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分厚
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ぶあつ
ふりがな文庫
“
分厚
(
ぶあつ
)” の例文
スカンディナヴィアの
田舎
(
いなか
)
には恐ろしくがんじょうで
分厚
(
ぶあつ
)
でたたきつけても割れそうもないコーヒー茶わんにしばしば出会った。
コーヒー哲学序説
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
地面がつきて水となってる所に、
分厚
(
ぶあつ
)
な錠前と三つの太い
肱金
(
すじかね
)
とのついてる大きな低い円形の
鉄格子
(
てつごうし
)
を、彼は認めたのだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
といっても、
分厚
(
ぶあつ
)
な
蓋
(
ふた
)
がへだてているのでその
意味
(
いみ
)
はわからないが、なにせよ、人間の声がうずまいているのは
想像
(
そうぞう
)
される。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その火鉢は幾分か背を高くかつ
分厚
(
ぶあつ
)
に
拵
(
こしら
)
えたものであったけれども、大きさから云うと、
普通
(
なみ
)
の箱火鉢と同じ事なので二人向い合せに手を
翳
(
かざ
)
すと
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
乏しい光を集めて、
分厚
(
ぶあつ
)
な刀身は、ぎらり、と光った。
憑
(
つ
)
かれた者のように、吉良兵曹長は、刀身に見入っていた。不思議な殺気が彼の全身を包んでいた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
第二の用途はこれで雨も
凌
(
しの
)
ぐが、同時に荷物を背負う目的から出来る。それ故背中の部分が念入りに編んであったり、また丈夫な材料を
分厚
(
ぶあつ
)
く用いたりする。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
あて名は倉地だったけれども、その中からは木村から葉子に送られた
分厚
(
ぶあつ
)
な手紙だけが封じられていた。それと同時な木村の手紙があとから二本まで現われ出た。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
青年は黒のソフトを
前踣
(
まへのめ
)
りに冠つてマントを着てゐたが、
口髯
(
くちひげ
)
を短かく刈込んで、黒いたつぷりした髪が頸や揉上げに盛りあがるやうな
分厚
(
ぶあつ
)
さでつや/\してゐた。
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
頭髪
(
かみ
)
は
項
(
うなじ
)
の
辺
(
あたり
)
で
切
(
き
)
って
背後
(
うしろ
)
に
下
(
さ
)
げ、
足
(
あし
)
には
分厚
(
ぶあつ
)
の
草履
(
ぞうり
)
を
突
(
つ
)
かっけ、すべてがいかにも
無造作
(
むざうさ
)
で、どこをさがしても
厭味
(
いやみ
)
のないのが、むしろ
不思議
(
ふしぎ
)
な
位
(
くらい
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その時のガラス板の向側に密着した彼等の
貪婪
(
どんらん
)
なる
分厚
(
ぶあつ
)
の脣は、丁度婦女子を脅迫するならず
者
(
もの
)
の、つばきに
汚
(
よご
)
れ、ねじれ曲ったそれの様で、それから来るある
聯想
(
れんそう
)
に
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「パンを
一片
(
ひときれ
)
下さいませんか。私、大變お
腹
(
なか
)
が空いてゐるのです。」彼は
呆氣
(
あつけ
)
にとられて、私を見たが、返答もせずにパンの
塊
(
かたまり
)
を
分厚
(
ぶあつ
)
に切つて、私に呉れたのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一楽
(
いちらく
)
の
上下
(
にまい
)
ぞろい
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
に岩丈な金鎖をきらめかせ、
右手
(
めて
)
の指に
分厚
(
ぶあつ
)
な金の
指環
(
ゆびわ
)
をさし、あから顔の目じり著しくたれて、左の目下にしたたかなる
赤黒子
(
あかぼくろ
)
あるが
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
まぐろの食い方に
雉子
(
きじ
)
焼きというのがある。これはまぐろの砂摺りを皮ごと
分厚
(
ぶあつ
)
に切って付け焼きにするのである。体中で一番脂肪に富んだところであるから、焼くのがたいへんだ。
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
猛獣を容れる
檻
(
おり
)
の如く暗黒に
分厚
(
ぶあつ
)
に造られた電車が、何台も何台もぶうッ、ぶうッと警笛を鳴らしつゝ大阪の方から走って来て沢山の乗客を吐き出して、入れ代りに多勢の人数を積み込むと
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
膝小僧がともすると覗き出しそうになるので、両手で着物の前を押えて、ぴしゃんこに坐って一息ついていると、久保田さんはふと、藁で
分厚
(
ぶあつ
)
に編んだその深編笠の中で、
白々
(
しらじら
)
とした気持になった。
人の国
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
けれどもまた恐ろしく
分厚
(
ぶあつ
)
に書き上げた著作で、上下二巻を通じて千五百頁ほどある大冊子だから、四五日はおろか一週間かかっても楽に読みこなす事はでき
悪
(
にく
)
い。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
部隊部隊の旗じるし
馬簾
(
ばれん
)
などを見ても、また勝頼の前後をかためてゆく旗本たちの
分厚
(
ぶあつ
)
な鉄騎隊を見ても、甲軍衰えたりとは、どこからも見えなかった。殊に、大将
伊那
(
いな
)
四
郎
(
ろう
)
勝頼
(
かつより
)
の面上には
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
分厚
(
ぶあつ
)
なもの、
頑丈
(
がんじょう
)
なもの、健全なもの、それが日常の生活に即する器である。手荒き取扱いや
烈
(
はげ
)
しい暑さや寒さや、それらのことを悦んで忍ぶほどのものでなければならぬ。病弱ではならない。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
鉄のような
分厚
(
ぶあつ
)
な
欅
(
けやき
)
の一枚戸。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
厚
常用漢字
小5
部首:⼚
9画
“分”で始まる語句
分
分明
分別
分限
分際
分娩
分捕
分限者
分銅
分疏