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世間並
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せけんなみ
ふりがな文庫
“
世間並
(
せけんなみ
)” の例文
四十の上をもう三つか四つ越したこの叔母の態度には、ほとんど
愛想
(
あいそ
)
というものがなかった。その代り時と場合によると
世間並
(
せけんなみ
)
の遠慮を超越した自然が出た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは少し
冤罪
(
えんざい
)
であった。
勿論
(
もちろん
)
この銀行員の風采は、伯爵中尉と比べることは出来ない。しかし
世間並
(
せけんなみ
)
から言えば、かなりの男振りで、立派に通用するのである。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
まゝ
母
(
はゝ
)
育
(
そだ
)
ちとて
誰
(
た
)
れもいふ
事
(
こと
)
なれど、あるが
中
(
なか
)
にも
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
の
大方
(
おほかた
)
すなほに
生
(
おひ
)
たつは
稀
(
まれ
)
なり、
少
(
すこ
)
し
世間並
(
せけんなみ
)
除
(
の
)
け
物
(
もの
)
の
緩
(
ゆる
)
い
子
(
こ
)
は、
底意地
(
そこいぢ
)
はつて
馬鹿強情
(
ばかごうじよう
)
など
人
(
ひと
)
に
嫌
(
きら
)
はるゝ
事
(
こと
)
この
上
(
うへ
)
なし
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もし私が落着いて考へてからだつたら、何か
世間並
(
せけんなみ
)
に曖昧に、丁寧に、この問に答へたであらう。しかしどうしたのか、その答へは、私の口から知らぬ間に
滑
(
すべ
)
り出てゐた——「いゝえ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「さようさ、まず
世間並
(
せけんなみ
)
のことではありませんな。」と、影はいいました。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
切
(
せ
)
めては
世間並
(
せけんなみ
)
の
真人間
(
まにんげん
)
にしなければ沼南の
高誼
(
こうぎ
)
に対して済まぬから、年長者の義務としても門生でも何でもなくても日頃親しく出入する
由縁
(
ゆかり
)
から十分訓誡して目を覚まさしてやろうと思い
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
母も
亦
(
また
)
随分妙な事を
悦
(
よろこ
)
んで、
世間並
(
せけんなみ
)
には少し変わって居たようです。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
世間並
(
せけんなみ
)
にいえば、三週間だよ」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところでさ、もしその女がはたしてそういう種類の精神病患者だとすると、すべて
世間並
(
せけんなみ
)
の責任はその女の頭の中から消えて無くなってしまうに違なかろう。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども、同時に、
両人
(
ふたり
)
の
間
(
あひだ
)
に
横
(
よこ
)
たはる一種の特別な事情の
為
(
ため
)
、此隔離が
世間並
(
せけんなみ
)
よりも早く到着したと云ふ事を自覚せずにはゐられなかつた。それは
三千代
(
みちよ
)
の結婚であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世の中が夫を遇する
朝夕
(
ちょうせき
)
の模様で、夫の価値を朝夕に変える細君は、夫を評価する上において、
世間並
(
せけんなみ
)
の一人である。
嫁
(
とつ
)
がぬ前、名を知らぬ前、の
己
(
おの
)
れと異なるところがない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然し代助は此
尤
(
もつとも
)
を通り越して、気が
付
(
つ
)
かずにゐた。振り返つて見ると、
後
(
うしろ
)
の方に
姉
(
あね
)
と
兄
(
あに
)
と
父
(
ちゝ
)
がかたまつてゐた。自分も
後戻
(
あともど
)
りをして、
世間並
(
せけんなみ
)
にならなければならないと感じた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
だから本当を云うと、こっちから名刺でも持って訪問するのが
世間並
(
せけんなみ
)
の礼であったんだけれども、そこをつい
怠
(
なま
)
けて、どこが長谷川君の
家
(
いえ
)
だか聞き合わせもせずに横着をきめてしまった。
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し
宗助
(
そうすけ
)
が
興味
(
きようみ
)
を
有
(
も
)
たない
叔父
(
をぢ
)
の
所
(
ところ
)
へ、
不精無精
(
ふしやうぶしやう
)
にせよ、
時
(
とき
)
たま
出掛
(
でか
)
けて
行
(
ゆ
)
くのは、
單
(
たん
)
に
叔父
(
をぢ
)
甥
(
をひ
)
の
血屬
(
けつぞく
)
關係
(
くわんけい
)
を、
世間並
(
せけんなみ
)
に
持
(
も
)
ち
堪
(
こた
)
へるための
義務心
(
ぎむしん
)
からではなくつて、いつか
機會
(
きくわい
)
があつたら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世間がこんなものなら、おれも負けない気で、
世間並
(
せけんなみ
)
にしなくちゃ、
遣
(
や
)
りきれない訳になる。
巾着切
(
きんちゃくきり
)
の上前をはねなければ三度のご
膳
(
ぜん
)
が
戴
(
いただ
)
けないと、事が
極
(
き
)
まればこうして、生きてるのも考え物だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岡田は単にわが女房を
世間並
(
せけんなみ
)
にするために子供を欲するのであった。結婚はしたいが子供ができるのが
怖
(
こわ
)
いから、まあもう少し先へ
延
(
のば
)
そうという苦しい世の中ですよと自分は彼に云ってやりたかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
並
常用漢字
小6
部首:⼀
8画
“世間”で始まる語句
世間
世間体
世間話
世間咄
世間的
世間見
世間態
世間眼
世間摺
世間門