違背ゐはい)” の例文
沼地ぬまちの中に埋もれ、山に閉ぢ籠められて——神に授けられた自分の本性は違背ゐはいせられ、天から與へられた自分の才能は麻痺され——役立たずにされて
無邪氣むじやき笑顏ゑがほいつもあいらしく、雪三せつざう菊塢きくう秋草あきくささかりなりとかきくを、此程このほどすぐさずともなひてはたまはらずやと掻口説かきくどきしに、なん違背ゐはいのあるはずなく、おまへさま御都合ごつがふにて何時いつにてもおともすべしと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
獻上けんじやう違背ゐはいさふらふまじ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
受納じゆなふなせしは即ち賄賂也わいろなり下役黒崎又左衞門市田武助其方共も受納じゆなふ致せしならんと有に兩人は今上役の理左衞門が白状なせし上はかくすもえきなしと思ひ上役の申付に違背ゐはいも如何と存じ金三兩づつ受納せしと言ければ大岡殿假令上役の申付なりとて不正ふせいの金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御錠ごじやう違背ゐはいさふらふか
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
さぐれとおほせらるゝともそれ違背ゐはいはすまじけれど戀人こひびと周旋とりもたんことどう斷念あきらめてもなることならず御恩ごおん御恩ごおんこれはこれなりいつそおふみ取次とりついだるていにしてこのまゝになすべきかや/\それにてはみちがたゝずじつ斯々かく/\なかなりとて打明うちあけなばじようさま御得心おとくしんくべきかわれこそは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何時いつまで獨身ひとりこゝろかぞへるとし心細こゝろぼそこれほどならばなぜむかしことばそむいていとひしかれとれませぬはゝさまなしのおひとつに御苦勞ごくらうたんとけましてうへうへにもまた幾年いくねんこゝろやすめぬ不料簡ふれうけん不孝ふかうのおわび向後きやうこうさつぱりよしさまのことおもつて何方いづかたへの縁組えんぐみなれおほせに違背ゐはい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)