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くちがき
ふりがな文庫
“
口書
(
くちがき
)” の例文
十六日の
口書
(
くちがき
)
、三奉行の
権詐
(
けんさ
)
、
吾
(
われ
)
を
死地
(
しち
)
に
措
(
お
)
かんとするを知り、
因
(
よ
)
ってさらに生を
幸
(
こいねが
)
うの心なし、これまた
平生
(
へいぜい
)
学問の
得
(
とく
)
か
然
(
しか
)
るなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
所詮町奉行所の
白洲
(
しらす
)
で、表向の口供を聞いたり、役所の机の上で、
口書
(
くちがき
)
を讀んだりする役人の夢にも窺ふことの出來ぬ境遇である。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「いや、かほどの功を、左様に
誇称
(
こしょう
)
されては面目がありません。郁次郎から自白の
口書
(
くちがき
)
をとった上は、すぐに、江戸表へさし立てましょう」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「此儘泣寢入りしては、人間の道に反きます。金兵衞とやらの
口書
(
くちがき
)
を持參して瀧の口評定所へ驅け込み訴へをいたしませう」
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
願ひしかば程なく
檢使
(
けんし
)
の
役人
(
やくにん
)
入來
(
いりきた
)
りて
疵所
(
きずしよ
)
を改め家内の
口書
(
くちがき
)
をとり何ぞ心當りはなきやと
尋
(
たづ
)
ねの時右彦兵衞が事を
委細
(
ゐさい
)
に申立しにぞ
是
(
これ
)
又
(
また
)
町所
(
ちやうところ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
養生所の印をついた届書と、差配や長屋の人たちの
口書
(
くちがき
)
とで幸い町方のほうは
咎
(
とが
)
めなしに済んだが、それには一つの代償を払わなければならなかった。——というのは。
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時、彼は掛りの役人から
口書
(
くちがき
)
を読み聞かせられたので、それに相違ない
旨
(
むね
)
を答えると、さらに判事庁において先刻の陳述は筆記書面のとおりに相違ないかと再応の
訊問
(
じんもん
)
があった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
辻番の一人は、矢立と紙を出して、お蝶の
口書
(
くちがき
)
を取ろうとするものらしい。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わかってるじゃねえか、
顎化
(
あごばけ
)
と一騎打ちに行くのだ。……
口書
(
くちがき
)
も
爪印
(
つめいん
)
もあるものか、どうせ、
拷問
(
いた
)
めつけて突き落したのにちげえねえ。……ひとつ、じっくりと調べあげて、ぶっくらけえしてやろう。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一、この回の
口書
(
くちがき
)
、はなはだ草々なり。
留魂録
(新字旧仮名)
/
吉田松陰
(著)
所詮
(
しょせん
)
町奉行の
白州
(
しらす
)
で、表向きの
口供
(
こうきょう
)
を聞いたり、役所の机の上で、
口書
(
くちがき
)
を読んだりする役人の夢にもうかがうことのできぬ境遇である。
高瀬舟
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
率八の話を
綜合
(
そうごう
)
してみると、それは尾州家の若殿徳川万太郎が秘持していた「
御刑罪
(
おしおき
)
ばてれん
口書
(
くちがき
)
」の
綴文
(
とじもの
)
に相違ない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聞
(
きゝ
)
母子諸共
(
おやこもろとも
)
先番屋へ
引上
(
ひきあげ
)
勘兵衞が後家の家主を
呼
(
よび
)
段々
(
だん/\
)
掛合
(
かけあひ
)
の上屆に及びしかば
檢使
(
けんし
)
出張
(
しゆつちやう
)
にて勘兵衞
後家
(
ごけ
)
并
(
ならび
)
に太七が
口書
(
くちがき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
つれて來るが宜い。多分まだ
口書
(
くちがき
)
を取つちや居ないだらう。主人の勝藏と内儀のお元もつれて來ると有難いが——
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一、この回の
口書
(
くちがき
)
甚だ草々なり。七月九日一通申立てたる後、九月五日、十月五日両度の呼出しも、差したる
鞠問
(
きくもん
)
もなくして、十月十六日に至り、口書読み聞かせありて、直ちに
書判
(
かきはん
)
せよとの事なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
明け方から根気よく、納屋蔵に
籠
(
こも
)
って責めていた東儀与力は、
口書
(
くちがき
)
を引っ
掴
(
つか
)
んで、羅門のいる役室へ飛び出して来た。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斯
(
かく
)
て其
翌朝
(
よくてう
)
淺草諏訪町へ
檢使
(
けんし
)
の役人出張相成老母の
死骸
(
しがい
)
を
篤
(
とく
)
と吟味ありてお菊を始め同長屋の者の
口書
(
くちがき
)
を取お菊を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大抵のお
白洲
(
しらす
)
では、筋書通りそれを繰り返して
口書
(
くちがき
)
拇印
(
ぼいん
)
を取り、最後の言ひ渡しをするだけであつたのです。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その日の
酉
(
とり
)
の
下刻
(
げこく
)
に、
上邸
(
かみやしき
)
から
見分
(
けんぶん
)
に来た。徒目附、
小人
(
こびと
)
目附等に、
手附
(
てつけ
)
が附いて来たのである。見分の役人は三右衛門の女房、伜宇平、娘りよの
口書
(
くちがき
)
を取った。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
また、金吾が取返してくると言って出た、かの洞白の面箱と、その底に秘めておいた「
御刑罪
(
おしおき
)
ばてれん
口書
(
くちがき
)
」の
綴文
(
とじもの
)
の行方も、何とも気がかりでならない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
繩を打つたのはこの俺で、
口書
(
くちがき
)
を取つたのは笹野の旦那だから、一應は話をして置かなきやア
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
酒井家から役人が来て、三人の
口書
(
くちがき
)
を取って忠学に復命した。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
当夜の押込み五人組の強賊の——かおだちや年頃やらが、山善の召使や、重傷を負った夫婦の
口書
(
くちがき
)
などにより、かなりな
輪廓
(
りんかく
)
が、それには、浮かび出ている。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さうか、太い奴があるものだな。直ぐ
口書
(
くちがき
)
を取つて、奉行所へ引いて行け。皆の者、御苦勞であつた。別して世之次郎は氣の毒だ。三之助が
跡目
(
あとめ
)
相續濟んだ上は、よく世話をしてやるがいゝ」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「でも、吟味はすべて、江の島の方で済まし、自白の
口書
(
くちがき
)
まで取った上に護送したのでございますから」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殺された美人
婆惜
(
ばしゃく
)
の
情夫
(
いろ
)
の
張文遠
(
ちょうぶんえん
)
(張三)である。——彼はすすんで事件の捜査係を買って出、兇行現場の死体調べから近所衆の
口書
(
くちがき
)
あつめまで手を廻していた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
面箱の底へ
秘
(
ひ
)
しておいた、「ばてれん
口書
(
くちがき
)
」の一
帖
(
じょう
)
も、ぜひ、何とかして取り返さなければならない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは二月十四日の
黄昏
(
たそがれ
)
で、その夜は六波羅問罪所で、ひと晩、彼自身が源氏の
端
(
はし
)
くれでもあるので、取調べをうけたり
口書
(
くちがき
)
を取られていたものとみえ、九条へは帰って来なかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
取調べの
口書
(
くちがき
)
によると、彼は捕われる幾日かまえに酒の上であろうが、妻に向って
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口書
(
くちがき
)
を取って、さらに、孔明は魏延や高翔を呼出して、一応の調べをとげ、最後に
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どんな僧でも、ここの玉砂利に引き据えられれば、一応の答えはしているのに、小野の文観ひとりは、空うそぶいて、
口書
(
くちがき
)
一つ取らせず、役人たちでは、どうにも手におえなかった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
形式
(
かたち
)
ばかりの
口書
(
くちがき
)
にて、即刻、切腹仰せ付けられ、相手方の上野介には、却って、御賞美のお沙汰とは、余りに、異様なお裁きのように心得られ、世上の論議もいかがかと、心痛にたえませぬ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おきまりの
拷問
(
ごうもん
)
となった。たちまちに
唸
(
うめ
)
きの下、凄惨、目もくらむばかりな鮮血が白洲を染め、絶叫がつづく。そしてついに、心にもなき
口書
(
くちがき
)
が取られ、その夕すぐ死刑囚の大牢へ送りこまれた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口書
(
くちがき
)
の筆をとれ——という意味である。それから改まって
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“口書”の意味
《名詞》
江戸時代法廷で訴訟の当事者の口述を記録した書面。
(出典:Wiktionary)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
“口書”で始まる語句
口書爪印
口書書
口書拇印