こん)” の例文
れはこん明治二十四年から六百六十三年ぜんのことで、又祥瑞五郎太夫しょんずいごろだゆう頃になりまして、追々と薄作の美くしい物も出来ましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
朝比奈山にかかると、同行のY君が「ここの峠は、こんちゃん(日出海氏)が銀座から深夜帰る途中、きっと車から降りて小便する所です」
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜって、いくら容易やさしい字でも、こりゃ変だと思って疑ぐり出すと分らなくなる。この間も今日こんにちこんの字で大変迷った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夕方、久し振りでこんさんも、ステッキを振りながらおいで下さったが、主人が不在なので、じつにお気の毒に思った。
十二月八日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そしてさくの知識はこんすでに非なるが常である。人は地に関してすらいまだはなはだしく無知である。ヨブ記のこの言は、その精神において今なお有効である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
唯疑ふ、今君亦石敢当せきかんたうの起源を知るや否や。こん君は桂川中良と共に姓源珠璣せいげんしゆきの説を信ずるものなり。
八宝飯 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お沢 はい、(言いよどみ、言い淀み)こん…………が、満……願……でございました。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こん二十日午後五時頃、九州帝国大学精神病学教授、従六位医学博士正木敬之氏が溺死体となって、同大学医学部裏手、馬出浜まえだしはま、水族館附近の海岸に漂着している事が発見されたので
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こんこそはめ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ところで、過日、伊東行きの列車で一しょになったこんちゃんの話がまた思い出されてくる。心やすだてについ今ちゃんなどといったが今日出海氏のことである。
紅梅の客 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「衰弱が、ばかに急激にやって来たらしいんだ。こん明日みょうにちも、わからねえと言っていやがった」
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
仕舞しまひにはればほどこんらしくなくなつてる。——御前おまいそんなこと經驗けいけんしたことはないかい
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
黙殺か。撲滅か。或は余子の小説集、一冊もいちに売れざるか。かず、すみやかに筆を投じて、酔中独り繍仏しうぶつの前に逃禅たうぜんの閑を愛せんには。昨の非を悔いこんを知る。なん須臾しゆゆ踟※ちちうせん。
うわさは噂を生んで既に迷宮入りを伝えられ、必死の努力を続行中なる司法当局の威信さえも疑われむとする状態に立到っていたが、その後、当局にては何等か見る処があるらしく、こん一日
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
紙の上へちゃんと書いて見て、じっと眺めていると、何だか違ったような気がする。しまいには見れば見るほどこんらしくなくなって来る。——御前おまいそんな事を経験した事はないかい
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
せっかくの御配慮ではあるし、殊に、前田殿には、年来の敵たる宿怨しゅくえんもわすれて、せつに内蔵助成政の一命を助けたまわれと、こん早朝から、筑前様へ、熱心なおとりなしでござった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こん五日午前十時頃、市内海岸通二丁目四十一番地四角、天主教会にては日曜日の事とて、平常の如く信者の参集を待ち、祈祷会を開催すべく、礼拝堂正面の祭壇の扉を開きたるに、正面
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何故なぜつて、幾何いくら容易やさしでも、こりやへんだとおもつてうたぐりすとわからなくなる。此間このあひだ今日こんにちこん大變たいへんまよつた。かみうへへちやんといてて、ぢつとながめてゐると、なんだかちがつたやうがする。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)