泣出なきだ)” の例文
いまや、お慈悲じひ、お慈悲じひこゑれて、蒋生しやうせい手放てばなしに、わあと泣出なきだし、なみだあめごとくだるとけば、どくにもまたあはれにる。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泣出なきだしもしまいとつたから、ひさしぶりで、こちらも人間にんげんこゑきたくなつて、口元くちもとはなしてやると、あとをきさうにもしないのだ。よそてゐるやうだ。
白痴あはう泣出なきだしさうにすると、うらめしげに流盻ながしめながら、こはれ/\になつた戸棚とだななかから、はちはいつたのを取出とりだして手早てばや白痴あはうぜんにつけた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これ大弓場だいきうば爺樣ぢいさんなり。ひとへば顏相がんさうをくづし、一種いつしゆ特有とくいうこゑはつして、「えひゝゝ。」と愛想あいさうわらひをなす、其顏そのかほては泣出なきださぬ嬰兒こどもを——、「あいつあ不思議ふしぎだよ。」とお花主とくい可愛かはいがる。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(うむ、いや、いや。)と肩腹かたはらゆすつたが、べそをいて泣出なきだしさう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しまひには泣出なきだすと、外聞ぐわいぶんもあり、少焦すこぢれで、医者いしや可恐おそろしかほをしてにらみつけると、あはれがつてきあげるむすめむねかほをかくしてすがさまに、年来ねんらい随分ずゐぶんひとにかけた医者いしやつて腕組うでくみをして
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぎょっとしたろう、首をすくめて、泣出なきだしそうに、べそを掻いた。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はじめてめたやうにつて、さめ/″\と泣出なきだしました。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
悲しくなりて泣出なきだせしに、あわただしくせなをばさすりて
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)