間違まちげ)” の例文
「いや、その様子では俺が行っても失策しくじったかもわからねえ。手離せねえ用事があったにしても、手前一人でやったのが間違まちげえだ」
此家こゝから又駈出して途中散途さんとで、何様どんな軽はずみな心を出して、間違まちげえがねえとも限らねえ、まア/\己のいう通りにして居ねえといって
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そりゃァもう仙蔵せんぞうのいうとお真正しんしょう間違まちげえなしの、きたおせんちゃんを江戸えど町中まちなかたとなりゃァ、また評判ひょうばん格別かくべつだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「ごめんなせえましよ、お客様。……ご機嫌よくこうやってござらっしゃる処を見ると、間違まちげえごともなかったの、何も、別条はなかっただね。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もしおれが間違まちげえをやらかすとなると、そいつあおめえの生涯中取返しがつかねえんだからな。ロリーって名前のお方、じかに返事してやって下せえ。」
間違まちげえねえ、旦那様! 確かにお嬢さんの幽霊だ! ほら、早く来て御覧なせえ! ……そこをけ上ると、見えまさア! ずっと向うにお墓がある!」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
「もしあんなような奴とつきあってたんなら、二度とおれうちへ足を入れさすんじゃなかったぞ。そいつぁ間違まちげえっこなしだ。で、奴あお前に何と言ってたい?」
「よし来た。間違まちげえねえな。」と大煙草好きの嘉吉は、もう貰つたやうな顔で云ふ。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
欽蔵 それが間違まちげえだ。手前てめえは、自分のことばかり考へてる。なぜ「殺させない工夫」と云はねえんだ。自分を守るんぢやねえ。同胞きやうだいを守るんだ。帝都を守るんだ。日本といふ国を守るんだ。
「ウン。間違まちげえねえと思う。波打際なみうちぎわ恰好かっこうに見おぼえがあるんだ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お眼力、間違まちげえのないところです。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、その様子では俺が行っても失策しくじったかもわからねえ。手離せねえ用事があったにしても、手前一人でやったのが間違まちげえだ」
おれを殺すべえとするだ、われえ知ってべえ、此間こねえだも庚申塚でおれを殺すべえと思って、間違まちげえて圓次郎を殺した時は、われも駆出したくらいだから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何しろおれは間違まちげえをするなあ悪魔みてえにはええんだからな。そしておれが間違まちげえをやらかす時にゃ、きっと鉛弾丸だまでやるんだからな。さあ、もうやって来い。
なあに、分限紳士でなけりゃだれ一人船をつけやしねえこんなとこだもの、シルヴァーなら海賊旗ジョリー・ロジャー(註六二)を立てるだろうよ。それにゃあ間違まちげえなしさ。いいや、ありゃお前さんの仲間だ。
「あっしのにらんだ眼に、間違まちげえはねえや! 絶対ぜってえに狂いはねえはずだ」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
謝肉祭カーニバルの上を行くんだ。巡査や兵隊までが仮装ドンタク間違まちげえられる位、大あばれに暴れるんだぞ。そんな馬鹿騒ぎの出来る町が日本中のどこに在るか探してみろ。それでいて間違いなんか一つもないんだ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一月ぐれえは勘定を間違まちげえる事もあるもんだ、おめえのようにじついことを云われちゃア苦労をしたけいがねい、わしイもううちに居ねい了簡だから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有馬屋が安穏に暮すのは業腹ごうはらだが、それも今更どうにもなるめえ。俺が余計な事をしなくたって、天道てんとう様は見通しだ、——人間の手でどうこうしようと思ったのが間違まちげえだろう
そいから、おめえたち、紳士がた、坐ったらどうだい! ——ホーキンズ君のために立ってなくたっていいんだぜ。ホーキンズ君はお前たちをゆるして下さるだろうよ。そいつぁ間違まちげえっこなしさ。
「時間を間違まちげえやがったな」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
是は親の慾だからお前の事だから間違まちげえはなかんべえが、成たけまアけえれるだらけえってもれえてえだ心配しんぺいだからのう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「俺は平次だが、何か間違まちげえがあったそうじゃないか」
森「旦那がどうしたって心配しんぺいをしていらア、うち間違まちげえたのか、往ったり来たりしている、どうも豊島町の棟梁のようだが、どうしたのかと思っていた」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
間違まちげえはなかろうけれども、わけえ者の噂にあんなハアうつくしい女子おなごがあるからうちけえるはいやだんべえ、婆様ばあさまの顔見るも太儀たいぎだろうなどという者もあるから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「よすがいよ、又五八がそんな事を言わなければいのに、相手は侍で名主が媒人なこうどだというから、間違まちげえが出来るといけねえからかねえがうがんすよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恒「馬鹿な野郎だ、弟子のくせに此様な書付を出すとア……おや、長二は何うかしているんだ、今月ア霜月だのに十月と書いてあるア、月まで間違まちげえていやアがる」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
由「じゃアねえさん、馬はれねえのを頼んでおくれ、いゝかえ馬に附ける物があるから、間違まちげえちゃアいけねえよ……何しろ虻が大変てえへんで……あゝ玉子焼が出来た、おゝ真白まっしろだ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
太「おゝ高平へくか、久しくねえから案じていたが、此間こねえだ五八が来てうち間違まちげえのあった事も聞いていたが、われ母親おふくろのような悪人はねえ、宜く勘弁してこれえているなア」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しずかにおしなせえ、隣はないが名主のない村じゃアないよ、おめえさんがそう哮り立って鯉口を切り、わっちびんたを打切うちきる剣幕を恐れて、ハイさようならとお金を出すような人間と思うのは間違まちげえだ
清「其様そんなことを云って、今夜の内に間違まちげえでもあったら何うする」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
亥「うち間違まちげえるような訳で、大御無沙汰」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)