歓呼かんこ)” の例文
旧字:歡呼
かれの軍が、大坂へもどると、難波なにわの津から一変した新しきこの大都市の住民は、道や城の附近へ押し寄せ、夜まで、歓呼かんこしていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つめたいしめった空気がしんとみんなのからだにせまったとき子供らは歓呼かんこの声をあげました。そんなには高くふかくしげっていたのです。
船は八、九百トン、まさに一時間十一、二かいりを走っている。少年らは手に手に銃をとって連発しては、また歓呼かんこの声をあげた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
これをきいてぼくたちむら子供こどもは、わっと歓呼かんここえをあげた。みなつきたいものばかりなので、吉彦よしひこさんはみんなを鐘楼しゅろうしたに一れつ励行れいこうさせた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
停車場の柵内さくないには町長だの兵事係りだの学校生徒だの親類友だちだのが集まって、汽車の出るたびごとに万歳を歓呼かんこしてその行をさかんにした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そのぶら下がる当人は旗を持って思い切りよく塹壕の中へ飛び込んで、今に至るまで上がって来ない。白髪しらがは増したかも知れぬが将軍は歓呼かんこうち帰来きらいした。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうどそれと同じ心にしみ入る、深い苦痛が現われていました。そしてあたりには、数千年の昔と同じように、ふたたび拍手はくしゅ歓呼かんこの声がひびきわたりました。
税関の検査も、愛想のい税関吏達の笑いの中に済んで、上陸したぼく達の前には、ただ WELCOME の旗の波と、群集の歓呼かんこの声がち満ちていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
屋敷の門の前に蝟集いしゅうしていた農民共が、見迎え見送りながら、一斉に歓呼かんこの声を浴びせかけました。
恐しいような歓呼かんこがあがって、すぐやんだ。一男が猶予ゆうよなく次の仕事にとりかかったからである。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
浜べはもういつのまにか大人おとなまでがまじっての大かんげいになった。船頭せんどうさんのなげたともづな歓呼かんこの声でたぐりよせられ、力あまって船は砂浜まで引きあげられるさわぎだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ケメトスは、空の星に向かって最後にも一度心で祈り、それから、右手の炬火たいまつを三度輪に振って、飛び下りる合図をしました。どっと歓呼かんこの声が響いて、あとはしいんと静まり返りました。
彗星の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
奉行ぶぎょうの声がかかったので、卜斎はからくも引分ひきわけのていで引きさがったが、群集ぐんしゅう正直しょうじきである。村上賛之丞むらかみさんのじょうのたまりへむかって歓呼かんこびせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
歓呼かんこは、一瞬に阿鼻叫喚あびきょうかんと変じていた。「——すわ」といったがもう追いつかない。援軍とみせてなだれこんで来たのは、梁山泊の山兵だったのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
去就きょしゅうにまよい、四囲の重圧にあえいでいた盟国の土民は、かがりき、歓呼かんこして、秀吉の兵馬をむかえた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そいつア惜しい。二龍山など行かずに、都頭武松も、こっちへ来てくれたら、どんなに歓呼かんこして迎えたかもしれねえのに、千ざいぐうの機を逃がしたようなもんだ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孤立無援こりつむえんの中に、苦闘していた城兵は、思わぬ劉玄徳りゅうげんとくの来援に、幾たびも歓呼かんこをあげてふるった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これがわかるとくがでは兵庫から生田、御影へかけて狂喜の歓呼かんこがうねりのようにつたえられ
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間髪かんはつには、ふたりの頭脳あたまに、助かッたぞッ——という歓呼かんこがあがったであろうが、結果は同じことだった。ただ業火ごうか地獄じごくから八かん地獄じごく位置いちえたにすぎなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
如才じょさいない政治家だの民衆の鼻息びそくばかりうかがっている大臣などは、いつの世でも民衆は見ていたくない。民衆の本能は、高い廟堂びょうどうにたいして、やはり土下坐どげざし、礼拝し、歓呼かんこして仰ぎたいものである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、手柄てがら名のりにおうずる味方の歓呼かんこ、谷間へ遠く山彦やまびこする。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、まるで祭りのような騒ぎでわんわんと歓呼かんこしている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わあっと、両手を挙げて、彼らは歓呼かんこした。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)