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痛手
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いたで
ふりがな文庫
“
痛手
(
いたで
)” の例文
路面に転っていると、群衆に踏みつぶされる
虞
(
おそ
)
れがあるので彼は
痛手
(
いたで
)
を
堪
(
た
)
えて、じりじりと、
商家
(
しょうか
)
の軒下へ、虫のように
匍
(
は
)
っていった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
愛なき結婚が生んだこの不遇と、この不遇から受けた
痛手
(
いたで
)
から私の生涯は
所詮
(
しょせん
)
暗い
帳
(
とばり
)
の中に終るものだと
諦
(
あきら
)
めた事もありました。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
然し血気の怒に
任
(
まか
)
する巳代吉の勢鋭く、親分は右の手首を
打折
(
うちお
)
られ、
加之
(
しかも
)
棒に出て居た釘で右手の肉をかき
裂
(
さ
)
かれ、大分の
痛手
(
いたで
)
を負うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
此の時河内介に取っては、父の
膝下
(
しっか
)
へ戻る
嬉
(
うれ
)
しさもさることながら、
桔梗
(
ききょう
)
の
方
(
かた
)
との別離の悲しみも当分は
癒
(
いや
)
し難い
痛手
(
いたで
)
であった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし忠實で親切なあなたが、直ぐに私を突き通してしまはないやうに、私の
痛手
(
いたで
)
の場所は教へないことにしませう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
火のなかから
跳
(
と
)
びだした半助は、ほッとして大地へたおれたが、やにわにまた足の
痛手
(
いたで
)
を忘れておどりたった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向て有し故左りの方へ
跳起
(
はねおき
)
て枕元に有し短刀を拔き
汝
(
おのれ
)
曲者御參なれと切て掛れど病に
疲
(
つか
)
れし上
痛手
(
いたで
)
をさへ負たれば忽ち
眼
(
め
)
昏
(
くら
)
みて手元の狂ひし
故
(
ゆゑ
)
吾助が
小鬢
(
こびん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
わたしは、なかなか過去と
縁
(
えん
)
を切ることができなかったし、そう手っとり早く勉強にかかることもできなかった。心の
痛手
(
いたで
)
が
癒
(
い
)
えるまでには相当の時間が
要
(
い
)
ったのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
『お前ひどく血が出るか、不死の馬よ!』若者は自分の
痛手
(
いたで
)
よりも、今まで痛さというものは味わったことのない筈の、この栄光ある動物の苦痛の方を心配して、叫びました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
だがホーベスの
負傷
(
ふしょう
)
は、急所の
痛手
(
いたで
)
なので、この
妙薬
(
みょうやく
)
も
効験
(
こうけん
)
はなかった。かれは自分でとうてい助からないと知り、眼をかすかに開いて、ケートの顔をしみじみとながめていった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ロミオ
人
(
ひと
)
の
痛手
(
いたで
)
を
嘲
(
あざけ
)
りをる、
自身
(
じしん
)
で
創
(
きず
)
を
負
(
お
)
うたことの
無
(
な
)
い
奴
(
やつ
)
は。……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
やっとこなと起かけてみたが、何分両脚の
痛手
(
いたで
)
だから、なかなか起られぬ。
到底
(
とて
)
も
無益
(
むだ
)
だとグタリとなること二三度あって、さて
辛
(
かろ
)
うじて半身起上ったが、や、その痛いこと、覚えず
泪
(
なみだ
)
ぐんだくらい。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
小男鹿
(
さをじか
)
の
痛手
(
いたで
)
ぞわれに
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
自分も、横浜のとても
好
(
い
)
い
住居
(
すまい
)
も若い時から造らせた好い
箏
(
こと
)
も、なにもかも震災の難にあって、命だけたすかった、身に覚えのある
痛手
(
いたで
)
なので
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
青木主膳は
鑓
(
やり
)
で突かれた
股
(
もゝ
)
に
繃帯
(
ほうたい
)
をしていたが、二度目に腕へ負傷してからも
痛手
(
いたで
)
に屈せず働いていた。そして極くたまに法師丸の顔を見ることがあると
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ほとんど、水も
漏
(
も
)
らさぬほど完封してあるのに、これが敵兵に何の
痛手
(
いたで
)
もないとあっては一大事じゃが
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
失ったことは、たいへんな
痛手
(
いたで
)
だ。この国は、もう一度立直れるかどうか、あやしくなった
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「捨ててはおけず、といって、今すぐに、大軍を
催
(
もよお
)
すには、いかんせん、わが魏にはなお、
赤壁
(
せきへき
)
の
痛手
(
いたで
)
の
癒
(
い
)
えきらないものがありますから、にわかに無理な出兵も考えものです」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
痛手
(
いたで
)
を忘れて、窓の
枠
(
わく
)
につかまりながら、家の中を
覗
(
のぞ
)
きこんだ。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ふいに
吠
(
ほ
)
えるような蚕婆の声とともに、さすがは半助、足の
痛手
(
いたで
)
を忘れて、ポーンと小川を
跳
(
と
)
びこえたが、よりはやく、
闇
(
やみ
)
のなかを飛んできた投げ
縄
(
なわ
)
の輪が無残、五体にからんでザブーンと
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼にとって大きな
痛手
(
いたで
)
であったかが思いやられる。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
痛
常用漢字
小6
部首:⽧
12画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“痛”で始まる語句
痛
痛痒
痛罵
痛々
痛快
痛哭
痛事
痛入
痛烈
痛切