おす)” の例文
存命ながらえて坊主になって老い朽ちた。娘のために、姉上はそれさえお引取りになった。けれども、その魂は、途中でおす海月くらげになった。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おすめすと」ふたりの雇い人がいた。新しい雇い人がやって来る時には、ジルノルマン氏は新たに洗礼名をつけてやるのを常とした。
このパリーのきれいな人たちは、おすが自分を裏切っためすを殺そうとする畜生的な本能にたいして、いろいろ抗弁して、寛大な理性を説くんですね。
「此奴も奇抜な意匠だ。左右少し面相のかわっているのはめすおすの積りなんだろう。君、用心し給え。掏摸すりがいるぜ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
家畜の宰領をしているラファエレに、現在の頭数を聞いて見たら、乳牛三頭、こうしめすおす各一頭ずつ、馬八頭、(ここ迄は聞かなくても知っている。)豚が三十匹余り。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
この膃肭獣おっとせいと云うやつは、おすが一匹いる所には、めすが百匹もくっついている。まあ人間にすると、牧野さんと云う所です。そう云えば顔も似ていますな。だからです。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「今度、家に赤ちやんが生れるのよ」と話したら「え? あなたの御家の犬、おすだつたでせう」
赤ちやん (新字旧仮名) / 平山千代子(著)
どこの動物園へ行って見ても、猛獣の檻には大ていおすめすとがお揃いでいるものだわ。あたし、もうせんから、あんたにお嫁さんをお世話しなけりゃと思って、いろいろ心がけていたのよ。
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ごろりと仰向きに臥ているおす、右の前ひれで、はたりはたりと煽いでいるもの
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「お浜、おすにばかり親切するのでなかど。めすにもオカラをやってくれよ」
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
「だって小父さん、めすおすならば喧嘩けんかしないって云うじゃありませんか」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ここ怜悧りこう観世物師みせものしがあったら、ただちに前代未聞と吹聴すべき山𤢖やまわろなるものの正体はそもんなであったか。勿論もちろん、彼等にもめすおすはあろうが、今ここに屍体となって現われたのは、たしかに女性であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこへブロッケンの山から駆けて帰る、年の寄った山羊やぎおす
ドウ、ドウ、二本松生れの五歳のおすで、ドウ、ドウ
体重 おすで一一〇封度ポンドめすで八〇封度まで
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
... 買って料理に使いますが犢の肉もやっぱり一週間位けますか」お登和嬢「イイエ犢の肉は牛肉よりも食頃たべごろが速いのでく寒い時でもほふってから三、四日目位でございます」妻君「犢の肉はやっぱり大牛おおうしのように牝牛めうしの方がいいのでしょうか」お登和嬢「犢の時は孰方どちらも同じ事ですが大概おすばかりでめす滅多めったほふりません。 ...
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
(いんえごねんごろには及びましねえ。しっ!)と荒縄あらなわつなを引く。青で蘆毛あしげ裸馬はだかうまたくましいが、たてがみの薄いおすじゃわい。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
するとある日女たちは、どこから洞穴ほらあなへつれて来たか、一頭の犬を飼うようになった。犬は全身まっ黒な、こうしほどもあるおすであった。彼等は、殊に大気都姫おおけつひめは、人間のようにこの犬を可愛がった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
女房はおおかみめすおすに従うように、うなりながらその言葉に従った。
半七 そのほかにおすの犬っころは何匹飼ってありますね。
勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしも極丈夫な山羊やぎおすが一匹欲しくなりました。
(いんえ御懇ごねむごろにはおよびましねえ。しつ!、)と荒縄あらなはつなく。あを蘆毛あしげ裸馬はだかうまたくましいが、たてがみうすおすぢやわい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「このおす。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)