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放免
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ほうめん
ふりがな文庫
“
放免
(
ほうめん
)” の例文
が、すぐにわたしは
放免
(
ほうめん
)
された。そのまま何のこともなく教場へ入ることを許された。——素直にその「抗議」が
容
(
い
)
れられたのである。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
そこで、戸の
隙間
(
すきま
)
から、そっと外を覗いて見ると、見物の
男女
(
なんにょ
)
の中を、
放免
(
ほうめん
)
が五六人、それに
看督長
(
かどのおさ
)
が一人ついて、物々しげに通りました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
およそ今日の、そんな風儀こそ、六波羅の狭量がそそる
放免
(
ほうめん
)
(密偵)根性と申すもので、
卑
(
いや
)
しむべきおせッかいであるまいか。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
話をしてしまうと、わたしはほとんど優しくなっていたかれの
態度
(
たいど
)
から、すぐにもわたしたちを
放免
(
ほうめん
)
してくれるかと思った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
私
(
わたし
)
は、十
年
(
ねん
)
、二十
年
(
ねん
)
、
牢獄
(
ろうごく
)
にあった
囚徒
(
しゅうと
)
が、
放免
(
ほうめん
)
された
暁
(
あかつき
)
、
日光
(
にっこう
)
のさんさんとしてみなぎる
街上
(
がいじょう
)
へ、
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
されたときのことを
想像
(
そうぞう
)
したのであります。
自由
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
氏の
挙動
(
きょどう
)
も政府の
処分
(
しょぶん
)
も共に天下の一
美談
(
びだん
)
にして
間然
(
かんぜん
)
すべからずといえども、氏が
放免
(
ほうめん
)
の
後
(
のち
)
に更に
青雲
(
せいうん
)
の志を起し、新政府の
朝
(
ちょう
)
に立つの一段に至りては
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
放免
(
ほうめん
)
だ。暗室の怪業から放免されたのだ。道夫は大よろこびで椅子から下りて、元の明るい洋間へ移った。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
生徒の
言草
(
いいぐさ
)
もちょっと聞いた。追って処分するまでは、今まで通り学校へ出ろ。早く顔を洗って、朝飯を食わないと時間に間に合わないから、早くしろと云って寄宿生をみんな
放免
(
ほうめん
)
した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう二年まてば、立派に
放免
(
ほうめん
)
される身の上だったのです。ところが、魔がさしたというのでしょう。私はもう娘がかわいそうで、いじらしくて、どうにも、二度と刑務所へ帰る気になりませんでした。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
それに、もっとも、いやなことには、職掌がら、配下に「
放免
(
ほうめん
)
」だの「
走
(
はし
)
り
下部
(
しもべ
)
」などという、
札
(
ふだ
)
つきの
雑人
(
ぞうにん
)
を、手あしに使っていることだ。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時、受けた傷の跡は、今でもおれの胸に残っている。が、それよりも忘れられないのは、おれがその時始めて、
放免
(
ほうめん
)
の一人を切り殺した事であった。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かれらがこれを
証明
(
しょうめい
)
することさえできたら、あのあわれな犬が、わたしのためにつごう悪く
提供
(
ていきょう
)
した
無言
(
むごん
)
の証明があるにかかわらず、
放免
(
ほうめん
)
になるかもしれない。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
榎本氏が主戦論をとりて
脱走
(
だっそう
)
し、
遂
(
つい
)
に力
尽
(
つ
)
きて
降
(
くだ
)
りたるまでは、
幕臣
(
ばくしん
)
の
本分
(
ほんぶん
)
に
背
(
そむ
)
かず、忠勇の功名
美
(
び
)
なりといえども、
降参
(
こうさん
)
放免
(
ほうめん
)
の
後
(
のち
)
に更に青雲の志を発して新政府の
朝
(
ちょう
)
に
富貴
(
ふうき
)
を求め得たるは
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
といって、あっはははと
笑
(
わら
)
っていると、そのうちに
巡査
(
じゅんさ
)
がくる。さっそく
妙
(
みょう
)
な
男
(
おとこ
)
は、
盗賊
(
とうぞく
)
とまちがえられて
警察
(
けいさつ
)
へ
連
(
つ
)
れられていきましたが、まったくの
盗賊
(
とうぞく
)
でないことがわかって、
放免
(
ほうめん
)
されました。
電信柱と妙な男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、本来の武士一色右馬介と、
放免
(
ほうめん
)
上がりの大蔵とでは、ここでも格段な腕力の違いがすぐ出てしまった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
放免
(
ほうめん
)
をしているおれには、獄中の苦しさが、たれよりもよく、わかっている。おれは、まだ筋骨のかたまらない弟の身の上を、自分の事のように、心配した。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
判事
(
はんじ
)
が子どもを
連
(
つ
)
れて寺へはいったどろぼうの
捕縛
(
ほばく
)
を待つために、わたしはとうとう
放免
(
ほうめん
)
されなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
死
(
し
)
一等
(
いっとう
)
を
減
(
げん
)
じてこれを
放免
(
ほうめん
)
したるは文明の
寛典
(
かんてん
)
というべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
で、昨日から、六波羅兵と
放免
(
ほうめん
)
(密偵)どもの、
煮炊
(
にた
)
きの跡や馬糞やらで、そこは
狼藉
(
ろうぜき
)
を極めていた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おれが右の
獄
(
ひとや
)
の
放免
(
ほうめん
)
をしていた時の事を思えば、今では、遠い昔のような、心もちがする。あの時のおれと今のおれとを比べれば、おれ自身にさえ、同じ人間のような気はしない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「——その怪しい男が、万一、六波羅の
放免
(
ほうめん
)
(密偵)でもあったら、なおさらのことよ。例の遊宴に阿呆を尽して、文談会の世上の聞えを、人に
紛
(
まぎ
)
らわすが何よりの策」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何さま、悪く
放免
(
ほうめん
)
の手にでもかかろうものなら、どんな目に
遭
(
あ
)
うかも知れませぬ。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
辻見張
(
つじみはり
)
は、即夜に行われ、
検非違使
(
けびいし
)
の手もうごき、刑部付きの
放免
(
ほうめん
)
(後の
目明
(
めあか
)
しの類)も、洛外の山野、部落まで、
嗅
(
か
)
ぎあるいているが、なんの手がかりも、もたらさない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
検非違使に問われたる
放免
(
ほうめん
)
の物語
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「豊田領へ、
放免
(
ほうめん
)
(密偵)を入れてみれば、すぐわかる。もう疑う余地などあるもんですか」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——
年暮
(
くれ
)
の頃より
疾
(
と
)
く承知いたしておる。野州足利ノ庄のおん曹司が、忍び上洛しておらるるとは、世間は知らいでも、それがしの
耳目
(
じもく
)
となっておる
放免
(
ほうめん
)
(目明し)どもはみな賢い奴、すぐ
嗅
(
か
)
ぎ知って来たことでおざる」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
でなければ
放免
(
ほうめん
)
(密偵)か。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“放免”の解説
放免(ほうめん)とは日本の令外官である検非違使の下部(しもべ)である。「放免囚人」の義。検非違使庁の下級刑吏として、実際に犯罪者を探索し、捕縛したり、拷問や獄守を担当した。
(出典:Wikipedia)
放
常用漢字
小3
部首:⽁
8画
免
常用漢字
中学
部首:⼉
8画
“放免”で始まる語句
放免頭
放免筋