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貶
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おと
ふりがな文庫
“
貶
(
おと
)” の例文
然るに日本語では勉強家といふのに何の
貶
(
おと
)
しめる意味もないやうに、義憤は當然の事であつて、少しも嘲る意味を帶びてはゐない。
当流比較言語学
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
、
森林太郎
(著)
貶
(
おと
)
すその評判の
塩梅
(
あんばい
)
たる
上戸
(
じょうご
)
の酒を称し下戸の
牡丹餅
(
ぼたもち
)
をもてはやすに異ならず淡味家はアライを可とし濃味家は口取を佳とす共に真味を
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
これを見た反長老派の連中は、さまざまに非難を浴びせると共に、ここでは懺悔の神秘が専断軽率に
貶
(
おと
)
し卑しめられていると告発した。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「丞相は国の大老である。一失ありとて、何で官位を
貶
(
おと
)
してよいものぞ。どうか
旧
(
もと
)
の職にとどまってさらに、士気を養い、国を治めよ」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところで現代の火器を丁度鉄砲に対する弓くらいの価値に
貶
(
おと
)
してしまうような次の時代の兵器が想像出来るであろうか。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
かくの如きは実に人生を蹂躙侮辱し、人間の威厳を
貶
(
おと
)
すものである。この寄生的制度は永久に没却すべきである。
結婚と恋愛
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
のみならず彼の漢詩論も盛唐を
貶
(
おと
)
して
漢魏
(
かんぎ
)
を
揚
(
あ
)
げたのは前人の説を破つてゐるにもせよ、やはり僕等日本人には容易に首肯することは出来ないのである。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
勿論
(
もちろん
)
こはくもなし、然るに奇なるかな世人は此博学の人々を学者なりとてエラク思ひ、学問は二の町なれど智慧才覚ある者を才子と称して賞讃の中に
貶
(
おと
)
す。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
否、一方で
貶
(
おと
)
しめれば貶しめるほど、かえってそれは圓朝の人気へ油を注ぎ、火を放ち、果ては炎と燃え狂わすかと、赫々たるものとなりさかっていった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
信州の景色は『パノラマ』として見るべきで、大自然が描いた多くの絵画の中では恐らく平凡といふ側に
貶
(
おと
)
される程のものであらう——
成程
(
なるほど
)
、大きくはある。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの
建武
(
けんむ
)
の昔二条河原の
落書
(
らくしょ
)
とやらに申す
下尅上
(
げこくじょう
)
する
成出者
(
なりでもの
)
の姿も、その心根の
賤
(
いや
)
しさをもって一概に見どころなき者と
貶
(
おと
)
しめなみする心持にもなれなくなります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
十二、三の時から私は
勝手元
(
かってもと
)
で祖母の手伝いをさせられた。岩下家の
後嗣
(
あとつ
)
ぎから女中に
貶
(
おと
)
されたのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
栄之丞としては見くびられたとも
貶
(
おと
)
しめられたとも、言いようのない
侮蔑
(
ぶべつ
)
を
蒙
(
こうむ
)
ったように感じた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
室町時代の文化を何となく
貶
(
おと
)
しめるのは、江戸幕府の政策に起因した一種の偏見であって、公平な評価ではない。我々はよほどこの点を見なおさなくてはなるまいと思う。
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
現に、時に誇る藤原びとでも、まだ昔風の夢に
泥
(
なず
)
んで居た南家の
横佩
(
よこはき
)
右大臣は、さきおととし、
太宰員外帥
(
だざいのいんがいのそつ
)
に
貶
(
おと
)
されて、都を離れた。そうして今は、難波で謹慎しているではないか。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
数日後、子路がまた街を歩いていると、往来の
木蔭
(
こかげ
)
で
閑人達
(
かんじんたち
)
の
盛
(
さか
)
んに弁じている声が耳に入った。それがどうやら孔子の噂のようである。——
昔
(
むかし
)
、昔、と何でも
古
(
いにしえ
)
を
担
(
かつ
)
ぎ出して今を
貶
(
おと
)
す。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
三人張の強弓を引いてその矢表に立つ者なしなどとは笑止なばかりでなく、吹上藩の侍どもの名聞を
貶
(
おと
)
しめるわざだ、
閨門
(
けいもん
)
の威を張る国は亡び、女のでしゃばる家の末遂げたためしはない
粗忽評判記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それはいかにも奇妙な陰謀に触れそうな口走りようだったので、私はあわてて彼の面前から引き退ったような次第だった……女王さまは、傲慢な心をいかに
貶
(
おと
)
しむべきかを、よく御存じである。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
この引用に先立って彼は種々の文を挙げて鬼神を
貶
(
おと
)
しめているのである。彼は当時の仏教がこの世の吉凶禍福に心を迷わし、卜占祭祀を事とし、迷信邪教に陥っていることに対して鋭い批判を向けた。
親鸞
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
こぞりてひとを
貶
(
おと
)
しつゝ、 わかれうたげもすさまじき
文語詩稿 五十篇
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
心からむしりすて、自然を
貶
(
おと
)
しめ、感覚をにぶらせ
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
つめたき人は
永久
(
とこしへ
)
のやらはれ人と
貶
(
おと
)
し憎まむ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
決闘をやったために位を
貶
(
おと
)
され、のちにはまた元にかえると、今度はひどく
放蕩
(
ほうとう
)
をして、比較的多額の金を浪費した。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あの
建武
(
けんむ
)
の昔二条河原の
落書
(
らくしょ
)
とやらに申す
下尅上
(
げこくじょう
)
する
成出者
(
なりでもの
)
の姿も、その心根の
賤
(
いや
)
しさをもつて一概に見どころなき者と
貶
(
おと
)
しめなみする心持にもなれなくなります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そのため、敗軍の常とされている軍令紀律の怠りは厳正にひきしめられ、また孔明自身が官位を
貶
(
おと
)
して、ふかく自己の責任をおそれている態度も、全軍の将士の心に
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が同時に子路の率直で一本気な気質を、愛撫しつつからかっているのである。子路はもちろん孔子を心から尊敬しているから、孔子をこんなふうに言い
貶
(
おと
)
すことには不服である。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
つめたき人は
永久
(
とこしへ
)
のやらはれ人と
貶
(
おと
)
し憎まむ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
だがさうした解釈をしてみたところで、私はあの当時の私の生活の美しさや悩ましさを一寸たりとも上げも
貶
(
おと
)
しもできないことを思ふ。それは存るものが存つたまでだ。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
しかも有若は、『論語』の他の諸篇に全然名前を現わしていないような、有名でない弟子なのである。有名でないのみならず後の伝説においてはむしろあらわに
貶
(
おと
)
しめられている。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
臣
亮
(
りょう
)
は三軍の最高に在りますために、たれも臣の罪は罰するものがありません。故に、自分みずから臣職の
位
(
くらい
)
を三等
貶
(
おと
)
して、丞相の職称は宮中へお返し申しあげたいとぞんじます。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おれもおぬしも、ともに
開封
(
かいほう
)
東京
(
とうけい
)
にいた者同士よ。まずこの
面
(
つら
)
の
金印
(
きんいん
)
(額の刺青)を見てくれ。
高俅
(
こうきゅう
)
一味の悪官僚のため、むじつの罪に
貶
(
おと
)
されて、
北京
(
ほっけい
)
の
卒
(
そつ
)
に追いやられた楊志という者
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そちはいったい、どんな罪を犯して、
平
(
ひら
)
の軍卒などに
貶
(
おと
)
されてきたのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また噂のとおりな才華を示したら、
官爵
(
かんしゃく
)
を
貶
(
おと
)
して、遠地へ追い、この天下繁忙の時代に、詩文にのみ耽っている
輩
(
やから
)
の見せしめとしたらよろしいでしょう。一挙両得の策というものではありませんか。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おや、
東京
(
とうけい
)
の
楊志
(
ようし
)
が、
平
(
ひら
)
軍卒に
貶
(
おと
)
されてきたのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貶
(
おと
)
し、いやもう、ひどい沙汰です
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貶
漢検1級
部首:⾙
12画
“貶”を含む語句
貶黜
毀誉褒貶
褒貶
見貶
貶謫
貶斥
人間褒貶事千古
天主怒而貶入地獄
美刺褒貶
褒貶毀誉
貶意
貶所
貶称
貶竄
貶辭