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炯々
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けいけい
ふりがな文庫
“
炯々
(
けいけい
)” の例文
やや肉落ちて
瀟洒
(
しょうしゃ
)
たる姿ではあるが、その
炯々
(
けいけい
)
たる瞳はほとんど怪しきまでに鋭い力を放って、精悍の気眉宇の間に溢れて見えた。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
熊かと疑うばかりに顔中
鬚茫々
(
ひげぼうぼう
)
で、その両眼は
炯々
(
けいけい
)
として野獣のように輝いているという怪人物、身には
汚
(
よご
)
れきった洋服を着
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「畜生!」万吉の眼は
炯々
(
けいけい
)
となり、五体はブルブルッとふるえてきた。
右手
(
めて
)
に何かを固くつかんで身を
屈
(
かが
)
ませて行くが早いか
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「トバスキー
酋長
(
しうちやう
)
、徳望あり。眼光
炯々
(
けいけい
)
たるも物を言ふこと少しく遅し、ゲンゾスキー財産家、物を言ふこと少しく遅けれども眼光炯々たり。」
猫の事務所:……ある小さな官衙に関する幻想……
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
凜とした声、
炯々
(
けいけい
)
たる眼差し、日頃主君を畏敬して居る家中の若侍共は、冷たい水をブッかけられたように、一度に興奮から醒めて
頭
(
かしら
)
を垂れました。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
こめかみにいつも浮んでゐる
癇癖
(
かんぺき
)
の筋、
炯々
(
けいけい
)
といふよりは寧ろ冷徹な眼光、とほりのいい幅のひろい声音、
独往無礙
(
どくおうむげ
)
なその
濶歩
(
かっぽ
)
ぶり、——小幡氏の話では
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
肩
(
かた
)
を
怒
(
いか
)
らせ
炯々
(
けいけい
)
と眼を光らせた子路の姿が遠くから見え出すと、人々は孔子を
刺
(
そし
)
る口を
噤
(
つぐ
)
むようになった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
肖像を見ると、われわれ日本人に余り縁遠くない、細おもての
容貌
(
ようぼう
)
で、眼光が
炯々
(
けいけい
)
としているのです。そのくせおとなしい人だそうです。むしろ
女性的
(
にょせいてき
)
だということです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
「泥棒!」と主人は
胴間声
(
どうまごえ
)
を張り上げて寝室から飛び出して来る。見ると片手にはランプを
提
(
さ
)
げ、片手にはステッキを持って、寝ぼけ
眼
(
まなこ
)
よりは身分相応の
炯々
(
けいけい
)
たる光を放っている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるいは「ひそかに
門隙
(
もんげき
)
よりこれをうかがえば、すなわち灯下に座せる一無頭婦人、一手は首を膝の上に
按
(
あん
)
じ、一手は
櫛
(
くし
)
を持ってその髪を
梳
(
けず
)
る。二目
炯々
(
けいけい
)
としてただちに門隙を見る」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
しかし、道で道路工事をしている人々や、
日除
(
ひよ
)
け付きの牛車を
曳
(
ひ
)
いている人々が、どこの種族とも見受けられない、黒光りや
赫黒
(
あかぐろ
)
い顔をして眼を
炯々
(
けいけい
)
と光らせながら、半裸体で働いている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
眼光が
炯々
(
けいけい
)
としていて……そのくれえだから面魂もどこか違ったところがなけりゃならねえ、それだのにお
前
(
めえ
)
さんのは、剃り立てのきれいな青道心で、それに白塗りの
痩仕立
(
やせじた
)
てときているから
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
漆黒の、
炯々
(
けいけい
)
と射るような眼でコン吉を
凝視
(
みつめ
)
ながら
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ただ眼光だけがいよいよおん目のふちにくぼをつくって、
炯々
(
けいけい
)
と、それはたしかに全生命力をあげてたたかっている者のみにある異様なるお眸だった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
炯々
(
けいけい
)
たる二つの眼玉を剥き、小鼻をピクピクさせて、こっちを睨んでいる様子は物凄いというも愚かであったが——その恐ろしい顔には見覚えがあった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
李徴は
漸
(
ようや
)
く
焦躁
(
しょうそう
)
に駆られて来た。この
頃
(
ころ
)
からその
容貌
(
ようぼう
)
も
峭刻
(
しょうこく
)
となり、肉落ち骨
秀
(
ひい
)
で、眼光のみ
徒
(
いたず
)
らに
炯々
(
けいけい
)
として、
曾
(
かつ
)
て進士に
登第
(
とうだい
)
した頃の
豊頬
(
ほうきょう
)
の美少年の
俤
(
おもかげ
)
は、
何処
(
どこ
)
に求めようもない。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
本堂前の金網戸に眼光
炯々
(
けいけい
)
、人を射るものあるより、緑川らは妖怪なにほどのことやあると、得物をもって打ちてかかり、本堂の中を追い回しいるうち、ほかに若者数名も駆け集まり
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
炯々
(
けいけい
)
たる幕将たちの眼もとは源右衛門へ
注
(
そそ
)
がれた。
霜鬢
(
そうびん
)
白き斎藤
内蔵助
(
くらのすけ
)
の
面
(
おもて
)
、ほとんど仮面かとも見えるほど悲壮な
気稟
(
きひん
)
をおびている
左馬介光春
(
さまのすけみつはる
)
の顔。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岸隊長は、あらためて高級船員の面をじっと見まわしたが、なるほど、眼の光だけは
炯々
(
けいけい
)
として、新東亜建設の大精神にもえていることがはっきりと看取される。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こうしっかりと呼び止めておいて、三位卿、あの
炯々
(
けいけい
)
と射るような眼をジッと
注
(
そそ
)
いだ。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それよりも一層驚かされたのは此の室の片隅に細田氏が
仰向
(
あおむ
)
きに倒れ手足は
蜘蛛
(
くも
)
の如く放射形に強直され、
蒼白
(
そうはく
)
の顔には
炯々
(
けいけい
)
たる巨大な白眼をむき出し、歯は食いしばられて唇を噛み
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
細川殿も、うめきながら、
炯々
(
けいけい
)
と眸をかがやかして、終始、熱心に耳を傾けていた。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船長は
虎
(
とら
)
の名にふさわしく、眼を
炯々
(
けいけい
)
とひからせて、水夫竹見をにらみつけた。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
謙信が信長を
窺
(
うかが
)
う眼——信長が謙信を見る眼——いずれも
炯々
(
けいけい
)
とゆるがせでなく
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
霹靂
(
へきれき
)
の一声を鞍壺の上から浴びせかけた。浪人は
炯々
(
けいけい
)
たる眼光を放って
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鶏
(
とり
)
を裂いて、股を喰らうぐらいな酒の上は、彼としては、いと穏当な芸である。——だが、捕吏や兵隊は驚いた。鶏の血は張飛の唇のまわりを染め、その
炯々
(
けいけい
)
たる眼は怖ろしく不気味であった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それかあらぬか、彼は
遽
(
にわか
)
に、
炯々
(
けいけい
)
たる眼ざしをして
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、いって、その面を、
炯々
(
けいけい
)
と見つめた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
炯々
(
けいけい
)
とした釘勘の眼。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
炯
漢検1級
部首:⽕
9画
々
3画
“炯”で始まる語句
炯眼
炯
炯炯
炯然