“器(き)” の例文
そのとき汽車はだんだんしずかになって、いくつかのシグナルとてんてつ器(き)の灯(あかり)を過ぎ、小さな停車場(ていしゃば)にとまりました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
而(しか)も景隆の器(き)の小なる、能の功を成すを喜ばず、大軍の至るを俟(ま)ちて倶(とも)に進めと令し、機に乗じて突至せず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
もっともその間に、遊廓の窓だの、囲いものの小座敷だの、かねて照準を合わせた処を、夢中で覗(のぞ)く事を忘れない。それにこの器(き)は、新式精鋭のものでない。
この問答は孔子によって器(き)とせられた(公冶長四)子貢、弁舌智慧の優れたるがために「仲尼より賢(まさ)れり」(子張二三)とさえうわさせられた子貢が相手なのである。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
また腕(うで)には腕環(うでわ)、指(ゆび)には指環(ゆびわ)をつけ、足(あし)には金(きん)めっきした美(うつく)しい銅(どう)の靴(くつ)が添(そ)へてあるばかりでなく、この墓(はか)からは支那(しな)から渡(わた)つた銅器(どうき)、がらす器(き)の類(るい)をはじめ、馬具(ばぐ)、刀劍(とうけん)
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「きよは、力(ちから)がないのね。もっとかきまわさなければ、だめなのよ。私(わたし)に、おかしなさい。」と、あわだて器(き)をひったくって、お姉(ねえ)さんは、ガリ、ガリ、ガリと、すさまじい音(おと)をたて
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
故(ゆゑ)に王公大人(わうこうたいじん)より、能(よ)く之(これ)を(三〇)器(き)とせざりしなり。
沈める音(おと)の絃(いと)の器(き)に、桛(かせ)をかけたる思にて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
扇(あふぎ)にて麾(さしま)ねき、實(げ)に頼(たの)もしき器(き)
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「君子(くんし)は器(き)ならず」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
その器(き)その徳その才があるのでなければどうすることも出来ない乱世に生れ合せた人の、八十ごろの齢(とし)で唐松の実生を植えているところ、日のもとの歌には堕涙(だるい)の音が聞える。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
沈める音(おと)の絃(いと)の器(き)に、桛(かせ)をかけたる思にて
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
方(はう)の大將(たいしやう)ともなすべき器(き)
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
素(もと)より相(あい)善(よ)からざるの私(わたくし)ありしに因(よ)るとは云え、又実に卓の才の大にして器(き)の偉なるを忌(い)みたるにあらずんばあらず。道衍の忌むところとなる、卓惟恭(たくいきょう)もまた雄傑の士というべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
事敗れて之(これ)を吾(わ)が徳の足らざるに帰し、功成って之を数の定まる有るに委(ゆだ)ねなば、其(その)人(ひと)偽らずして真(しん)、其器(き)小ならずして偉なりというべし。先哲曰(いわ)く、知る者は言わず、言う者は知らずと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)