飛騨国ひだのくに)” の例文
その当時、飛騨国ひだのくに地頭職じとうしょくは藤原姓をおか飛騨判官朝高ひだのほうがんともたかという武将で、彼も蒙古退治の注進状ちゅうしんじょうに署名したる一人いちにんであった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
飛騨国ひだのくに作人さくにん菊松きくまつは、其処そこあふたふれていまわるゆめうなされてるやうな——青年せいねん日向ひなたかほひたひ膏汗あぶらあせなやましげなさまを、どくげにみまもつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛騨国ひだのくにでは高山に二日、美濃国みののくにでは金山かなやまに一日いて、木曽路きそじを太田に出た。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
飛騨判官朝高という人は、かつ飛騨国ひだのくに地頭職じとうしょくを勤めたことが有るように記憶しています。左様さよう、何でも鎌倉時代の中葉、北條時宗ほうじょうときむね頃の人でしたろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
天守てんしゆ魔物まもの何時いつからむよ。飛騨国ひだのくに住人じうにん日本につぽん刻彫師ほりものし菊之丞きくのじやうまご菊松きくまつ行年ぎやうねんつもつて七十一歳しちじふいつさい
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あはかゞみしてるやうな……おほきさはれば、たゝみ三畳さんでふばかりとゆる、……おとく、飛騨国ひだのくに吉城郡よしきごふり神宝かんたから山奥やまおくにありとふ、双六谷すごろくだにへる双六巌すごろくいはこれならむ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
地球の薄皮うすかわが破れて空から火が降るのでもなければ、大海が押被おっかぶさるのでもない、飛騨国ひだのくに樹林きばやしが蛭になるのが最初で、しまいにはみんな血と泥の中に筋の黒い虫が泳ぐ
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
およ人間にんげんほろびるのは、地球ちきう薄皮うすかはやぶれてそらからるのでもなければ、大海だいかい押被おツかぶさるのでもない飛騨国ひだのくに樹林きはやしひるになるのが最初さいしよで、しまいにはみんなどろなかすぢくろむしおよ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)