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邸町
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やしきまち
ふりがな文庫
“
邸町
(
やしきまち
)” の例文
この足袋屋は人形町のみょうが屋と同じように歴史のある家で、辰井の足袋と云えば、山の手の
邸町
(
やしきまち
)
でも相当の信用があったものである。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
偶
(
たま
)
にはくるが、もう
以前
(
いぜん
)
のやうに
山
(
やま
)
の
手
(
て
)
の
邸町
(
やしきまち
)
、
土
(
ど
)
べい、
黒
(
くろ
)
べい、
幾曲
(
いくまが
)
りを
一聲
(
ひとこゑ
)
にめぐつて、
透
(
とほ
)
つて、
山王樣
(
さんわうさま
)
の
森
(
もり
)
に
響
(
ひゞ
)
くやうなのは
聞
(
き
)
かれない。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
帰ると
盥
(
たらい
)
を出して水をあびる。
溝
(
どぶ
)
に糸みみずのウヨウヨ動いているのを見つけて、家の金魚のおみやげだと
掻廻
(
かきまわ
)
す。
邸町
(
やしきまち
)
の昼は静かで、座敷を大きな
揚羽蝶
(
あげはちょう
)
が舞いぬけてゆく。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
腺病質
(
せんびょうしつ
)
のこどもだつた時分に、かういふ夜はよく
乳母
(
うば
)
が寝間着の上に
天鵞絨
(
ビロード
)
のマントを
羽織
(
はお
)
らせて木の茂みの多い近所の
邸町
(
やしきまち
)
の細道を連れて歩いて
呉
(
く
)
れた。天地の静寂は水のやうに少女を冷やした。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
素人家
(
しもたや
)
並みに小店が混っているとはいうものの、右に水野や林
播磨
(
はりま
)
の
邸町
(
やしきまち
)
が続いているので、宵の口とは言いながら、明るいうちにも妙に白けた静けさが、そこらあたりを不気味に押し包んでいた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
火事はお
邸町
(
やしきまち
)
だった。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
近所の友だちにも別れると、ただ一人で、白い
社
(
やしろ
)
の広い境内も抜ければ、
邸町
(
やしきまち
)
の白い長い土塀も通る。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
近所
(
きんじよ
)
の
友
(
とも
)
だちにも
別
(
わか
)
れると、
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
で、
白
(
しろ
)
い
社
(
やしろ
)
の
廣
(
ひろ
)
い
境内
(
けいだい
)
も
拔
(
ぬ
)
ければ、
邸町
(
やしきまち
)
の
白
(
しろ
)
い
長
(
なが
)
い
土塀
(
どべい
)
も
通
(
とほ
)
る。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠山の桜に
髣髴
(
ほうふつ
)
たる色であるから、花の
盛
(
さかり
)
には相違ないが、野山にも、公園にも、数の植わった
邸町
(
やしきまち
)
にも、土地一統が、桜の名所として知った場所に、その方角に当っては
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大通りは
一筋
(
ひとすじ
)
だが、道に迷ふのも一興で、
其処
(
そこ
)
ともなく、
裏小路
(
うらこうじ
)
へ紛れ込んで、低い
土塀
(
どべい
)
から
瓜
(
うり
)
、
茄子
(
なす
)
の
畠
(
はたけ
)
の
覗
(
のぞ
)
かれる、
荒
(
あ
)
れ
寂
(
さび
)
れた
邸町
(
やしきまち
)
を一人で通つて、まるつ
切
(
きり
)
人に
行合
(
ゆきあ
)
はず。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大通りは一筋だが、道に迷うのも一興で、そこともなく、裏小路へ紛れ込んで、低い土塀から
瓜
(
うり
)
、
茄子
(
なす
)
の
畠
(
はたけ
)
の
覗
(
のぞ
)
かれる、荒れ寂れた
邸町
(
やしきまち
)
を一人で通って、まるっきり人に
行合
(
ゆきあ
)
わず。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは十町ばかりも
邸町
(
やしきまち
)
を
歩行
(
ある
)
いて出た大川端の、寂しいしもた家だったが、「私、私は、私は(何とか)町の、竹谷の
姪
(
めい
)
の娘が嫁に来たうちの、縁者の
甥
(
おい
)
に当るものの母親です。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何にも知らない
不束
(
ふつつか
)
なものですから、
余所
(
よそ
)
の女中に
虐
(
いじ
)
められたり、毛色の変った
見世物
(
みせもの
)
だと、
邸町
(
やしきまち
)
の犬に
吠
(
ほ
)
えられましたら、せめて、
貴女方
(
あなたがた
)
が
御贔屓
(
ごひいき
)
に、私を
庇
(
かば
)
って下さいな、後生ですわ、ええ。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もとの
邸町
(
やしきまち
)
の、荒果てた土塀が今もそのままになっている。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
邸
常用漢字
中学
部首:⾢
8画
町
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“邸”で始まる語句
邸
邸宅
邸内
邸中
邸第
邸跡
邸址
邸方
邸前
邸園