兩手りようて)” の例文
新字:両手
先刻せんこくたきのやうに降注ふりそゝいだ雨水あめみづは、艇底ていてい一面いちめんたまつてる、隨分ずいぶん生温なまぬるい、いやあぢだが、其樣事そんなことは云つてられぬ。兩手りようてすくつて、うしのやうにんだ。
そのさまにもひきかせたきことおほくあれどくちよりいはヾまたみヽ兩手りようてなるべし、不思議ふしぎゑんのないひとゑんがあるか馬鹿ばからしきほどいてゆくがやな氣持きもち
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たい容顏きりようほうなれども、いかにもいかにもの田舍風いなかふう午房縞ごぼうじま綿入わたいれにろんなく白木綿しろもめんおびあを毛布けつとひざしたに、まへこゞみにりて兩手りようてかしらをしかとおさへし。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『サンガローまち——おつかさん、わたくしいへ彼處あそこにあるんですねえ。』と少年せうねん兩手りようて鐵欄てすりうへせて
愉快ゆくわい々々。』とわたくし兩手りようてげた。櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ微笑びせうびてわたくしむか
なにやらん大袋おほぶくろ兩手りようてかゝへてかゝさんかゝさんこれをもらつてたと莞爾につことしてむに、れば新開しんかいやがかすていら、おや此樣こんいお菓子くわしれにもらつてた、よくおれいつたかとへば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)