両足りょうあし)” の例文
旧字:兩足
両足りょうあしをかわりばんこにあげているのは、かにさされないためでもありますが、便所べんじょにいきたいのをがまんしているためでもありました。
なんとおもったか、ひとりのは、いきなり両足りょうあしをひらいて、おおきなをいからし、キューピーのまねをして、人形にんぎょうとにらめっこをしました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
それだけでもふしぎなのに、そのちゃがまのもの両方りょうほう唐傘からかさをさしておうぎひらいて、つなの上に両足りょうあしをかけました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
イワン、デミトリチは昨日きのうおな位置いちに、両手りょうてかしらかかえて、両足りょうあしちぢめたまま、よこっていて、かおえぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これも、ほがらかな秋を謳歌おうかする人間か、きいていても筋肉きんにくがピクピクしてきそうな口笛だ。健康けんこう両足りょうあしで、軽快けいかい歩調ほちょうで、やってくるのがわかるような口笛だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとあの鳥捕とりとりは、すっかり注文ちゅうもん通りだというようにほくほくして、両足りょうあしをかっきり六十に開いて立って、さぎのちぢめてりて来る黒いあし両手りょうてかたっぱしからおさえて
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一寸先いっすんさき見えぬ闇夜やみよ、寺男は、両足りょうあしが、がくがくふるえましたが、勇気ゆうきをつけて、びわののする墓場はかばの中へはいっていきました。そして、ちょうちんのをたよりに、法師をさがしました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
両足りょうあしを繋がれているのじゃないかと思うのだ。
かれは、はりきった気持きもちで、むねをそらし、両足りょうあしちかられて、電車道でんしゃみちあるいていったのでした。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、襟毛えりげつかんで、こッぴどくほうり投げてくれると、キャッ! とぎょうさんなき声をあげたが三太郎猿、ちっともおどろいたさまもなく、廊下ろうかのあなたにちょこんと両足りょうあしで立っていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういっていきなりに手をかけて、みりみりうごかしながら、両足りょうあしでどんどん、どんどん、けつけました。女の子はびっくりして、こまって、しかたがないものですから、をあけてやりました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
小僧こぞう、来い。いまおれのとこのちょうざめの家に下男げなんがなくてこまっているとこだ。ごちそうしてやるから来い。」ったかと思うとタネリはもうしっかり犬神いぬがみ両足りょうあしをつかまれてちょぼんと立ち
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
女乞食おんなこじきは、そのは、ただ一人ひとりでありました。みずにぬれた、両足りょうあしゆびは、まっかにえます。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) / 小川未明(著)