トップ
>
鍵穴
>
かぎあな
ふりがな文庫
“
鍵穴
(
かぎあな
)” の例文
それは惡魔のやうな笑ひ聲だつた——低く、
壓
(
おさ
)
へつけられた、そして太いその聲は、ちやうど私の部屋の扉の
鍵穴
(
かぎあな
)
のところで聞えたやうだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
その朝は早くから、
鍵穴
(
かぎあな
)
を通してKは、控えの間に特別な動きがあることを認めていたが、やがてそのわけがわかった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
椅子を立ったり
坐
(
すわ
)
ったり、ときどき社長室へ通ずるドアのところへ行って、腰をかがめて
鍵穴
(
かぎあな
)
から中を
覗
(
のぞ
)
いたりした。
五階の窓:02 合作の二
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
どろぼうの手下は、そつと戸の
鍵穴
(
かぎあな
)
からのぞいて見ますと、イドリスは、そのくるみを、かちんとたゝきわつて、こちらの鍵穴の方を見つめながら
ダマスカスの賢者
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
しかし実際は部屋の外に、もう一人戸の
鍵穴
(
かぎあな
)
から、
覗
(
のぞ
)
いている男があったのです。それは一体誰でしょうか?——言うまでもなく、書生の遠藤です。
アグニの神
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
鍵穴
(
かぎあな
)
の眼玉はたちまちなくなり、犬どもはううとうなつてしばらく室の中をくるくる廻つてゐましたが、また一声
注文の多い料理店
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
鍵穴
(
かぎあな
)
から覗いたりなんかすると承知しねえぞ、坊や。」と彼は言った。で、私は二人を残して、帳場へ退いた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
かなりしばらくたっても何の音も聞こえないので、彼は音のしないように向きを変えた。そして
室
(
へや
)
の入り口の扉の方へ目を上げると、
鍵穴
(
かぎあな
)
から光が見えた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
やがて、ふうふう息をはずませながら、かがみ込んで、
鍵穴
(
かぎあな
)
をのぞきにかかった。けれど、それには内側から鍵が差し込んであったので、何も見えなかったはずである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ニールスは、かまどの上にとびあがって、パン
焼
(
や
)
きかまどの口をあけようとしました。と、そのとき、だれかが戸の
鍵穴
(
かぎあな
)
に
鍵
(
かぎ
)
をつっこんで、しずかにまわす音が聞こえました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
いまはこの皇帝宮の娘である小さい少女が、夕べの
鐘
(
かね
)
の鳴りひびくころ、よくそこの低い小さな
椅子
(
いす
)
に
腰
(
こし
)
かけています。すぐそばにある
扉
(
とびら
)
の
鍵穴
(
かぎあな
)
を、この子は
露台
(
ろだい
)
と呼んでいます。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あくる
朝
(
あさ
)
見
(
み
)
ると、
麻糸
(
あさいと
)
の
先
(
さき
)
は
針
(
はり
)
がついたまま
戸
(
と
)
の
鍵穴
(
かぎあな
)
を
抜
(
ぬ
)
けて、
外
(
そと
)
へ出ていました。
三輪の麻糸
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
娘が失踪する数日前、彼の留守中に、彼の事務所を訪ねた一人の男が、扉の
鍵穴
(
かぎあな
)
に一輪の薔薇が
揷
(
さ
)
してあって、手近にかかっている一枚の石板に「マリー」という名前が書いてあるのを見たのである。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ドアの
鍵穴
(
かぎあな
)
から
覗
(
のぞ
)
いているのです。先生、もっと声を低くしますよ
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
少将は自身でも見るたびに涙のとどめがたい姫君の姿を、恋する男の目にはどう映るであろうと思い、よいおりでもあったのか
襖子
(
からかみ
)
の
鍵穴
(
かぎあな
)
を中将に教えて目の
邪魔
(
じゃま
)
になる几帳などは横へ引いておいた。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そうして
鍵穴
(
かぎあな
)
から誰かにのぞかれることを防いだのだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
警官
(
けいかん
)
はドアに近より
鍵穴
(
かぎあな
)
から外をのぞき見しながら
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
鍵穴
(
かぎあな
)
のように、黒く、ぺしゃんこだ。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
鍵穴
(
かぎあな
)
の眼玉はたちまちなくなり、犬どもはううとうなってしばらく室の中をくるくる
廻
(
まわ
)
っていましたが、また一声
注文の多い料理店
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
けれどもジャン・ヴァルジャンは
鍵穴
(
かぎあな
)
から
蝋燭
(
ろうそく
)
の光を見て取って、口をつぐんで
探偵
(
たんてい
)
の
鋒先
(
ほこさき
)
をくじいた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その
中
(
うち
)
にただ一点、かすかな明りが見えるのは、戸の向うの電燈の光が、
鍵穴
(
かぎあな
)
を洩れるそれであった。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこを
昇
(
のぼ
)
ると、ちやうど私の正面にあるのがテムプル先生のお室であつた。
鍵穴
(
かぎあな
)
と
扉
(
ドア
)
の下から、光が一
條
(
すぢ
)
洩れてゐるばかりで、深い靜けさがあたりに浸潤してゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
鍵穴
(
かぎあな
)
からのぞき、次に眼を見開き、顔をほてらせながらみんなのほうへ振り向いて、自分のところへくるように指で合図するので、みんなはそこへいってかわるがわるのぞくのだった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
お
婿
(
むこ
)
さんが
戸
(
と
)
の
鍵穴
(
かぎあな
)
から出て行ったことが、これで
分
(
わ
)
かりましたから、お
姫
(
ひめ
)
さまはその
糸
(
いと
)
をたぐりたぐり、どこまでもずんずん行ってみますと、
糸
(
いと
)
はおしまいに
三輪山
(
みわやま
)
のお
社
(
やしろ
)
の中に
入
(
はい
)
って
三輪の麻糸
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「これはきっといつかのおじいさんが私にくれた贈物にちがいない。」こう言って、ポケットから例の鍵を出して、戸口の
鍵穴
(
かぎあな
)
へはめて見ますと、ちょうどぴったり合って、戸がすらりと
開
(
あ
)
きました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
が、この時戸から洩れる
蜘蛛
(
くも
)
の糸ほどの朧げな光が、天啓のように彼の眼を
捉
(
とら
)
えた。陳は
咄嗟
(
とっさ
)
に
床
(
ゆか
)
へ
這
(
は
)
うと、ノッブの下にある
鍵穴
(
かぎあな
)
から、食い入るような視線を室内へ送った。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鍵穴
(
かぎあな
)
も見え
頑丈
(
がんじょう
)
な
閂子
(
かんぬき
)
が鉄の受座に深くはいってるのも見えていた。錠前は明らかに二重錠がおろされていた。それは昔パリーがやたらに用いていた牢獄の錠前の一つだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
僕はとっさに詩集を投げ出し、戸口の
錠
(
じょう
)
をおろしてしまいました。しかし
鍵穴
(
かぎあな
)
からのぞいてみると、
硫黄
(
いおう
)
の粉末を顔に塗った、
背
(
せい
)
の低い
雌
(
めす
)
の
河童
(
かっぱ
)
が一匹、まだ戸口にうろついているのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鍵
常用漢字
中学
部首:⾦
17画
穴
常用漢字
小6
部首:⽳
5画
“鍵”で始まる語句
鍵
鍵盤
鍵屋
鍵形
鍵束
鍵孔
鍵裂
鍵鼻
鍵惣
鍵番