老僕ろうぼく)” の例文
数間かずまじいやのことは、ツイうっかりしてまだ一もお風評うわさいたしませんでしたが、これは、むかし鎌倉かまくら実家さとつかえていた老僕ろうぼくなのでございます。
ラネーフスカヤ夫人を停車場まで迎えに行った老僕ろうぼくフィールスが、つえにすがりながら、あたふたと舞台をよこぎる。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
女中が二人、書生が一人、老僕ろうぼくが一人、他に抱車夫かかえしゃふが一人という大家族であったので、家も相当に広く、間数がいくつもあって廊下ろうか続きになっていた。
その年うるう五月五日、咸臨丸かんりんまる無事ぶじ帰朝きちょうし、かん浦賀うらがたっするや、予が家の老僕ろうぼくむかいきたりし時、先生老僕ろうぼくに向い、吾輩わがはい留守中るすちゅう江戸において何か珍事ちんじはなきやと。
傍屋はなれの、せまくるしいうすぎたないひかしつへ、わたしがおさえても止らぬ武者ぶるいに総身をふるわせながら入って行くと、そこでわたしをむかえたのは、白髪しらがあたまの老僕ろうぼくだった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
その後で老僕ろうぼくを呼んでそわそわといいつけた。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
老僕ろうぼくひたいしかめ、り有り、大変たいへんが有りたりという。先生手をげて、そはしばらくくをめよ、我まずこれを言わん、浮浪ふろう壮士そうし御老中ごろうじゅうにても暗殺あんさつせしにはあらざると。
例の老僕ろうぼくが、無愛想なでわたしをじろりと見ると、しぶしぶ腰掛こしかけからしりをもたげた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
わたくしちちも、ははも、それからわたくし手元てもとめし使つかっていた、忠実ちゅうじつ一人ひとり老僕ろうぼくなども、わたくし岩屋いわやとき前後ぜんごして歿ぼっしまして、その都度つどわたくしはこちらから、見舞みまいまいったのでございます。
フィールス 老僕ろうぼく、八十七歳
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
或日、老僕ろうぼく、先生の家に至りしに、二三の来客らいかくありて、座敷ざしきの真中に摺鉢すりばちいわしのぬたをり、かたわらに貧乏徳利びんぼうとくり二ツ三ツありたりとて、おおいにその真率しんそつに驚き、帰りて家人かじんげたることあり。