いご)” の例文
らにこんで爺樣ぢさまでえ借金しやくきんけねえでんだからそれせえなけりやかねえでもへんだよ、そんだがそれでばかりいごれねえな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「もっともこの前のあの騒ぎがあるからね。途中で汽缶かまへ穴がいていごけなくなる汽車なんだから、全くのところ心細いにゃ違ない」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
多「圓次どんかえ、なんにねえおらア元村まで往ったけえりだが、己ア青が此処で急にいごかなくなって、っても叩いてもあといべえ退さがって困るだ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ビイルをひやせだ事のと、あの狭い内へ一個ひとりで幅をやがつて、なかなかいごきさうにも為ないんぢやありませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いごかせるばかりで辛抱さえしていれア、それでよかったんだが、自分で一軒の店を張って行くことになって見るてえと、そうは行かねえ。気苦労が大したもんだ。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ハッハッハッハッ……あばれちゃ……いかん……ハッハッハッハッ……いごいちゃ……」
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この寒にエットからだいごかして見なさい、それこそか病気も出て来ます。風邪かぜはじいと寝ておると、なおるもんじゃ。武は年が若かでな。医師いしゃをかえるの、やれ転地をすッのと騒ぎす。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
いごくなあ、此處こゝぼうあつた、そうらこれでもつてろ、くんぢやねえぞ、ねえなかんだかんな、くとおとつゝあにあつぷつておこられつかんな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
月が替ってからえらく寒くなりやした、なにねえ元村まで小麦い積んで往ったけえり、庚申塚まで来ると馬が退しさっていごかねえで困っている所へ、圓次どんが通り掛け
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんぼ因業いんごうだって、あんな因業な人ったらありゃしないよ。今日が期限だから、是が非でも取って行くって、いくら言訳をいっても、すわり込んでいごかないんだもの。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さう? でも、何処どこも悪い所なんぞ有りはしません。あんまり体をいごかさないから、その所為せゐかも知れません。けれども、この頃は時々気がふさいで鬱いでたまらない事があるの。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いごいちゃイカンイカン。中野さん。助けます助けます……いごいちゃ……イカン……」
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
えんとしてろ、いごくんぢやねえぞいごくとぽかあんとほりなかおつこちつかんな、そうらけえるぽかあんとおつこつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
みんばちだ、おめえのいう事がみんな間違っているから、宜く考えて見な、此の間帰った時何と云った、馬をわしが引けばいごかず、圓次郎が引けばいごくと云ったじゃないか
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まあ昨夕ゆうべの恐ろしさったら、そりゃ御話にも何にもならないんだよ、二郎。この柱がぎいぎいって鳴るたんびに、座敷が右左にいごくんだろう。そこへ持って来て、あのなみの音がね。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼奴あいつト通りの奴じゃアありませんから、襤褸褞袍ぼろどてらを女に着せて、膏薬を身体中へ貼り付けて来て、いごけねえから此方こっちうちへおいて重湯でもすゝらせてくれろと云って
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だけど大将いくら何といっても、すわり込んでいごかないんだからね、仕方がない。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
由「おッぺしちゃアあぶねえ、いごくよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)