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冬季
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とうき
それで一
切の
草木は
土と
直角の
度を
保つて
居る、
冬季の
間は
土と
平行することを
好んで
居た
人も
鐵の
針が
磁石に
吸はれる
如く
土に
直立して
各自に
手に
農具を
執る。
此の
時凡ての
樹木やそれから
冬季の
間にはぐつたりと
地に
附いて
居た
凡ての
雜草が
爪立して
只空へ/\と
暖かな
光を
求めて
止まぬ。
土がそれを
凝然と
曳きとめて
放さない。
其の
所有であり
得るのは
作物が
根を
以て
田や
畑の
土に
立つて
居る
間のみである。
小作料を
拂つて
畢へば
既に
手をつけられた
短い
冬季を
凌ぐ
丈けのことがともすれば
漸くのことである。