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兩手
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りようて
先刻瀧のやうに
降注いだ
雨水は、
艇底に
一面に
溜つて
居る、
隨分生温い、
厭な
味だが、
其樣事は云つて
居られぬ。
兩手に
掬つて、
牛のやうに
飮んだ。
園さまにも
言ひきかせたきこと
多くあれど
我が
口よりいはヾ
又耳に
兩手なるべし、
不思議に
縁のない
人に
縁があるか
馬鹿らしきほど
置いてゆくが
嫌やな
氣持と
一
體の
容顏好い
方なれども、いかにもいかにもの
田舍風、
午房縞の
綿入れに
論なく
白木綿の
帶、
青き
毛布を
膝の
下に、
前こゞみに
成りて
兩手に
頭をしかと
押へし。
『サンガロー
街——おつかさん、
私の
家も
彼處にあるんですねえ。』と
少年は
兩手を
鐵欄の
上に
載せて
『
愉快々々。』と
私は
兩手を
擧げた。
櫻木海軍大佐は
微笑を
帶びて
私に
向ひ
何やらん
大袋を
兩手に
抱へて
母さん
母さんこれを
貰つて
來たと
莞爾として
驅け
込むに、
見れば
新開の
日の
出やがかすていら、おや
此樣な
好いお
菓子を
誰れに
貰つて
來た、よくお
禮を
言つたかと
問へば