極暑ごくしよ)” の例文
やまうへなるたうげ茶屋ちややおもす——極暑ごくしよ病氣びやうきのため、くるまえて、故郷こきやうかへみちすがら、茶屋ちやややすんだときことです。もん背戸せど紫陽花あぢさゐつゝまれてました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
嵐気らんきしたゝる、といふくせに、なに心細こゝろぼそい、と都会とくわい極暑ごくしよなやむだ方々かた/″\からは、その不足ふそくらしいのをおしかりになるであらうが、行向ゆきむかふ、正面しやうめん次第しだい立累たちかさなやまいろ真暗まつくらなのである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしは、先生せんせいなつ嘉例かれいとしてくだすつた、水色みづいろきぬべりをとつた、はい原製ばらせいすゞしい扇子あふぎを、ひざめて、むねしかつて車上しやじやう居直ゐなほつた。しかしてだいつて極暑ごくしよ一文いちぶんこゝろあんじた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……極暑ごくしよみぎりても咽喉のどかわきさうな鹽辛蜻蛉しほからとんぼ炎天えんてん屋根瓦やねがはらにこびりついたのさへ、さはるとあつまど敷居しきゐ頬杖ほゝづゑしてながめるほど、にはのないいへには、どの蜻蛉とんぼおとづれることすくないのに——よくたな
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)