トップ
>
見識
>
みし
ふりがな文庫
“
見識
(
みし
)” の例文
いつもは
見識
(
みし
)
らない場所へ来るとまっさきに立って駈け出すにもかかわらず、今夜はわたしの靴の
踵
(
かかと
)
にこすりついて来るのであった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
そいつを、どこかで伊那の顔を
見識
(
みし
)
っていた毛唐の一等船客が発見して、あの
小僧
(
ボーイ
)
と一所なら船を降りると云って騒ぎ出した。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、私が、自分の食べあらした皿を眺めて
他人
(
ひと
)
ごとのように感心していると、むこうの
卓子
(
テーブル
)
から
見識
(
みし
)
らぬ日本紳士が立ってきて
慇懃
(
いんぎん
)
に礼をした。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
市郎は彼が家出の
後
(
のち
)
に生れた
児
(
こ
)
であるから、
相互
(
たがい
)
に顔を
見識
(
みし
)
ろう筈はなかったが、
其詞
(
そのことば
)
の
端
(
はし
)
に
因
(
よっ
)
て、重蔵は早くも彼が角川家の
倅
(
せがれ
)
であることを悟った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
爺
(
ぢい
)
見
(
み
)
てえだな、おとつゝあ」と
小聲
(
こごゑ
)
で
告
(
つ
)
げた。それから
勘次
(
かんじ
)
も
覗
(
のぞ
)
いて、
鍵
(
かぎ
)
を
外
(
はづ
)
して
這入
(
はひ
)
つた。
與吉
(
よきち
)
は
見識
(
みし
)
らぬ
爺
(
ぢい
)
さんが
居
(
ゐ
)
るので
羞
(
はに
)
かんでおつぎの
後
(
うしろ
)
へ
隱
(
かく
)
れた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
ことに、今日このごろのように浪士狩りが
辛辣
(
しんらつ
)
になって、しかもああ顔を
見識
(
みし
)
られていることを思えば、守人も今さらのように身内が引き締まるのを覚えるのだ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
目を挙げて遥かに見しにそのヨブなるを
見識
(
みし
)
りがたきほどなりければ、
斉
(
ひと
)
しく声をあげて泣き、各々おのれの
外衣
(
うわぎ
)
を裂き、天に向いて
塵
(
ちり
)
を
撒
(
ま
)
きて己の頭の上に散らし
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この時
右手
(
めて
)
なる犬は進みよりて、「やをれ聴水われを
見識
(
みし
)
れりや」ト、いふに聴水
覚束
(
おぼつか
)
なくも、彼の犬を見やれば、こは
怎麼
(
いか
)
に、昨日黒衣に射らせたる黄金丸なるに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
手紙を持って来たのは、名は知らぬが、
見識
(
みし
)
った顔の小使で、
二十
(
はたち
)
になるかならぬの若者である。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
岡本は容易に坐に
就
(
つ
)
かない。見廻すとその
中
(
うち
)
の五人は兼て一面識位はある人であるが、一人、色の白い中肉の品の
可
(
よ
)
い紳士は未だ
見識
(
みし
)
らぬ人である。竹内はそれと気がつき
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わが
猶予
(
ためら
)
いたるを見て、木戸番は声を懸けぬ。日ごとに
行
(
ゆ
)
きたれば顔を
見識
(
みし
)
れるなりき。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うん、隅田乙吉だな」
見識
(
みし
)
り越しの刑事も呻った。「どうしたのか」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、これも
相互
(
たがい
)
に顔を
見識
(
みし
)
らなかったので、二十年
振
(
ぶり
)
で初めて
邂逅
(
めぐりあ
)
った現在の父と子が、
此
(
ここ
)
に
忽
(
たちま
)
ち敵となった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……然るにこの助太刀の二人というのが相当名のある佐幕派の浪人で、身共の顔を
見識
(
みし
)
りおって友川の手引をしたらしいと思われたが、事実、三人とも中々の者でのう。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「何さ。為体の知れねえ
瘡
(
かさ
)
っかきだからのう、
容貌
(
そつぼう
)
見識
(
みし
)
っとく分にゃ怪我はあるめえってことよ。うん、それよりゃあ彦、手前の種ってえのを蒸返し承わろうじゃねえか。」
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これが苦労の一つである。またこの
界隈
(
かいわい
)
ではまだ
糸鬢奴
(
いとびんやっこ
)
のお
留守居
(
るすい
)
を
見識
(
みし
)
っている人が多い。それを横網町の下宿に
舎
(
やど
)
らせるのが気の毒でならない。これが保の苦労の二つである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「でも開けられないのですよ」帆村の
見識
(
みし
)
り
越
(
ご
)
しの警官が云った。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その節は場所柄とて碌々と御挨拶も致さなんだが、拙者は大泉伴左衞門橘の正連、あらためてお
見識
(
みし
)
りくだされ。平九郎、おまへも此のお方を存じてゐる筈だな。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
チットばかり細工はしているが、あんまり
見識
(
みし
)
り
甲斐
(
がい
)
がなさ過ぎるじゃないか。眼付きを見ただけでも日本人とわかりそうなもんだが……アハハハ。
姐
(
ねえ
)
さんにも似合わない。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ナニ? 御前がお前
見識
(
みし
)
りごしだというのか」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
歩哨
(
ほしょう
)
の衛兵が
能
(
よ
)
く
視
(
み
)
ると、それは陸軍の提灯で別に不思議もなかった。段々
近
(
ちかづ
)
いて来ると、提灯の持主は
予
(
かね
)
て顔を
見識
(
みし
)
っているM大尉で、身には大尉の軍服を着けていた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その老女の家へ
見識
(
みし
)
らない老人がたずねて来た。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“見識”の意味
《名詞》
見識(けんしき)
本質を見通した判断力。しっかりした考えや見方。
気位。
(出典:Wiktionary)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
識
常用漢字
小5
部首:⾔
19画
“見識”で始まる語句
見識人
見識家
見識張
見識越