上品じやうひん)” の例文
子守こもりがまた澤山たくさんつてた。其中そのなか年嵩としかさな、上品じやうひんなのがおもりをしてむつつばかりのむすめ着附きつけ萬端ばんたん姫樣ひいさまといはれるかく一人ひとりた。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そうじて江戸えど人間にんげん調子てうしかるうて、言葉ことばしたにござります。下品げひん言葉ことばうへへ、無暗むやみに「お」のけまして、上品じやうひんせようとたくらんでります。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そこでは若いお孃さんたちが足枷あしかせをはめ、背中に板をつけさせられ非常に上品じやうひん几帳面きちやうめんでなければならないところだと、ベシーが時々話したものである。
京都きやうと襟新えりしんうち出店でみせまへで、窓硝子まどがらす帽子ばうしつばけるやうちかせて、精巧せいかう刺繍ぬひをしたをんな半襟はんえりを、いつまでながめてゐた。そのうち丁度ちやうど細君さいくん似合にあひさうな上品じやうひんなのがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
めしのつけやうも効々かひ/″\しい女房にようばうぶり、しかなんとなく奥床おくゆかしい、上品じやうひんな、高家かうけふうがある。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
げたときかれは、鼓打つゞみうちである従弟いとこが、業体げふたいひ、温雅をんが上品じやうひんやさしいをとこの、さけ酔払ゑひはらふと、場所ばしよえらばず、外套ぐわいたういで、威勢ゐせいよくぱつと投出なげだす、帳場ちやうば車夫しやふなどは
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)