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夫々
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それぞれ
ふりがな文庫
“
夫々
(
それぞれ
)” の例文
貴医御提出標記請求書中、左記患者に対し頭書の通り葡萄糖注射を行われあるも、右注射使用の理由具体的に
夫々
(
それぞれ
)
御回答
煩度
(
わずらわしたく
)
及照会候也
肝臓先生
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そうして置いて、残る二十何人が、もう一度、
夫々
(
それぞれ
)
受持区域を定めて、場内隈なく検べ廻ったが、どこの隅にも、人の影さえなかった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
現今のイギリスに於ける経済学者の最も優秀な人々は、
夫々
(
それぞれ
)
印度に在任した人たちばかりだとの事である。日本ではこれが満洲。
欧洲紀行
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
木彫の中にも色々変っているものがあるが、なる程、ああいうようにやるからああいう風に出来るのだということが見ると
夫々
(
それぞれ
)
分るのである。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
やがてこの飛行島の工事がおわり、彼等が
夫々
(
それぞれ
)
故国にかえった暁にはどうなりましょうか。この飛行島の秘密は、いやでも洩れてしまいます。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
彼にとっては、天国に昇ろうとまた地獄に落ちようとそれは何でもない事である、道中に於ける
夫々
(
それぞれ
)
の宿割に過ぎない。
赤い壺(二)
(新字新仮名)
/
種田山頭火
(著)
丁度大雨に遭っていた鶏が
夫々
(
それぞれ
)
雨宿りの下から濡れ羽を振って出て来たように。空は
黝
(
くろ
)
ずんでいる。平野は雨霧に暮れ、川は激しい勢で流れていた。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
時には又女匪自身が大家公館に
夫々
(
それぞれ
)
伝手
(
つて
)
を求めて入り込み凄い腕を振うこともある。
之等
(
これら
)
の女匪を
女子郎中
(
じょしろうちゅう
)
という。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それ自身異なる目的を抱くものが、
夫々
(
それぞれ
)
の希望をファッシズムに投影して、自己満足に陶酔しているのである。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
彼以外の人々は、此女に少しも注意を払って居ないらしく、
夫々
(
それぞれ
)
自分等の行く可き方向へ足を急がせた。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
夫々
(
それぞれ
)
うしろに一寸した包をくくりつけたままで、斜かいに頭を揃えて置いてあるのだが、その一台には、つつじの小鉢が古い
真田紐
(
さなだひも
)
で念入りにからげつけてあった。
乳房
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その葡萄酒の罎には
夫々
(
それぞれ
)
客の名前を書きつけて納つて置いて、毎晩夕食の時には出すのであつた。
ツーン湖のほとり
(新字旧仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
この中には全国の大図、中図、小図の三種類のものがありましたが、それらは
夫々
(
それぞれ
)
三万六千分の一、二十一万六千分の一、四十三万二千分の一の大いさに相当するものです。
伊能忠敬
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
各人各様、とはよくいったもの、馴れるに従って足の裏をみた丈で、いま入浴しているのは誰々——とハッキリいいあてることが出来るほど、
夫々
(
それぞれ
)
に特徴を持っているのです。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
勢ひ
已
(
やむ
)
を得ざるより身分に応じ
夫々
(
それぞれ
)
に物を出して施すもあり、力及ばぬ
輩
(
やから
)
は余儀なく党に加はるをもて、
忽
(
たちま
)
ち其の党多人数に至り、
軈
(
やが
)
て何町貧窮人と紙に書いたる
幟
(
のぼり
)
をおし立て
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
偖
(
さて
)
この噉蓄の事たるや、
夫々
(
それぞれ
)
宗旨社会に仏の制度、祖師の厳規のある有れば、元来政府より出令すべき事柄にあらざるに、遂に出令ありしは、その意旨を察するに、只僧侶に対し
洪川禅師のことども
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
多摩川上流の吉野谷等は、皆
夫々
(
それぞれ
)
特長を持っているものではあるが、秩父渓谷美の一斑は
略
(
ほぼ
)
紹介し得たと信ずるから、其他は次の機会を待つことにする。(大正一五、六『太陽』)
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
夫々
(
それぞれ
)
条件に註文があるのでありますから、勢い金になるとか、報酬を貰える書を書かなければならぬという立場上、仕方がないと思うのでありますが、そうでなく自分だけの嗜みで
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
言ふまでも無くそれは伊曾と劉子に関するものに
異
(
ちが
)
ひなかつた。そしてこれらの人々の観察はどれも
夫々
(
それぞれ
)
一面の真相と一面の反感に
依
(
よ
)
る大きな
歪
(
ゆが
)
みとを
有
(
も
)
つてゐるのに相違なかつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
序
(
つい
)
でに言って置きますが、それから十年後、すなわち1904年には日露戦争、それから又十年後の1914年には第一次世界大戦が
夫々
(
それぞれ
)
起ったので、非常に記憶し易い数字であるが
回顧と展望
(新字新仮名)
/
高木貞治
(著)
その当時は、先年亡くなられた坪内逍遙先生が学校(早稲田大学)にをられて学校出の青年は先生の推薦によつて
夫々
(
それぞれ
)
就職口を求めてゐた。私達もその一人である、先生よりの手紙に
札幌時代の石川啄木
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
云われるままに、皆は
夫々
(
それぞれ
)
拳銃
(
ピストル
)
を
取出
(
とりだ
)
し、いつでも射てるように
確
(
しっか
)
りと右手に握った。船長は血溜りを避けつつ片手に懐中電灯、片手に
拳銃
(
ピストル
)
を持って船内へ下りて行く、——
矢張
(
やは
)
り血だ。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其部分が発達して、滑稽な詠、をこな身ぶりに人を絶倒させる様な演芸が成立して居たものと思ふ。二首ながら、
夫々
(
それぞれ
)
の生き物のからだの癖を述べたり、愁訴する様を謳うたりして居る。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
やがて焼香も終つた頃、奥は部屋一杯に人立がして、
夫々
(
それぞれ
)
黙つて棺側を取り捲いて、中へいろんなものを入れたり出したりしてゐた。新しい木の匂と線香の匂とが人々の鼻につきまとつてゐた。
若芽
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
先便差出し申候しよふ婦(菖蒲)は皆々あり付申候よし、
夫々
(
それぞれ
)
に物も付(着)申候よし、其荷は赤岡村元作と申候ものゝにて候。此状もちて行くものニて御座候。めしをたいてもらい候者ニて候。
手紙:003 安政五年七月頃 坂本乙女あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
余は早速家屋会社へ掛け合い
夫々
(
それぞれ
)
の運びを附けた。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
この場合可哀相な老人を殺したものは果して
何人
(
なんぴと
)
でしょうか。自動車の運転手とM医師ともに、
夫々
(
それぞれ
)
責任のあることは云うまでもありません。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その門下又
夫々
(
それぞれ
)
各所に念仏を宣伝し、俊乗房重源は上の醍醐に無常臨時の念仏をすすめ七カ所に不断念仏を興立し念仏の事業
愈々
(
いよいよ
)
隆盛の勢を示したのは大原問答の後のことである。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
吃相の中の
収陋規
(
しゅうへいき
)
というのは何か不正な仕事をしようとする際に幇匪の親分が各方面へ
夫々
(
それぞれ
)
手附けをやって置くことで、探偵等の如きも幇匪に対しては滅多に手出しが出来ないのである。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……燃々と燃えさかる炎は、三人の心に
夫々
(
それぞれ
)
のかげをうつして、ゆらめいた。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そして二つの世界が
夫々
(
それぞれ
)
異った土と空と地平線とを持っているのだ。パノラマ館の外には確かに日頃見慣れた市街があった。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼等は
夫々
(
それぞれ
)
大使館の下級
吏員
(
りいん
)
に、或は大使邸の書生、下男などに変装して、大夜会場の内外を警戒する手筈になっていた。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
婚礼の飾り物をした、広い床の間を背景に、新郎新婦、
仲人
(
なこうど
)
、
夫々
(
それぞれ
)
の親達、待女郎などが、生けるが如く飾りつけてある。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかも、これらの呼び物が、黄金仮面の犯罪に、
夫々
(
それぞれ
)
特別の関係を持っていたのは誠に不思議な因果と云わねばならぬ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
(だが春泥が見つかって、彼が下手人であったとしても、又なかったとしても、
夫々
(
それぞれ
)
違った意味で、私の苦痛は一層深くなるかも知れないのだが)
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、都合三つの、寸分違わないメダルが揃うと、今度はその中へ、
夫々
(
それぞれ
)
、野本氏、井上氏、松村氏の写真を、顔の所だけ切り抜いて貼りつけた。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
成程、そういえば、五人の
拙
(
つたな
)
い裸女の蔭に、隠れるようにして、三人の生きた女が、
夫々
(
それぞれ
)
のポーズで蹲っていた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
博士と助手と六人の刑事とが、
夫々
(
それぞれ
)
手分けをして、たっぷり二時間程、まるで
煤掃
(
すすはき
)
のように、真黒になって天井裏や縁の下、庭園の隅々までも這い廻った。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
外
(
ほか
)
のものは皆
夫々
(
それぞれ
)
他国へ逃げたから、こうして逢えるのはお前一人だ。俺が所刑されたら、あとを
弔
(
とむら
)
ってくれよ
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、彼等が門を出て行った時間は、つまり彼等が
夫々
(
それぞれ
)
どれ程の間姉崎家に留まっていたかという事は、残念ながら全く知る
由
(
よし
)
がなかった。乞食はそれを見なかったのだ。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
無数の蛇の舌ともつれ合う
異形
(
いぎょう
)
の叢をかき分けて、先にも云った幾十幾百の螢が飛びかい、電燈の光域に入るに従って、
夫々
(
それぞれ
)
の不可思議な姿を、幻燈の絵の様に現します。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わしは何気なく、その場をつくろって、
匆々
(
そうそう
)
お開きにすることにした。来会者達は、大方は様子を察していたが、何事も口にせず、陰気な挨拶を交して、
夫々
(
それぞれ
)
家路についた。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この数字は、
夫々
(
それぞれ
)
マントルピースの彫刻の玉の順位を示しているものではないでしょうか。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私の外の人達も、皆
夫々
(
それぞれ
)
の感慨に耽っている様に見えた。そして、それは恐らく私のものと同じだったかも知れない。実際、この場合、そうとより他には考え方がないのだから。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この会長格の呉服屋さんの
外
(
ほか
)
の十六人の会員も、
夫々
(
それぞれ
)
一風変った人々でした。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夫々
(
それぞれ
)
の切口の恐ろしさ。何かしら白いものを中心にした真赤な輪であった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼等は
夫々
(
それぞれ
)
の仕方で、喜びの情を表わし、諸戸になついている様に見えた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夫々
(
それぞれ
)
一ヶ月の賃銀を計算して、山と積まれた給料袋の中へ、当日銀行から引出された、一番の支那鞄に一杯もあろうという、二十円、十円、五円などの
紙幣
(
さつ
)
を汗だくになって詰込んでいる最中に
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
浮世の
外
(
ほか
)
の楽園とは云え、殺人事件をそのままうっちゃって置く訳には行かぬ。
直
(
ただち
)
に土地の警察へ人が走り、間もなく裁判所から、警察署から、
夫々
(
それぞれ
)
係官がやって来て、型の如く取調べが行われた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夫
常用漢字
小4
部首:⼤
4画
々
3画
“夫”で始まる語句
夫
夫婦
夫人
夫子
夫程
夫等
夫故
夫迄
夫鳥
夫君