しやう)” の例文
定番、大番、加番の集まつた所で、土井はしやう九つどきに城内を巡見するから、それまでにかく持口もちくちを固めるやうにと言ひ付けた。それから士分のものは鎧櫃よろひゞつかつぎ出す。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
けれども、茶店ちやみせばあさんはしやうのものです。げんに、わたしとほがかりにぬまみぎはほこらをさして、(あれは何樣なにさまやしろでせう。)とたづねたときに、(さい神樣かみさまだ。)とつてをしへたものです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むゝ美登利みどりさんはないまさきれのうちまへとほつて揚屋町あげやまち刎橋はねばしから這入はいつてゆつた、本當ほんとうしやうさん大變たいへんだぜ、今日けふはね、かみういふふうにこんな島田しまだつてと、へんてこなつきをして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そんな話をしてゐるところへ、白の詰襟によつてそのしやうのものが持来された。
フアイヤ・ガン (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
しやうや、川の方に行くと危ぶないぞ!』
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
て、て、死骸しがいたではい。ぢやが、しやうのものでもなかつた……はゞかげぢやな。こゑいろ影法師かげぼふしぢや……のものから、御身おみふてはなしてくれい、とわし托言ことづけをされたよ。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卒塔婆小町そとばこまちしやうばあさんが、ぼやり、うつむいてやすんでゐた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)