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やさおとこ
ふりがな文庫
“
優男
(
やさおとこ
)” の例文
正司と常友は幼児から菓子屋と料亭へ小僧にあがった根からの町人で腕が立つとも思われませんし、幸平も武道には縁のない
優男
(
やさおとこ
)
。
明治開化 安吾捕物:11 その十 冷笑鬼
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「いま帰って来たところだ。……甲府は風が荒いでな、おれのような
優男
(
やさおとこ
)
は住み切れねえ。……おい、またしばらく厄介になるぞ」
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「そう言うお前さんは、真三郎さんという
優男
(
やさおとこ
)
の本色を失って、どうやら、金蔵さんとやらの不良が乗りうつっているようです」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同じサーカスで奇術に出ていた
優男
(
やさおとこ
)
なんですが、今
上海
(
シャンハイ
)
で興業しているんです。伯爵は無論そんな男のあることは知らないし。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
これでも
鬚
(
ひげ
)
を剃ると惚れ惚れするような
優男
(
やさおとこ
)
だぞ……手品の手伝いみたいなものを遣っているうちに、困った事が出来た。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
主人の六兵衛は
呆気
(
あっけ
)
に取られました。一人娘のお美代を殺したのは、一番忠実らしい顔をしていた
優男
(
やさおとこ
)
の谷五郎とは思いも寄らなかったのです。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
色の
生青
(
なまあお
)
い
優男
(
やさおとこ
)
であるが、その眼は、二枚の
剃刀
(
かみそり
)
のように、不気味に鋭い。ひょろりと背の高いのが、一種病的な感じだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
成るほど此の男は
一廉
(
ひとかど
)
の大名らしい品格と
貫禄
(
かんろく
)
とを備えているけれども、何だか
優男
(
やさおとこ
)
じみていて、二萬の大軍に号令する武門の
棟梁
(
とうりょう
)
の威風がない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
案外な
優男
(
やさおとこ
)
である。後醍醐や尊氏や、あんな烈しい戦乱期の人々をほとんど弟子視して、自由に生きとおした一禅人は、こんな柔和な人だったのか。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
息子の幸吉は、三十近い、色の
生
(
なま
)
っ
白
(
ちろ
)
い
優男
(
やさおとこ
)
である。
父親
(
おやじ
)
の
命令
(
いいつけ
)
を取り次いで、大勢の下女下男に雑用の下知を下しながら仔猫のように
跳
(
と
)
び廻っていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
美妙が私と同齢の青年であるとは前から聞いていたが、私の
蓬頭垢面
(
ほうとうこうめん
)
に
反対
(
ひきか
)
えてノッペリした
優男
(
やさおとこ
)
だったから少くも私よりは二、三歳
弱齢
(
としした
)
のように見えた。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
老若
混
(
まじ
)
えて十二人の武士がずらりと室に並んでいた。
頬髯
(
ほおひげ
)
を生やした厳しい顔、
青黛
(
せいたい
)
美しい
優男
(
やさおとこ
)
、
眉間
(
みけん
)
に太刀傷をまざまざと見せた戦場生残りらしい
老士
(
おいざむらい
)
。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
旅館の方には、お島より二つ年下の娘の外に、里から来ている女中が三人ほどいたが、始終帳場に坐っている、色の小白い面長な
優男
(
やさおとこ
)
が、そこの主人であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
男ぶりといい
人品
(
ひとがら
)
といい、花の
顔
(
かんばせ
)
月の眉、
女子
(
おなご
)
にして見まほしき
優男
(
やさおとこ
)
だから、ゾッと身に
染
(
し
)
み
何
(
ど
)
うした風の
吹廻
(
ふきまわ
)
しであんな綺麗な
殿御
(
とのご
)
が
此処
(
こゝ
)
へ来たのかと思うと
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
なん
)
でも明治三十年代に
萩野半之丞
(
はぎのはんのじょう
)
と言う
大工
(
だいく
)
が一人、この町の
山寄
(
やまよ
)
りに住んでいました。萩野半之丞と言う名前だけ聞けば、いかなる
優男
(
やさおとこ
)
かと思うかも知れません。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山田より前だのあとだのと
論
(
あげ
)
つらわれたり、幸田露伴の「五重の塔」や「
風流仏
(
ふうりゅうぶつ
)
」に、ぐっと前へ出られてしまってはいたが、美妙斎の
優男
(
やさおとこ
)
に似合ぬ闘志さかんなのが
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
伊田見男爵と名乗る
優男
(
やさおとこ
)
が、村の一小学教師をたずねて、この牛久沼畔へ出現ましました。
沼畔小話集
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
どんな
優男
(
やさおとこ
)
かと思っていたらそれが鬼将軍のような男性美の持主であったのである。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その泰平は
的
(
あて
)
にならない気がした頃のことだ、色の白い、骨細の
優男
(
やさおとこ
)
の宮内より、
逞
(
たくま
)
しい体をもって、力も人並以上あり、
起居
(
たちい
)
も雄々しい慎九郎の方が、治部太夫の娘の気に入った。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
西蔵
(
チベット
)
産の蛇酒の空瓶が並んでいるし、壁には
優男
(
やさおとこ
)
の役者の黄金台の画が貼ってあるし、いや、それより、何より参木の着ているこの蒲団は、もう男たちの首垢で今はぎらぎら光っているのだった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
全くその通り、どう見直しても、眼前にいるこの男は、自分が
一途
(
いちず
)
に想像して来たような、
生白
(
なまっちろ
)
い
優男
(
やさおとこ
)
ではありませんでした。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
女房たちは
勿論
(
もちろん
)
それに気が付いていたのであるが、今の場合北の方に
憚
(
はゞ
)
かって、此の
優男
(
やさおとこ
)
の噂をするのを差控えながら、心の中では左大臣と比較して
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
優男
(
やさおとこ
)
というと当らない、男おんなもチトへんかな、つまり女にもみまほしき男子なのである。そうはいっても顔がきれいだとかなんとかいうのではない。
南部の鼻曲り
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「いやいや、十郎左は、あのような
優男
(
やさおとこ
)
でござるが、酒は、したたかに
飲
(
や
)
りまするぞ。伝右殿、お逃がしあるな」
べんがら炬燵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たかが神尾一人ではないか、
捜索隊
(
そうさくたい
)
は一たい何をしている! が、それにしても、あの
優男
(
やさおとこ
)
の喬之助めが、かかる剣腕の所有者であるとは知らなかった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
六兵衛を引っ立てて、飛んで行ってみると、お雛を小脇に抱えた手代の重三、女のような
優男
(
やさおとこ
)
に似気なく八五郎を大地に叩き付けて、起き上がろうとするのへ
匕首
(
あいくち
)
が——。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尾越は女のような
優男
(
やさおとこ
)
だ。顔ばかりでなく、悪人だがどこか優しいところがあるとみえて一仕事やるとね、早速ニュースに出た哀れな家庭へ現われて、ほどこして行くんだ。
深夜の客
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
オレもフランケンには三四度会って話をしたことがあるが、好男子で、大そう如才がなくて、鼻筋も唇も目も、顔全体がみんな薄々とした
優男
(
やさおとこ
)
だな。この顔相はロベスピエールに似ているぜ。
明治開化 安吾捕物:02 その一 舞踏会殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
武骨かというに武骨ではなく、柔弱に見えるほどの
優男
(
やさおとこ
)
。そうして風流才子であった。彼は文学が非常に好きで、わけても万葉の和歌を愛した。で今度の三崎行も西行を気取っての
歌行脚
(
うたあんぎゃ
)
であった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一廉
(
ひとかど
)
の人物のように言い
囃
(
はや
)
された能登守、それをこうして見ると、振られて帰る可愛い
優男
(
やさおとこ
)
としか思われないのであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すらっとして
優男
(
やさおとこ
)
で、何よりも、その顔だ。じつに美男で——美男というと、いやにのっぺりしているように聞こえるが、のっぺりしていない美男なのだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『伝右どの、十郎左はあのような
優男
(
やさおとこ
)
でござるが、酒はしたたかに
飲
(
や
)
りまするぞ。御用捨あるな』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前科七犯の小男で、ナデ肩の
優男
(
やさおとこ
)
だという。
安吾巷談:05 湯の町エレジー
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
髪は
惣髪
(
そうはつ
)
に結んであるので、一見、女にも見まほしいといったような
優男
(
やさおとこ
)
には見えるが、そこに、なんとなく稜々たる気骨の犯し難きものを、白雲が見て取りました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それこそしんとんとろりと油壺から抜け出て来たような容貌自慢の
優男
(
やさおとこ
)
が、
風流紅彩色姿絵
(
ふうりゅうべにいろすがたえ
)
そのままの衣裳を
凝
(
こ
)
らして、ぞろりぞろりと町を練り歩いたもので、決して五尺の男子が
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こう言いながらこの場へ駈け込むようにしたのは、旅の姿はしているがつやつやしい
優男
(
やさおとこ
)
。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
優
常用漢字
小6
部首:⼈
17画
男
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“優”で始まる語句
優
優雅
優形
優美
優婆塞
優婉
優渥
優曇華
優劣
優善