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しやちう
此人は
我楽多文庫の
第二
期の
頃既に入社して
居たのであるが、
文庫には書いた物を出さなかつた、
俳諧は
社中の
先輩であつたから、
戯に
宗匠と
呼んで
居た、
神田の
五十稲荷の
裏に
住んで
此人の
紹介で
社中に加はる事になつたのでした、
其頃巌谷は
独逸協会学校に
居まして、お
坊さんの
成人したやうな少年で、
始て
編輯室に来たのは学校の
帰途で、
黒羅紗の
制服を着て
居ました
それは
四面の
鐵檻の
堅牢なる
上にも
堅牢ならん
事を
望んで、
如何に
力強き
敵が
襲來ても、
决して
車中の
安全を
害せられぬ
爲の
特別の
注意である
相な。
『
用意!。』と
武村兵曹が
叫ぶと、
二名の
水兵は
車中の
大旅櫃の
中から、
一個の
黒色の
函を
引出して
來た。
此函の
中には、
數十
個の
爆裂彈が
入つて
居るのである。
ズボンは
滅茶苦茶に
引裂かれ、
片足の
靴は
無殘に
噛取られて、
命から/″\
車中に
轉び
込んだ。