些少いさゝか)” の例文
どうも是節は不景気でして、一向にういふものがけやせん。御引取り申しても好うごはすが、しかし金高があまり些少いさゝかで。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
らへて郡長ぐんちやうせがれづらが些少いさゝかおんはなにかけての無理難題むりなんだいやりかへしてりたけれど女子をなご左樣さうもならずやなぎにうけるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
承はり度と申ければ文右衞門其仔細そのしさいと申は最早八ヶ年以前の事にて御家の騷動出來致し忠臣は退しりぞ佞奸邪智ねいかんじやちともが蔓延はびこるに付不肖ふせうながらも是をたゞ些少いさゝか忠義を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しめきん七十圓なゝじふゑん——もしそれわたしをして幹事かんじたらしめば、たちまちにおぼん軍用ぐんようてようものを、軍規ぐんき些少いさゝかてきにかすめざる瀧君たきくんなれば、こゝろざしはうけた——あるひ新築しんちくいはひあるひをどり一手ひとて祝儀しうぎ
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『あまり些少いさゝかですが、好うごはすか。そんなら、別々に申上げやせうか。それともめて申上げやせうか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
させて呉れよと云ども某は承知せず近江あふみ泥坊どろばう伊勢いせ乞食こじきといふ事あれば江州の者に油斷ゆだんはならず連はきらひなりと申せしかどたつて供を致し度し申に付據處よんどころなく同道致せしわけ拙者も些少いさゝか油斷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かけてまたときつ思案しあんにもつるゝ撚糸よりいと八重やへなげきはまたことなりしげ若葉わかばさまたげとおほせられしはことならずやくらまよひとたんたまへどさとりたればこその御取持おとりもちなれおもなかのお兩方ふたかた生涯しやうがいのぞみもたのみも御讓おゆづり申しておもくこと些少いさゝかなきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)