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遠眼鏡
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とおめがね
ふりがな文庫
“
遠眼鏡
(
とおめがね
)” の例文
またあの男と一緒に航海した者だってもやらねえさ。さて、あれぁいかにも仲間のビルだぞ、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
を抱えてね、おやおや、ほんとにな。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
あれだけ張り上げれば、大川の向うへだって聞えまさア。
遠眼鏡
(
とおめがね
)
の殿様も大あばたの奥方も、一から十まで聴いたに違いない
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
われながら
迂濶
(
うかつ
)
千万、実は昨日、船を立つ時に、駒井氏から借用して来た「
遠眼鏡
(
とおめがね
)
」というものが、ここにあるではないか。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その頃、小田原の城跡には石垣や堀がそのまま残っていて、天主台のあった処には神社が建てられ、その傍に
葭簀張
(
よしずばり
)
の
休茶屋
(
やすみぢゃや
)
があって、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
を貸した。
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
坂の
半程
(
なかほど
)
に、オランダ渡りと云った風で、お月様の顔を覗かせる、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
屋が商売をしていた。安物の天体望遠鏡を据えて一覗き十銭で客を呼んでいるのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
四丈八尺位の高さだから
大概
(
あらまし
)
の処は見える。人間の五、六人は頭の中へ這入れるようにして、先様お代りに、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
などを置いて諸方を見せて、客を追い出す。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
何かしらと思って、宅助がトロリと眼をすえて見ると、舞台の
手欄
(
てすり
)
にすえつけてある、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
という機械。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しまいに「本郷台町の三階から
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で世の中を
覗
(
のぞ
)
いていて、
浪漫的
(
ロマンてき
)
探険なんて気の利いた
真似
(
まね
)
ができるものか」と須永から
冷笑
(
ひや
)
かされたような心持がし出した。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
沖から
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で望んだら、
瞬
(
またたき
)
する間も静まらず、
海洋
(
わだつみ
)
の
蒼
(
あお
)
き口に、白泡の歯を鳴らして、刻々島根を
喰削
(
くらいけず
)
らんず、怖しき浪の
頭
(
かしら
)
を
圧
(
おさ
)
えて、
巌窟
(
いわや
)
の中に鎮座まします
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何事につけても身の軽いのが自慢だったそうで……天守台の屋根に
漆喰
(
しっくい
)
のかけ直しをする時なぞは、殿様が
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で、その離れ
業
(
わざ
)
を御上覧になった位だそうで御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ある
夏
(
なつ
)
の
午後
(
ごご
)
、
外国人
(
がいこくじん
)
は、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で
沖
(
おき
)
の
方
(
ほう
)
を
見
(
み
)
ていました。すると、あちらの
水平線
(
すいへいせん
)
を
大
(
おお
)
きな
黒
(
くろ
)
い
船
(
ふね
)
が
通
(
とお
)
るのでした。それは、
一目
(
ひとめ
)
で、この
国
(
くに
)
の
船
(
ふね
)
でないことがわかりました。
青いランプ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
次に、久里浜で外国船が来たのを、十里離れて
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で見て、それを注進したという、あの名高い、
下岡蓮杖
(
しもおかれんじょう
)
さんが、やはり寺内で函館戦争、台湾戦争の絵をかいて見せました。
寺内の奇人団
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
鉄砲はもちろん
遠眼鏡
(
とおめがね
)
をも用意し、昼も夜も油断なく警戒しているのである。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ね、親分、もとはと言えば
遠眼鏡
(
とおめがね
)
が悪かったんですよ。あんな物がなきゃ、二人の女が殺されずに
済
(
す
)
んだ
筈
(
はず
)
です」
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「コレ、この
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で一度御覧下さいませ。イエ、そこからでは近すぎます。失礼ですが、もう少しあちらの方から。
左様
(
さよう
)
丁度その辺がようございましょう」
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母は茶店の
床几
(
しょうぎ
)
に腰をかけて、
新和歌
(
しんわか
)
の
浦
(
うら
)
とかいう
禿
(
は
)
げて茶色になった山を
指
(
さ
)
して何だろうと聞いていた。嫂はしきりに
遠眼鏡
(
とおめがね
)
はないか遠眼鏡はないかと騒いだ。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
太郎
(
たろう
)
は
浜辺
(
はまべ
)
に
立
(
た
)
って、わしのくれた
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で
沖
(
おき
)
の
方
(
ほう
)
をながめますと、ちょうど、わしの
瞳
(
ひとみ
)
のようにその
眼鏡
(
めがね
)
は、
幾
(
いく
)
百
里
(
り
)
も
遠
(
とお
)
い
遠
(
とお
)
い
海原
(
うなばら
)
の
景色
(
けしき
)
が、その
中
(
なか
)
に
映
(
うつ
)
るのでありました。
薬売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
洲崎
(
すのさき
)
の、もと砲台の下のいわの上に立って、しきりに
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で見ている人がありました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「やりきれねえなあ。どうか、わっしの立場も、少し察してやっておくんなさい。今、この
遠眼鏡
(
とおめがね
)
からえらい手がかりを得たばかりなんで……まごついていると、取返しがつきあしません」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どこでも見える
遠眼鏡
(
とおめがね
)
が欲しい」
奇妙な遠眼鏡
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
香倶土三鳥
(著)
用人の
禿頭
(
はげあたま
)
に三百両を叩き返して、サテと改まりましたよ、——
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で町娘を御覧になって、奉公に出せなんて無理を言うからこんなことになるんだ。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もし分らない事があったら、また電話で聞き合わしてもいいという通知であった。敬太郎はぼんやり見えていた
遠眼鏡
(
とおめがね
)
の度がぴたりと合った時のように愉快な心持がした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
袋
(
ふくろ
)
を
開
(
あ
)
けてみますと、その
中
(
なか
)
には
小
(
ちい
)
さな
遠眼鏡
(
とおめがね
)
が
入
(
はい
)
っていました。
薬売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「その手柄者は貴様ではない、高津の宮の
遠眼鏡
(
とおめがね
)
だ」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あたし、知っててよ。あんたがちま子さん好きだったこと。そして、いつか二人っ
切
(
きり
)
の時、あんたがあの人につまらないこと云って、頬っぺたひっぱたかれたこと。あたし山の上から、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
でちゃんと見ていたのよ。……隠すことないわ」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし東京へ修業に出たばかりの私には、それが
遠眼鏡
(
とおめがね
)
で物を見るように、
遥
(
はる
)
か先の距離に望まれるだけでした。私は叔父の希望に承諾を与えないで、ついにまた私の家を去りました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は式が済むとすぐ帰って
裸体
(
はだか
)
になった。下宿の二階の窓をあけて、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
のようにぐるぐる巻いた卒業証書の穴から、見えるだけの世の中を見渡した。それからその卒業証書を机の上に放り出した。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
鏡
常用漢字
小4
部首:⾦
19画
“遠眼”で始まる語句
遠眼