長家ながや)” の例文
上邸かみやしきと違ってお長家ながやも広いのを頂戴致す事になり、重役の気受けも宜しく、男がよくって程がいから老女や中老までもめそやし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
九月一日、館主と共に近き海岸に到りて鰮魚いわしを漁する態をる。海浜に浜小屋はまごやというもの、東京の長家ながやめきて一列に建てられたるを初めて見たり。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
近頃は両側へ長家ながやが建ったので昔ほどさみしくはないが、その長家が左右共闃然げきぜんとして空家あきやのように見えるのは余り気持のいいものではない。貧民に活動はつき物である。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これからたくかへつて支度したくをしてうち長家ながやの者も追々おひ/\くやみにる、差配人さはいにん葬式さうしき施主せしゆ出来できたのでおほきに喜び提灯ちやうちんけてやつてまゐ
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此方こなたには具足櫃ぐそくびつがあつたり、ゆみ鉄砲抔てつぱうなど立掛たてかけてあつて、ともいかめしき体裁ていさい何所どこたべさせるのか、お長家ながやら、う思ひまして玄関げんくわんかゝ
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
同じ長家ながやる重二郎の母をけようと思ったが、否々いや/\先程又作が箱の中へ入れて隠した書付が、万一ひょっとしての三千円の預り証書ではないか
これから長家ながやの者が五六人いて出かけましたが、お寺は貧窮山難渋寺ひんきゆうさんなんじふじふので、本堂ほんだうには鴻雁寺こうがんじが二てうともつてる。金
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
へい、え、あの、御門ごもんところに、お汁粉しるこ看板かんばんりましたが、あれはお長家ながやであそばしますのでげせうか。
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
おゝ金子かねだ、大層たいそうつてやアがるナ、もう死ぬとふのでおれ見舞みめえつてやつたから、金兵衛きんべゑさんにこれだけ残余あとはお長家ながやしゆうへツて、施与ほどこしでもするのか
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
門「何だ、けしからん奴だ、それは御門を入って板塀に附いて真直まっすぐくとお馬場の所に出るから、それへ附いて曲ると裏手に四軒お長家ながやがあるが、二軒目のお宅だ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此の長家ながやかせにんが多いゆえ、昼間の疲れで何処どこもぐっすり寝入り、一際ひときわしんといたしました。
九月の四日に文治に拳骨でり倒されまして、目が覚めたようになってしきりにかせいで、此の長家ながやへ越して来たと見えて、夜具縞やぐじま褞袍どてらを着て、刷毛はけを下げまして帰って来まして
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
妻恋坂下に一万石の建部内匠頭たてべたくみのかみというお大名が有ります、その長家ながやの下に待って居ましたが、只今と違ってお巡りさんという御役が有りません、邏卒らそつとか云って時々廻るかたが有った時分で
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
織江からきたる十五日御登城の節お通り掛けお目見え仰付おおせつけらるゝ旨、かつ上屋敷に於てお長家ながやを下し置かるゝ旨をもあわせて達しましたので、大藏は有難きよしのおうけをして拝領の長家へさがりました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)