)” の例文
新字:
足しいでつゝ手をばすゝがんと見れば雪隱せついんの角の柱に五合樽の片手かたてり引掛あれど中には水なし困じてそばに待ゐたる和吉に吩咐いひつけ井戸の水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人間の生活は、全く苦惱で而も意味は空ツぽだけれども、智識は其の空ツぽをみたして、そして種々さまざまの繋縛をぶちツて呉れるのだ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そして若しあの荒れ狂ふ海峽と、二百マイルもある陸地が、私達の間に茫漠と擴がつたなら、そのつながりの絲はれてしまひさうな氣がする。
是故に天堂を描く時、この聖なる詩は、行手ゆくての道のれたるを見る人のごとく、をどり越えざるをえざるなり 六一—六三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
會話はなしれると、浪の音が急に高くなる。楠野君は俄かに思出したと云ツた樣に、一寸時計を出して見たが。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
漢文で習つた「賣柑者之言」の中に書いてあつた「鼻をつ」といふ言葉がれぎれに浮んで來る。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
ステツキるやいなや、畜生ちくしやうつて、まど飛下とびおりると、うだらう、たゝきもひしぎもしないうちに、へびが、ぱツと寸々ずた/\れてとをあまりにけて、蜿々うね/\つてうごめいた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
マルセル・プルウストの「音樂を聽く家族」といふのを、譯者の山内義雄氏から貰つたので、その椅子に腰をおろして、ちよいとの間を盜んで頁をると「テュイルリイ」といふ章に
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
戰慄すべき慘禍の醞釀者うんぢやうしやは自分である。自分は其せめを負はなければならない。進んで身を渦中に投ずるか。退いて原因力を打ちつてしまふか。自分はこの二つの何れかを擇ばなければならない。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
黒南風くろはえの雲れにけりこの夜ふけ月ほそく光り鷺と鶴のこゑ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
可憐の鳩は空に舞ひ、られし紐は地に垂れぬ。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
りようふつつとれ、四段よだんとなつ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
イングラム孃は本をとり上げると椅子にもたれかゝつた。で、その話は、れてしまつた。私は殆んど半時間位の間、彼女の方をじつと見てゐた。
ずゐ沈光ちんくわうあざな總持そうぢ煬帝やうだいつかへて天下第一てんかだいいち驍捷はやわざ達人たつじんたり。ていはじめ禪定寺ぜんぢやうじ建立こんりふするときはたつるに竿さをたか十餘丈じふよぢやうしかるに大風たいふうたちまおこりてはた曳綱ひきづないたゞきよりれてちぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
電柱に裏吹かれゐる蝉のの飛び立つと見れば鋭聲とごえれたり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)