくものかと捕へしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さて残つたのを捨てる訳にもいかず、犬に呉れるは勿体もつたいなし、元の竹の皮に包んで外套ぐわいたう袖袋かくしへ突込んだ。斯うして腹をこしらへた上、川船の出るといふ蟹沢を指して、草鞋わらぢひも〆直しめなほして出掛けた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)