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ごしら
ふりがな文庫
“
拵
(
ごしら
)” の例文
まだ警察から
下渡
(
さげわた
)
されず、仏壇の前の白布で覆われた台には急
拵
(
ごしら
)
えの
位牌
(
いはい
)
ばかりが置かれ、それに物々しく
香華
(
こうげ
)
がたむけてあった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もっとも常に足
拵
(
ごしら
)
えがよければそんな患いもないのだが、草鞋を毎日新しく買うのも惜しく、又、買うにも買えない日の方が多いのである。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ジーナが仕度してますから、お食事、もうちょっと待って下さいね……わたしたち、一日交替で食事
拵
(
ごしら
)
えしてますのよ」
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
つかいはや間の
隙
(
ひま
)
にはお取次、茶の給仕か。おやつの時を聞けば、もうそろそろ晩のお総菜
拵
(
ごしら
)
えにかかって、米を
磨
(
と
)
ぐ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我邦の妻君は食物
拵
(
ごしら
)
えをさも余計な仕事のように
蒼蠅
(
うるさ
)
がってどうしたらちょこちょこと早く
副食物
(
おかず
)
が出来るだろうと手数を省く工風ばかりしている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
……三度の食事
拵
(
ごしら
)
えも、
濯
(
すす
)
ぎ物も縫い針も、決して吉村の母の手は藉りなかったし、「いいから」と云われるのを押して、毎夜より女の肩腰を
揉
(
も
)
んだ。
日本婦道記:萱笠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
急
拵
(
ごしら
)
えの襁褓を作っておしもの世話をしようと布団の裾へ手をかけますと、いくらか朦朧とした意識にもそれを感じて、
痺
(
しび
)
れたような手で布団を叩き
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
途中で充分足
拵
(
ごしら
)
えをし、まず
茅野宿
(
ちのじゅく
)
まで歩いて行き、そこから山路へ差しかかった。
薬沢
(
くすりさわ
)
、神之原、柳沢。この柳沢で夜を明かし翌朝は未明に出発した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
足
拵
(
ごしら
)
えを厳重にして、男の方と一緒に行くのです。女はほかのお方もおいでやしたけれど、わたしのようではありまへんでした。もうまるで男と同じことです。
絵だけ
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
塙代家の家宝、銀
拵
(
ごしら
)
え、
金剛兵衛盛高
(
こんごうへえもりたか
)
、一尺四寸の小刀を
提
(
ひっさ
)
げて、泥足袋のまま茫然と眼を据えていた。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其の時店先へ立止りました
武士
(
さむらい
)
は、ドッシリした
羅紗
(
らしゃ
)
の
脊割羽織
(
せわりばおり
)
を
着
(
ちゃく
)
し、
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
、
黒手
(
くろて
)
の
黄八丈
(
きはちじょう
)
の
小袖
(
こそで
)
を
着
(
き
)
、四分一
拵
(
ごしら
)
えの大小、寒いから黒縮緬の頭巾を
冠
(
かぶ
)
り
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
曰
(
いわ
)
くありげな壺はこのにわか
拵
(
ごしら
)
えの父が、預かってやる。父と子と、仲よく河原の二人暮しだ。親なし千鳥の
其方
(
そのほう
)
と、浮き世になんの望みもねえ
丹下左膳
(
たんげさぜん
)
と、ウハハハハハ
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
華やかな幕を沢山吊るした急
拵
(
ごしら
)
えの小屋掛が出来て、極東曲馬団の名がかけられ、狂燥なジンタと、ヒョロヒョロと空気を伝わるフリュートの音に、村人は、
老
(
おい
)
も若きも、しばし
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「
何
(
いず
)
れの要害も堅固であるから、容易には落ちまい。ただ、中川瀬兵衛守る処の大岩山は、急
拵
(
ごしら
)
えで、壁など乾き切らない程である。此処を不意に襲うならば、破れない事はあるまい」
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「君いい家庭婦人になれると言うなら、食べもの
拵
(
ごしら
)
えもしてみるといいよ。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
急
拵
(
ごしら
)
えの高座に上がって話し、話し終ると、小僧が十基の燭台に
点
(
つ
)
けた蝋燭を、一つずつ消しますが、始めのうちは、その計画の物々しさと、話の馬鹿馬鹿しさに、二た部屋に溢れる聴き手も
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
文次郎は足
拵
(
ごしら
)
えをして
徒歩
(
かち
)
で付いて来た。
経帷子の秘密
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
女は水を汲み、めし
拵
(
ごしら
)
えをし、掃除も洗濯もし、買い物もした。平さんは彼女の炊いためしを喰べるし、洗濯してくれた物を着、のべてくれた夜具で寝た。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
王城に
擬
(
ぎ
)
し、左右の大臣を任命したり、一夜
拵
(
ごしら
)
えの文官武官に、勝手な除目を与えて、その勢威は、ほんとうの天子のようだという噂が、都じゅうに拡がった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偖
(
さて
)
前回に
演
(
の
)
べました文治郎と亥太郎の見附前の大喧嘩は嘘らしい話ですが、
神田川
(
かんだがわ
)
の
近江屋
(
おうみや
)
と云う道具屋の
家
(
うち
)
に見附前の喧嘩の
詫証文
(
あやまりじょうもん
)
と、鉄
拵
(
ごしら
)
えの脇差と、柿色の単物が預けてあります。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、行手から旅姿、菅の小笠に合羽を着、足
拵
(
ごしら
)
えも厳重の、一見博徒か口入れ稼業、
小兵
(
こひょう
)
ながら隙のない、一人の旅人が現われたが、笠を傾けこっちを
隙
(
す
)
かすと、ピタリと止まって手を拡げた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
銭湯で汗をながして、さっぱりして帰ると膳
拵
(
ごしら
)
えが出来ていた。
鰺
(
あじ
)
の酢の物にもろきゅう、
烏賊
(
いか
)
さしにさよりの糸作り、そして
焜炉
(
こんろ
)
には
蛤鍋
(
はまぐりなべ
)
が味噌のいい匂いを立てていた。
ゆうれい貸屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
拵
漢検1級
部首:⼿
9画
“拵”を含む語句
足拵
身拵
急拵
下拵
荷拵
膳拵
腹拵
拵事
取拵
御拵
手拵
別拵
言拵
拵附
菜拵
俄拵
副食物拵
旅拵
銀拵
鉄拵
...