駿すん)” の例文
祖父以来の駿すんえんさんの三ヵ国を他人に取られて、ただ一個の鞠をいだき、得意がっておるあの容子ようすは……さてさて、見るもなかなか不愍ふびんであった
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう駿すんえんのうの間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延まんえんし、東はぼうそうじょうしんの諸州にも伝播でんぱし、当年に至りてはおう州に漸入するを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
有史時代いうしじだいつてはじめて地震ぢしん傳説でんせつえるのは、孝靈天皇かうれいてんのうの五ねん近江國あふみのくにけて琵琶湖びはこ出來でき同時どうじ富士山ふじさん噴出ふんしゆつして駿すんかふさうがおびたゞしく震動しんどうしたといふのであるが
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
この文珠屋佐吉もんじゅやさきちの足をとめる声、聞いていて、こう、身内がぞくっとすらあ!——駿すんこうそうの三国ざかい、この山また山の行きずりに、こんな、玉をころがす声を聞こうたあ、江戸を出てこの方
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
受取に到りて駿すん府町の問屋とひやなる常陸ひたち屋佐兵衞と云者の方へ泊りし所佐兵衞がせがれに佐五郎といふものありて歳も同じ頃なれば心やすく致しけるに佐五郎思ふにはかく懇意こんいには致せども文藏事は餘りに手堅てがたく何時も金錢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また、近頃、頻りと使者の往来がはげしいのは、今川家を中心に、駿すんこうそう三ヵ国間に、不可侵ふかしん協定の下談したばなしが、結ばれようとしている気配だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蒙り駿すんゑんの四ヶ國の巡見使じゆんけんしとして松平縫殿頭罷越まかりこせし處なり然ば其方共願ひの筋江戸表へ御差出に相成天下の御評定ひやうぢやうにも相成に付願書の趣き一通り御吟味ぎんみ有之により有難く存ずべしとの仰にけり扨是より一通り糺問たゞしの上藤八お節の兩人江戸表へ差立さしたてとなりたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
武田家たけだけえんのふかき、こうしん駿すんの三ヵ国にまたがっている小太郎山こたろうざんです。また……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何と心得居る駿すんゑんさん三ヶ國の總祿所そうろくしよ八百ヶ寺の觸頭ふれがしら寺社奉行直支配の寺なるぞ其住職そのぢうしよく大和尚おほをしやう直談ぢきだん致などとは不屆至極なりと云に三五郎はいや夫は御前樣の仰なくとも承知で御座る寺社じしや奉行樣の御直支配は扨置さておき假令たとへ宮樣みやさま御門跡樣でも御願申上からは御あひ下されぬと云儀ははゞかりながら御座るまじ御釋迦樣しやかさま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
太閤が、兵をもって、家康をいるなら、家康も、さんえん駿すんしん四州の兵をもって、動くまい。再び、一戦とあれば、それもよし。家康の用意は、こぶしの鷹が一飛びの間ぞ。早々、帰れ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駿すんえんの二国を分け取りに」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)