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越度
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おちど
ふりがな文庫
“
越度
(
おちど
)” の例文
図書
私
(
わたくし
)
が
拳
(
こぶし
)
に据えました、殿様が日本一とて御秘蔵の、白い鷹を、このお天守へ
逸
(
そら
)
しました、その
越度
(
おちど
)
、その罪過でございます。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の上当家に
越度
(
おちど
)
あらば寺社奉行の裁判を受けるでござろう、とは申すものゝ
罪人
(
ざいにん
)
を作るも
本意
(
ほんい
)
でない、何も言わずに此の儘お帰りなさるか
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これ以上愚図々々しておられて大事になるようなことがあっても当医院は責めを負わない
云々
(
うんぬん
)
、と云うようなことで自分の
越度
(
おちど
)
は
棚
(
たな
)
に上げて
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
負う新左が死に、与えたという事実だけが残ることは、逆に、後見職になにか
越度
(
おちど
)
があったという証明にもなりかねない
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
別に、どの人も悪いのではないのだけれども、こうした運命になる自分の身の
越度
(
おちど
)
が、あまりに哀れにみじめったらしくてやりきれなくなるのだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
こゝをあずかっている者どもの
越度
(
おちど
)
にもなるので、もう何とかしなければなるまいかと内々評定しているうちに、貸本屋の方ではいよ/\増長して
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
刃傷
(
にんじょう
)
でもすれば喧嘩両成敗、氏郷も政宗も
取潰
(
とりつぶ
)
されて終うし、自分も大きな
越度
(
おちど
)
である。二桃三士を殺すの
計
(
はかりごと
)
とも異なるが、一席の会合が三人の身の上である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼女は、それだけでもう、世の中のあらゆる不幸に見舞われたように、舌が
硬
(
こわ
)
ばり、口をきくことができない。だが、自分の
越度
(
おちど
)
として、注意を倍加するのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
神尾がいま並べたようなことは、その一つがあっても、役人の重き
越度
(
おちど
)
と言わなければなりません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
先方
(
さき
)
の
越度
(
おちど
)
にならぬよう、それとなく身分を明かすがよいわい」優しくこういう声がした。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「こっちの
越度
(
おちど
)
だ——どうなりと存分に願いやしょう」と、若者はあっさり折れて出て、「さあ、どこへなりとお伴しますぜ。そして好きなだけ、あっしの血をすすりなさるがいいさ。」
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
盗まれた品物がなければ、宿直員に
越度
(
おちど
)
はなく、
罰俸
(
ばつぼう
)
を恐れることもなかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こりゃ
仰有
(
おっしゃ
)
りそうな処、御自分の
越度
(
おちど
)
をお明かしなさりまして、路々念仏申してやろう、と
前途
(
さき
)
をお急ぎなさります飾りの無いお前様。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
特に彼女達に知られないように気を付けていなかった
越度
(
おちど
)
はあるので、こうなって見ると、雪子の手前、自分がお春を
糺
(
ただ
)
さねばならない責任を感じた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
稻垣小左衞門小屋に於て賊が忍び入って紛失したと、私
一人
(
いちにん
)
の
越度
(
おちど
)
にして、貴様や重三郎へ迷惑の掛らない事にしよう、何の道しくじる稻垣、致し方はない
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうも腑に落ちないところがある、奉公中に何かの
越度
(
おちど
)
でもあったのではないか。」
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いいや、そんなこたあないよ、駒井自身の
越度
(
おちど
)
だから、どうも仕方がない」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
又市
(
またいち
)
様と云う若殿様は上州高崎へ引取られ、
大音龍太郎
(
おおおとりゅうたろう
)
と云う人のため故なく
越度
(
おちど
)
もなきに断罪で、あとで調べて見ると斬らぬでも宜かったそうであります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分の
越度
(
おちど
)
だけれど、
掏摸
(
すり
)
と、どうしたの、こうしたの、という汚名を
被
(
き
)
ては、人中へは出られません。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やさしく
労
(
いた
)
わってくれるほどなお気の毒で、何と云われても自分の
越度
(
おちど
)
であることは、———それも軽からぬ越度であることは、
否
(
いな
)
みようもなく思えるのであった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
平民の野良犬も多いのに、何も
選好
(
えりごのみ
)
をして華族様の御手飼を
殺
(
や
)
らずともの事だ、奥様に知れようものなら、金次一生の
越度
(
おちど
)
とならあ、
忌々
(
いまいま
)
しい。
汝
(
うぬ
)
、どうして腹を
癒
(
い
)
よう。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
が止めた、いやそれは宜しくない、一人を殺すは何でもない、
况
(
まし
)
て事を荒立る時には殿様のお
眼識違
(
めがねちが
)
いになりお
恥辱
(
はじ
)
である、また死去致した渡邊織江の
越度
(
おちど
)
にも相成る事
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妙子と妹とはその間に嫂を
掴
(
つか
)
まえて、外科的手段を取らずに殺しては親兄弟の
越度
(
おちど
)
になることをくどくどと云い聞かせて、何とかして母親を納得させてくれるように頼んでいる。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
………幸子は
諦
(
あきら
)
めようとしても諦め切れず、その時自分がいなかったことが
恰
(
あたか
)
も自分の
越度
(
おちど
)
であるかのように悔まれ、
選
(
よ
)
りに選ってその五六分の
隙間
(
すきま
)
に電話が懸ったと云うことが
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何だか今更親子とも云い
難
(
にく
)
いと云うのは、女房子を
打遣
(
うっちゃ
)
って
女郎
(
じょろう
)
を連れて駈落する身の
越度
(
おちど
)
、本人が和尚さんとか納所とか云われる身の上になったからと云って、今
私
(
わし
)
が
親父
(
おやじ
)
だと云っても
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
よく顔も見なかったのがこっちの
越度
(
おちど
)
で、人品骨柄を見たって知れる——その頃は台湾の属官だったが、今じゃ
同一所
(
おんなじとこ
)
の税関長、稲坂と云う法学士で、
大鵬
(
たいほう
)
のような人物、ついて居た三人は下役だね。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又あの
女童
(
めのわらわ
)
を呼び出しに行っては
文
(
ふみ
)
をことづけるより外に、此れと云う
智慧
(
ちえ
)
も浮かばないのであったが、でもその文の書き方には心を砕いて、此の間の夜の
己
(
おの
)
れの
越度
(
おちど
)
を詫びる言葉を
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此方
(
こっち
)
へお這入り、好いよ遠慮をしないでも………
先刻
(
さっき
)
、鳶頭が来たから
四方山
(
よもやま
)
の話をして置いたが、何うだい
能
(
よ
)
くお前の胸に落ち入ったかい、何も
是
(
こ
)
れという
越度
(
おちど
)
の無いお前に暇を出すといったら
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
玄蕃もりまさがわがいいつけをまもらぬばかりに
越度
(
おちど
)
を取ったぞ、それがし一代のこうみょうもむなしくなったが、これも前世のいんがであろうとおっしゃって、いまはおかくごのほどもすゞしく
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
越
常用漢字
中学
部首:⾛
12画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“越”で始まる語句
越
越後
越前
越中
越路
越後屋
越後獅子
越智
越中褌
越年