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笑談
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じょうだん
ふりがな文庫
“
笑談
(
じょうだん
)” の例文
随分そっけなくして、
笑談
(
じょうだん
)
一つ言わないのに、女中は飽くまで丁寧にしている。それは大石が外の客の倍も
附届
(
つけとどけ
)
をするからである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかしその他の場合では、罪のない
笑談
(
じょうだん
)
を言ったりして、妻や子供の家族を笑わせ、女中までも仲間に入れて、一家
団欒
(
だんらん
)
の空気を作った。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
津田はこの子供に対するような、
笑談
(
じょうだん
)
とも訓戒とも
見分
(
みわけ
)
のつかない言葉を、苦笑しながら聞いた後で、ようやく室外に
逃
(
のが
)
れ
出
(
で
)
た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
笑談
(
じょうだん
)
じゃない、そうじゃない雪焼けだよ、どうも頭痛がして、それに顔が火のようにほてってたまらないんだ、君は何ともないのかい」
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
鶴さんに
揶揄
(
からか
)
われながら自分の様子をほめられたときに、半分は真剣らしく、半分は
笑談
(
じょうだん
)
らしく、妹のそこにあることを
意
(
こころ
)
にかけぬらしく
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
それをさしたるものとは知らず、取調べに当って、
笑談
(
じょうだん
)
に、足の裏のホリモノは何のマジナイなりやと問いかけたり。
復員殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
何かの
笑談
(
じょうだん
)
を云って「エス・イスト・ヤー・マノーリ」というから、それは何の事だと聞いてみると、「馬鹿げた事だ」という意味の流行語だという。
喫煙四十年
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
笑
(
じょう
)
、
笑談
(
じょうだん
)
言って。私なんざ年ばかしいい年して、からもう意気地がねえもんだから、いくら稼いでも、やっと二人が口を
糊
(
ぬら
)
して行くだけでげさ、へへへへ。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
そして
笑談
(
じょうだん
)
のように、軽い、好い拳銃を買いたいと云った。それから段々話し込んで、
嘘
(
うそ
)
に
尾鰭
(
おひれ
)
を付けて、
賭
(
かけ
)
をしているのだから、拳銃の打方を教えてくれと頼んだ。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
笑
(
じょ
)
、
笑談
(
じょうだん
)
じゃござんせぬ。ごらんの通りわたしどもは田舎ものばかり、この人前で手前ども
風情
(
ふぜい
)
を恥ずかしめてみたとて、お旦那方のご自慢になるわけじゃござんせぬ。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
青天の
霹靂
(
へきれき
)
である。一同
暫
(
しばら
)
くは
茫然
(
ぼうぜん
)
としていた。
笑談
(
じょうだん
)
だろうか。この貴族先生の顔色を見るに、そうは受け取れない。世界を一周する。誰一人それを望まないものはない。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
なんだかエルリングの事は、食卓なんぞで、
笑談
(
じょうだん
)
半分には話されないとでも思うらしく見えた。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
笑談
(
じょうだん
)
は置いて、わたしがこうやってここへ来るのなんぞも、同じ道理かも知れないでしょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
「そうさ。ひどく草臥ている。」男は笑いながらこう云って、
笑談
(
じょうだん
)
らしく女の髪を
撫
(
な
)
でた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
自分のような
乞食
(
こじき
)
同様な百姓を、こんな
長者
(
ちょうじゃ
)
の内の
婿
(
むこ
)
にするはずはない、これはきっとこの年寄の気が狂っているのか、それでなければ
笑談
(
じょうだん
)
に言っているのだと思いましたから
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
笑談
(
じょうだん
)
半分に私はいい出しました。皆が妙な顔をして私の顔を見ているのは、一体、大仏を拵えてどうするのかという顔附きです。で、私は勢い大仏の趣向を説明して見ねばなりません。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
皆は四方の棚の上下の寝床から身体を乗り出して、ひやかしたり、
笑談
(
じょうだん
)
を云った。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
医学士「ハハハハ
停車場
(
すていしょん
)
へ、預けてある荷物を受け取らねば成らぬと仰有ったが茲は停車場では有りませんよ、貴方の商用とは大変な商用ですネエ」嘲けるよりも寧ろ打ち解けて
笑談
(
じょうだん
)
を
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「浮気」彼女は
柳眉
(
りゅうび
)
を逆立てていう。「
笑談
(
じょうだん
)
じゃないわ。あんなところに、お勤めしていても、あたしだけは真面目で通したのよ。だから、日に四百円ぐらいしか、平均の収入なかったのよ」
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「旦那
笑談
(
じょうだん
)
ではございませんよ、失礼な。お客様御免下さいまし。」
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まあ、洒落や
笑談
(
じょうだん
)
は
廃
(
よし
)
にして、わたしは度々
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
笑談
(
じょうだん
)
半分入って見た傷害保険が役に立つ訳だが、アヴァランシュの騒ぎで、金入れと
一所
(
いっしょ
)
に証書までどこかへ落したのは滑稽だ。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
妻の
笑談
(
じょうだん
)
を聞いて始めてそれを思い出した時、私は妻に向ってもし自分が殉死するならば、明治の精神に殉死するつもりだと答えました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
客は自己の無智に乗ぜられていながら、少しもそれを
曉
(
さと
)
らずに、薄い
笑談
(
じょうだん
)
の衣を掛けた、苦い皮肉を
浴
(
あび
)
せられて、無邪気に笑い興じている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
上さんは、
笑談
(
じょうだん
)
らしく
妾
(
めかけ
)
の周旋を頼んだりする小野田に言うのであったが、お島はやっぱりそれを聞流してはいられなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私も傍で聞いていて
諢
(
からか
)
うのだと思った。女房も始めは
笑談
(
じょうだん
)
にしていたが、銭占屋はどこまでも本気であった。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
食事をして一応女中と
笑談
(
じょうだん
)
でも云い合わなければ寝る順がつかないような感じのところだ。
安吾巷談:07 熱海復興
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
笑談
(
じょうだん
)
半分に私はいい出しました。皆が妙な顔をして私の顔を見ているのは、一体、大仏をこしらえてどうするのかという顔つきです。で、私は勢い大仏の趣向を説明してみねばなりません。
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
これは無論
笑談
(
じょうだん
)
であるが彼の真意は男女の特長の差異を認めるにあるらしい。
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
男は
笑談
(
じょうだん
)
らしく云った。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
笑談
(
じょうだん
)
じゃない。なにを
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
笑談
(
じょうだん
)
じゃない!
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「ええまあ
笑談
(
じょうだん
)
みたいなものです。ごくごく
大袈裟
(
おおげさ
)
に云ったところで、面白半分の
悪戯
(
いたずら
)
よ。だから思い切ってやるとおっしゃい」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おとなしくして待っているのだよ」と、
笑談
(
じょうだん
)
らしく云って、末造は
巻烟草入
(
まきたばこいれ
)
をしまった。そしてついと立って戸口へ出た。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
紐をゆるめて
跳
(
は
)
ね返るまでには、半分は本気で半分は
笑談
(
じょうだん
)
のような無言の争闘がしばらく続いたが、起きあがってみると、ぐったりとした
吭笛
(
のどぶえ
)
のところは
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「え⁈」と男は思わず目を見張って顔を見つめたが、苦笑いをして、「
笑談
(
じょうだん
)
だろう?」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
まア
笑談
(
じょうだん
)
のつもりで御返事下さい、というような打ち解けた素振りであった。
犯人
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
Kにはそこが大変気に入っていたのです。それで私は
笑談
(
じょうだん
)
半分
(
はんぶん
)
に、そんなに好きなら死んだらここへ埋めてやろうと約束した覚えがあるのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
芸者は
窘
(
たしな
)
めるように、ちょいと僕を見て、僕の右前の方の人に杯を差した。
笑談
(
じょうだん
)
ではない。笑談を
粧
(
よそお
)
ってもいない。右前にいたのは某教授であった。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
新吉は
罰
(
ばつ
)
が悪そうに振り
顧
(
む
)
いて、淋しい顔に
笑
(
え
)
みを浮べた。「
笑談
(
じょうだん
)
じゃねえ。明日から頭数が一人殖えるんだ。うっかりしちゃいらんねえ。」と
低声
(
こごえ
)
で言った。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あれ、
笑談
(
じょうだん
)
じゃないんだよ。まあ写真を見せるから……」と立ちかける。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
夫の言葉を
笑談
(
じょうだん
)
半分に聴いていられるようになった細君は、自分の生命に対して鈍いながらも一種の危険を感じたその当時を顧みなければならなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
笑談
(
じょうだん
)
じゃないぜ。その位な事を、どう思って見ようもないじゃないか。いつまでねんねえでいるのだい」
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「どうせそうでしょうよ、これは私のお土産ですもの」お島は不快な気持に顔を
赧
(
あから
)
めた。「でも
笑談
(
じょうだん
)
にもそういわれると、厭なものね。子供が可哀そうのようで」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
笑談
(
じょうだん
)
いっちゃいけない。これだけの
構
(
かまえ
)
をしていて、その位の融通が利かないなんて、そんなはずがあるもんか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
笑談
(
じょうだん
)
お言いでない。」お松も実は余り心丈夫でもなかったが、半分は意地で強そうな返事をした。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
銀子は
笑談
(
じょうだん
)
を言ったが、正直な婆やはちょっと
真
(
ま
)
に受け、「まさか」と顔を見比べて笑っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれどもこういう場合に、大丈夫だと思ってつい
笑談
(
じょうだん
)
に押すと、押したこっちがかえって
手古摺
(
てこず
)
らせられるくらいの事は、彼に困難な想像ではなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
只何事をも
強
(
し
)
いて
笑談
(
じょうだん
)
に取りなす癖のおじが、珍らしく
生真面目
(
きまじめ
)
になっていただけである。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
葉子は
笑談
(
じょうだん
)
のように
羨望
(
せんぼう
)
の
口吻
(
こうふん
)
を
洩
(
も
)
らすこともあったが、大枚の生活費を秋本に
貢
(
みつ
)
がせながら、愛だけを独占しようとしている庸三の無理解な利己的態度が、時には腹立たしく思えてならなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
談
常用漢字
小3
部首:⾔
15画
“笑談”で始まる語句
笑談口
笑談学