七分しちぶ)” の例文
此時このとき帝國大學地震學教室ていこくだいがくぢしんがくきようしつける地動ちどう二寸にすん七分しちぶおほいさに觀測かんそくせられたから、おな臺地だいち湯島ゆしまおいても大差たいさなかつたはずとおもふ。したがつて階上かいじよう動搖どうよう六七寸ろくしちすんにもたつしたであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あるに甲斐かいなく世をれば貧には運も七分しちぶこおりて三分さんぶの未練を命にいきるか、ああばかりに夢現ゆめうつつわかたず珠運はたんずる時、雨戸に雪の音さら/\として、火はきえざる炬燵こたつに足の先つめたかりき。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
自分は今帽を着るたのしみが七分しちぶで窮屈なコルセをして洋服を着て居ると云つて好い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
恐くは外に三分さんぶわづらひて、内にかへつて七分しちぶを憂ふるにあらざらんや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
上下うへした天守てんしゆ七分しちぶ青年わかもの三分さんぶ見較みくら
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
青い月夜の七分しちぶがた
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小さな船のなか七分しちぶ通り
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いとなむがうへれは本家ほんけとてもちひもおもかるべくわれとて信用しんよううすきならねど彼方かなた七分しちぶえきあるときこゝにはわづかに三分さんぶのみいへ繁榮はんえい長久ちやうきうさく松澤まつざはきにしかずつはむすめ容色きりやうすぐれたればこれとてもまたひとつの金庫かねぐら芳之助よしのすけとのえにしえなばとほちやうかど地面ぢめん持參ぢさんむこもなきにはあらじ一擧兩得いつきよりやうとくとはこれなんめりとおもこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)