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捨児
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すてご
ふりがな文庫
“
捨児
(
すてご
)” の例文
旧字:
捨兒
伊之助は悪い男じゃないが、酒が好きで、仕事が嫌いだから、五年前
捨児
(
すてご
)
に付いていた金を呑んだ上、かなりの借金が出来たんだろう。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
博士は
捨児
(
すてご
)
だったんだ。たしかに東洋人にはちがいないが、両親がわからないから、日本人だか中国人だか分らないといっている
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
太郎右衛門が子供を拾ったという
噂
(
うわさ
)
が村中一杯に
拡
(
ひろ
)
がりました。夕方になると村の神さんたちや子供たちがぞろぞろ
揃
(
そろ
)
って
捨児
(
すてご
)
を見に来ました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
鹿之介たちのたてこもっていた前衛基地
上月
(
こうづき
)
の城に、秀吉の救援をとどめ、みすみすそれを敵中へ
捨児
(
すてご
)
としてしまった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の
赤児
(
あかご
)
をば
捨児
(
すてご
)
のやうに砂の上に投出してゐると、其の
辺
(
へん
)
には
痩
(
や
)
せた鶏が落ちこぼれた餌をも
𩛰
(
あさ
)
りつくして、馬の尻から
馬糞
(
ばふん
)
の落ちるのを待つてゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
母様
(
おつかさん
)
もまた
傍
(
そば
)
からまあ
捨児
(
すてご
)
にしては
可哀想
(
かあいさう
)
でないかツて、お
聞
(
き
)
きなすつたら、ぢいさんにや/\と
笑
(
わら
)
つたさうで
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
当時信行寺の住職は、
田村日錚
(
たむらにっそう
)
と云う老人でしたが、ちょうど朝の御勤めをしていると、これも
好
(
い
)
い年をした門番が、
捨児
(
すてご
)
のあった事を知らせに来たそうです。
捨児
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
じつと目を閉ぢようと為たが、目を閉ぢると、此の広い荒れ果てた
寺
(
てら
)
に唯つた独り自分の
居
(
ゐ
)
ると云ふ事が、野の
中
(
なか
)
で
捨児
(
すてご
)
にでも成つた様に、犇々と身に
迫
(
せま
)
つて
寂
(
さび
)
しい。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
もう今年で足掛七年、あゝ飛んだ事をしたと身体に油の如き汗を流し、
殊
(
こと
)
には又其の本郷菊坂下へ
捨児
(
すてご
)
にしたというのは、七年以前、お賤が鉄砲にて殺した土手の甚藏に違いない
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから、最早
如何様
(
どんな
)
に言っても学校には行かない。始終家で遊んで居る。一度「おっかあ、
捨児
(
すてご
)
ってどうするの」と聞いたが、母が心を
傷
(
いた
)
むる様子を見てからは、もう何も聞かぬ。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
可哀そうに
捨児
(
すてご
)
だが、誰がこんな処に捨てたのだろう。それにしても不思議なことは、おまいりの帰りに私の眼に
止
(
とま
)
るというのは何かの縁だろう。このままに
見捨
(
みすて
)
て行っては神様の罰が当る。
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「気ちがいのつぎが、
捨児
(
すてご
)
か……すこし、
授
(
さず
)
かりものが多すぎるようだな」
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
どこか
遠国
(
とおく
)
へ
移転
(
ひっこ
)
すふりや。知らぬ処の病院さして。入れに行く振り人には見せて。又と帰らぬ野山の涯へ。泣きの涙で患者を棄てます。なれどコイツは
捨児
(
すてご
)
と違うて。拾い育てる仏は居ませぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お秋は丑松を嫌ってはいるが、
捨児
(
すてご
)
を拾って育てられた恩があるから、蔭じゃ丑松を
庇
(
かば
)
っていますぜ。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
無官太夫敦盛
(
むかんのたゆうあつもり
)
の死後、その妻が
乳呑児
(
ちのみご
)
を
匿
(
かく
)
すにもよしなく、この下り松の根元へ
捨児
(
すてご
)
したのを、黒谷の
法然上人
(
ほうねんしょうにん
)
が拾い上げて育てたということが、名跡志に載っている。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荷車の後押しをする
車力
(
しゃりき
)
の女房は男と同じような身仕度をして立ち働き、その
赤児
(
あかご
)
をば
捨児
(
すてご
)
のように砂の上に投出していると、その
辺
(
へん
)
には
痩
(
や
)
せた鶏が落ちこぼれた餌をも
𩛰
(
あさ
)
りつくして
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
勝「こん
畜生
(
ちきしょう
)
、
手前
(
てめえ
)
のような野郎が
捨児
(
すてご
)
をするんだ、薄情の
頭抜
(
ずぬ
)
けッてえば」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なお水菓子が好きだと云う、
三歳
(
みッつ
)
になる男の
児
(
こ
)
の有ることを、
前
(
さき
)
の
条
(
くだり
)
にちょっと言ったが、これは特に断って置く必要がある、
捨児
(
すてご
)
である。
夜半
(
よなか
)
に我が軒に棄てられたのを、拾い取って育てている。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「でも
捨児
(
すてご
)
だっていうじゃありませんか。捨児を拾ったのなら、出入りのお屋敷とは限りませんぜ」
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は、新宗教を邪視していたひとりなので、
捨児
(
すてご
)
長屋と同じように
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
菊坂下の豆腐屋の
水船
(
みずぶね
)
の上へ
捨児
(
すてご
)
にして、私は
直
(
す
)
ぐ上総の東金へ往って料理茶屋の働き女に雇われて居る内に、船頭の
長八
(
ちょうはち
)
という者といゝ
交情
(
なか
)
となって、また
其処
(
そこ
)
をかけ出して出るような事に成って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
捨児
(
すてご
)
の
城
(
しろ
)
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
捨
常用漢字
小6
部首:⼿
11画
児
常用漢字
小4
部首:⼉
7画
“捨”で始まる語句
捨
捨鉢
捨置
捨台詞
捨身
捨石
捨台辞
捨小舟
捨科白
捨札