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煮焚
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にたき
ふりがな文庫
“
煮焚
(
にたき
)” の例文
松子さんの病室の次の間は
囲炉裡
(
ゐろり
)
になつてゐて、このごろは、三郎さんがお母さんに代つて、そこで
煮焚
(
にたき
)
をしました。
身代り
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
彼は
唯
(
ただ
)
、今の離座敷にあるものをそっくり新規な家の方へ持って行くだけのことであった。丁度
煮焚
(
にたき
)
の世話を頼むに好さそうな婆やも一人見つかったし。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
デモ母親は
男勝
(
おとこまさ
)
りの気丈者、貧苦にめげない
煮焚
(
にたき
)
の
業
(
わざ
)
の片手間に一枚三厘の
襯衣
(
シャツ
)
を
縫
(
く
)
けて、身を
粉
(
こ
)
にして
掙了
(
かせ
)
ぐに追付く貧乏もないか、どうかこうか湯なり
粥
(
かゆ
)
なりを
啜
(
すすっ
)
て
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
本当にこれまで互に
跣足
(
はだし
)
になって一生懸命に働いて、萩原様の所にいる時も、私は
煮焚
(
にたき
)
掃除や針仕事をし、お前は
使
(
つかい
)
はやまをして
駈
(
かけ
)
ずりまわり、何うやら斯うやらやっていたが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大台所から吐かれる夕煙が寺内にたち
籠
(
こ
)
め始めた。一切の
煮焚
(
にたき
)
から
炊
(
かし
)
ぎや風呂も
薪
(
たきぎ
)
である。宵にかかる前の一刻はここばかりでなく洛中洛外が
炊煙
(
すいえん
)
をたなびかせているのだった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
彼
(
かれ
)
は
勘次
(
かんじ
)
から
幾
(
いく
)
らかづゝの
米
(
こめ
)
や
麥
(
むぎ
)
を
分
(
わ
)
けさせて
別居
(
べつきよ
)
した
當座
(
たうざ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
で
煮焚
(
にたき
)
をした。それが
却
(
かへつ
)
て
氣藥
(
きらく
)
でさうして
少
(
すこ
)
しづゝは
彼
(
かれ
)
の
舌
(
した
)
に
佳味
(
うま
)
く
感
(
かん
)
ずる
程度
(
ていど
)
の
物
(
もの
)
を
求
(
もと
)
めて
來
(
く
)
ることが
出來
(
でき
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
煮焚
(
にたき
)
勿論
(
もちろん
)
、水ももろうてあるき、五丁もはなれた足場の悪い
品川堀
(
しながわぼり
)
まで
盥
(
たらい
)
をかゝえて洗濯に往っては腰を痛くし、それでも
帰途
(
かえり
)
には
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
なぞ見つけて、
摘
(
つ
)
んで来ることを忘れなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
屋背は深き
谿
(
たに
)
に臨めり。竹樹
茂
(
しげ
)
りて水見えねど、急湍の
響
(
ひびき
)
は絶えず耳に入る。
水桶
(
みずおけ
)
にひしゃく添えて、
縁側
(
えんがわ
)
に置きたるも興あり。室の中央に
炉
(
ろ
)
あり、火をおこして
煮焚
(
にたき
)
す。されど熱しとも覚えず。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
近所の婆さんが、
煮焚
(
にたき
)
の世話をしてくれていたそうです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「
煮焚
(
にたき
)
も出来るね」
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
長二は其の頃両親とも
亡
(
なくな
)
りましたので、
煮焚
(
にたき
)
をさせる
雇婆
(
やといばあ
)
さんを置いて、独身で本所
〆切
(
しめきり
)
に
世帯
(
しょたい
)
を持って居りましたが、何ういうものですか弟子を置きませんから、下働きをする者に困り
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女房おみねは萩原の
宅
(
たく
)
へ参り
煮焚
(
にたき
)
洒
(
すゝ
)
ぎ洗濯やお
菜
(
かず
)
ごしらえお給仕などをしておりますゆえ、萩原も伴藏夫婦には
孫店
(
まごだな
)
を貸しては置けど、
店賃
(
たなちん
)
なしで住まわせて、
折々
(
おり/\
)
は
小遣
(
こづかい
)
や
浴衣
(
ゆかた
)
などの古い物を
遣
(
や
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
煮
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
焚
漢検準1級
部首:⽕
12画
“煮”で始まる語句
煮
煮染
煮炊
煮〆
煮込
煮肴
煮立
煮方
煮汁
煮団子