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金杉
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かなすぎ
ふりがな文庫
“
金杉
(
かなすぎ
)” の例文
私どもの屋敷から行ける所では、まず
金杉
(
かなすぎ
)
の毘沙門とか、
土橋
(
どばし
)
とか、采女原などにあって、土橋では鈴之助という役者が評判であった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
一
風呂
(
ふろ
)
浴
(
あ
)
びて
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れゆけば
突
(
つき
)
かけ
下駄
(
げた
)
に七五三の
着物
(
きもの
)
、
何屋
(
なにや
)
の
店
(
みせ
)
の
新妓
(
しんこ
)
を
見
(
み
)
たか、
金杉
(
かなすぎ
)
の
糸屋
(
いとや
)
が
娘
(
むすめ
)
に
似
(
に
)
て
最
(
も
)
う一
倍
(
ばい
)
鼻
(
はな
)
がひくいと
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
皆が困っていると、
下谷
(
したや
)
の
金杉
(
かなすぎ
)
に
小股潜
(
こまたくぐり
)
の
又市
(
またいち
)
と云う口才のある男があって、それを知っている者があったので呼んで相談した。又市は
四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
若い男と女とは
金杉
(
かなすぎ
)
の方角にむかつて歩いてゆくと、
冷
(
つめた
)
い秋の夜風がふたりの
袂
(
たもと
)
をそよ/\と吹いた。月のひかりは昼のやうに明るかつた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かつて或る暴風雨の日に
俄
(
にわか
)
に
鰻
(
うなぎ
)
が
喰
(
く
)
いたくなって、その頃名代の
金杉
(
かなすぎ
)
の
松金
(
まつきん
)
へ風雨を犯して
綱曳
(
つなひ
)
き
跡押
(
あとおし
)
付
(
つ
)
きの
俥
(
くるま
)
で
駈付
(
かけつ
)
けた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
小万は上の間へ行ッて窓から
覗
(
のぞ
)
いたが、太郎稲荷、入谷
金杉
(
かなすぎ
)
あたりの人家の
燈火
(
ともしび
)
が
散見
(
ちらつ
)
き、遠く上野の電気燈が
鬼火
(
ひとだま
)
のように見えているばかりだ。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
即ち左手には
田町
(
たまち
)
あたりに立続く
編笠茶屋
(
あみがさぢゃや
)
と
覚
(
おぼ
)
しい低い人家の屋根を限りとし、右手は
遥
(
はるか
)
に
金杉
(
かなすぎ
)
から
谷中
(
やなか
)
飛鳥山
(
あすかやま
)
の方へとつづく深い木立を境にして
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日暮里
(
にっぽり
)
の
金杉
(
かなすぎ
)
から来ているお千代さんは、お父つぁんが寄席の三味線ひきで、妹弟六人の裏家住いだそうだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「少し休まなくてはいけないわ、あたしのうちへゆきましょう」とおすえが云った、「
下谷
(
したや
)
の
金杉
(
かなすぎ
)
で筆屋をやっているの、狭いけれど栄さんの寝るとこぐらいはあるわ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
信仰
(
しんかう
)
なし己の
菩提所
(
ぼだいしよ
)
は
牛込
(
うしごめ
)
の宗伯寺なりしが終に一
大檀那
(
だいだんな
)
となり寄進の品も多く又
雜司
(
ざふし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
鬼子母神
(
きしぼじん
)
金杉
(
かなすぎ
)
の
毘沙門天
(
びしやもんてん
)
池上
(
いけがみ
)
の
祖師堂
(
そしだう
)
などの
寶前
(
はうぜん
)
へ
龍越
(
りうこし
)
と云ふ大形の
香爐
(
かうろ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
目黒辺を流れて
品海
(
ひんかい
)
に入るもの。渋谷辺を流れて
金杉
(
かなすぎ
)
に出ずるもの。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これが小塚原を繰出すと、ゆくゆく
箕輪
(
みのわ
)
、
山谷
(
さんや
)
、
金杉
(
かなすぎ
)
あたりから聞き伝えた物好き連が、面白半分に
潮
(
うしお
)
の如く集まって来て踊りました。その唄と踊りの千差万別なることは名状すべくもありません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小万は
上
(
かみ
)
の
間
(
ま
)
に行ッて窓から覗いたが、太郎稲荷、
入谷
(
いりや
)
、
金杉
(
かなすぎ
)
あたりの人家の
燈火
(
ともしび
)
が
散見
(
ちらつ
)
き、遠く上野の電気燈が
鬼火
(
ひとだま
)
のように見えているばかりである。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
真面目につとむる我が家業は昼のうちばかり、一風呂浴びて日の暮れゆけば
突
(
つき
)
かけ下駄に七五三の着物、何屋の店の
新妓
(
しんこ
)
を見たか、
金杉
(
かなすぎ
)
の糸屋が娘に似てもう一倍鼻がひくいと
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
本芝から
金杉
(
かなすぎ
)
へ出ると、ここらは風上であるから世間もさのみ騒がしくなかった。
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
このあたり今は
金富町
(
かなとみちょう
)
と
称
(
とな
)
ふれど、むかしは
金杉
(
かなすぎ
)
水道町にして、南畆がいはゆる
金曾木
(
かなそぎ
)
なり。懸崖には
喬木
(
きょうぼく
)
なほ天を
摩
(
ま
)
し、樹根怒張して巌石の
状
(
さま
)
をなせり。
澗道
(
かんどう
)
を下るに竹林の間に椿の花開くを見る。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
杉
常用漢字
中学
部首:⽊
7画
“金杉”で始まる語句
金杉橋
金杉稲荷
金杉村
金杉上町
金杉天神