いたつ)” の例文
人伝ひとづてにては何分にも靴を隔ててかゆきを掻くのうらみに堪へぬからです、今日こんにちいたつては、しひて貴嬢の御承諾を得たいと云ふのが私の希望では御座いませぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それゆゑだれかれききまゐなかに、可楽からくふ者があつて、これ櫛職人くししよくにんでござりましたが、いたつ口軽くちがる面白おもしろい人ゆゑ、わたくしも一つ飛入とびいり落語はなしをして見たいと申込まうしこんだ。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
まよしけるうち近隣きんりんの社人玉井大學たまゐだいがくの若黨に源八と云者いふものありしが常々つね/″\通仙つうせんの見世へ來てははなしなどして出入りしに此者このものいたつ好色かうしよくなれば娘お高を見初みそめ兩親の見ぬ時などは折々をり/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今にいたつて考へて見れば、我ながら余りの愚蒙ぐもう軽忽けいこつとにあきれるばかりです、私は初め山木君——貴嬢あなたの父上の御承諾を得ました時、既に貴嬢の御承諾を得たるが如く心得、歓喜の余り
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
西洋あちらの子供はいたつ利口りこうだといふお話で。著述ちよじゆつをなさるおかたがございます。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
盡しけれ共其しるしなくつひに享保元年八月十八日歸らぬ旅におもむきけりよつて女房おもせは深くなげきしが今更せんなきことと村中の者共打よりて成田村なる九品寺くほんじ葬送さうそうなし一ぺんけふりとしてあと懇切ねんごろとふらひたり此おもせはいたつ貞節者ていせつものにて男まさりなりければ未だ年若としわかなれども家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
好まるゝと雖も御同行どうかうなされし御兩卿りやうきやう方の手前もある故餘儀よぎなく斯は御談じ申せしなりさりながら爰に一つお頼み申度儀御座候其事御承知に候はゞ拙者共何とか工夫くふう致し取り扱ひ申すべく其のわけ近來きんらい當家も勝手向かつてむきいたつ不手廻ふてまはりに付殊の外御難儀成れ見らるゝ如く御殿の普請ふしん打捨置うちすておき候次第ゆゑ此度の御謝物しやもつの御心得にて少々金子きんす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)