“興(きやう)” の例文
思へば風前(ふうぜん)の燈(ともしび)に似たる平家の運命かな。一門上下(しやうか)花(はな)に醉(ゑ)ひ、月に興(きやう)じ、明日(あす)にも覺(さ)めなんず榮華の夢に、萬代(よろづよ)かけて行末祝ふ、武運の程ぞ淺ましや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
嬋娟哥妓(うつくしきげいしや)袖をつらね、素手(そしゆ)弄糸(いとをろうし)朱唇(しゆしん)謡曲(きよくをうたふ)迦陵頻伽(かりやうびんが)の声(こゑ)、外面如𦬇(げめんによぼさつ)の色(いろ)興(きやう)を添(そゆ)れば、地獄谷(ぢごくだに)遽然(たちまち)極楽世界(ごくらくせかい)となれり。
鞠(まり)なげ、繩(なわ)とびの遊(あそ)びに興(きやう)をそへて長(なが)き日(ひ)の暮(く)るゝを忘(わす)れし、其折(そのをり)の事(こと)とや、信如(しんによ)いかにしたるか平常(へいぜい)の沈着(おちつき)に似(に)ず、池(いけ)のほとりの松(ま)が根(ね)につまづきて赤土道(あかつちみち)に手(て)をつきたれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何だか、女の美が、拵え物にすぎないやうな興(きやう)ざめを持つ。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
技(わざ)の手振(てぶり)の戯(ざれ)ばみに、笑(ゑ)み廣(ひろ)ごりて興(きやう)じ合(あ)ふ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
嬋娟哥妓(うつくしきげいしや)袖をつらね、素手(そしゆ)弄糸(いとをろうし)朱唇(しゆしん)謡曲(きよくをうたふ)迦陵頻伽(かりやうびんが)の声(こゑ)、外面如𦬇(げめんによぼさつ)の色(いろ)興(きやう)を添(そゆ)れば、地獄谷(ぢごくだに)遽然(たちまち)極楽世界(ごくらくせかい)となれり。
双坡楼(そつはろう)扇(あふぎ)をいだして余(よ)に句(く)を乞(こ)ふ、妓も持(もち)たる扇を出(いだ)す。京水画をなし、余即興(そくきやう)を書(しよ)す。これを見て岩居(がんきよ)をはじめおの/\壁(かべ)に句(く)を題(だい)し、更(さら)に風雅(ふうが)の興(きやう)をもなしけり。
双坡楼(そつはろう)扇(あふぎ)をいだして余(よ)に句(く)を乞(こ)ふ、妓も持(もち)たる扇を出(いだ)す。京水画をなし、余即興(そくきやう)を書(しよ)す。これを見て岩居(がんきよ)をはじめおの/\壁(かべ)に句(く)を題(だい)し、更(さら)に風雅(ふうが)の興(きやう)をもなしけり。
これは小千谷の下た町といふ所の酒楼(しゆろう)に居(を)る酌採(しやくとり)の哥妓(げいしや)どもなり、岩居(がんきよ)朋友(はういう)と計(はか)りて竊(ひそか)に此(こゝ)に招(まねき)おきて余(よ)に興(きやう)させん為(ため)とぞ。渠(かれ)は狐にあらずして岩居(がんきよ)に魅(ばか)されたるなり。
これは小千谷の下た町といふ所の酒楼(しゆろう)に居(を)る酌採(しやくとり)の哥妓(げいしや)どもなり、岩居(がんきよ)朋友(はういう)と計(はか)りて竊(ひそか)に此(こゝ)に招(まねき)おきて余(よ)に興(きやう)させん為(ため)とぞ。渠(かれ)は狐にあらずして岩居(がんきよ)に魅(ばか)されたるなり。