貴婦人きふじん)” の例文
しかるを、元嘉げんか京洛きやうらく貴婦人きふじん才媛さいゑんは、平時へいじくだん墮馬髻だばきつふ。たとへばまげ片潰かたつぶしてなびつくりてうまよりちてもとゞり横状よこざまくづれたるなり
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きらびやかに品のいい貴婦人きふじんのような身なりをして、白い杖を手にもっていました。杖のあたまには、純金じゅんきんのくじゃくを、とまらせていました。
ジャックと豆の木 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「まあ、ついぞおぼえのない、いかにもやさしくなでさすられるようなかんじでございますわ。」と、まわりにたった貴婦人きふじんたちがいいました。
あのようにおうへいにいっていたらんは、ある貴婦人きふじんみせのものにつれられて、この温室おんしつはいってきたときに
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こう言って貴婦人きふじんはかじのほうに立っていた男に合図をした。この人は出て来て、へさきから岸に板をわたした。
「はい、見たのはただひとり、ひどくみすぼらしいなりをした若いむすめでした。それは貴婦人きふじんどころか、ただのいなかむすめとしか、おもわれないふうをしていました。」
一人はまだわか貴婦人きふじんで、美しい、そのくせ悲しそうな顔をしていた。もう一人はわたしぐらいの年ごろの男の子で、これはあお向けにねているらしかった。
自動車じどうしや相乘あひのりして、堂々だう/\と、淺草あさくさ上野うへの銀座ぎんざばす、當今たうこん貴婦人きふじん紳士しんしいへども、これをたら一驚いつきやうきつするであらう。たれ口癖くちぐせことだが、じつ時代じだい推移すゐいである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わかい白ぎつねの貴婦人きふじんのあいだに、ささやかなおちゃかいがひらかれることもありません。雪の女王の広間は、ただもうがらんとして、だだっぴろく、そしてさむいばかりでした。
それからまた進んで、いくつかのへやを通って行きますと、どのへやにも、紳士しんしたちや貴婦人きふじんたちが、立っているものも、腰をかけているものも、みんな、たわいなく眠りこけていました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
かの女はわかい美しい貴婦人きふじんで、そのりっぱな毛皮の上着だけでもこの村一番の金持ちにちがいないとわたしは思った。かの女はいっしょに子どもをれていた。
ころ近國きんごく知事ちじおもひものりました……めかけとこそへ、情深なさけぶかく、やさしいのを、いにしへ國主こくしゆ貴婦人きふじん簾中れんちうのやうにたゝへられたのがにしおふなか河内かはち山裾やますそなる虎杖いたどりさと
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして、ここにもりょうにさそうさっきの夢は、もうとんで来ていましたが、あまりはやくうごきすぎて、ゲルダはえらい殿とのさまや貴婦人きふじん方を、こんどはみることができませんでした。
貴婦人きふじんたちは、貴婦人たちで、みんなじろじろと、サンドリヨンの着物から、頭のかざりものをしらべてみて、まあ、まあ、あれだけのりっぱな材料ざいりょうと、それをこしらえるりっぱな職人しょくにんとさえあれば
東雲しのゝめ太陽たいやうめぐみの、宛然さながら處女しよぢよごとく、さわやか薄紅うすくれなゐなるに、難有ありがたや、きつねともらず、たぬきともならず、紳士しんしり、貴婦人きふじんとなり、豪商がうしやうとなり、金鎖きんぐさりとなり、荷物にもつり、おほいなるかばんる。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)