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打物
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うちもの
ふりがな文庫
“
打物
(
うちもの
)” の例文
薄くてぬるい茶に、
黴
(
かび
)
の生えたような
打物
(
うちもの
)
である。菅田平野は茶をひと口
啜
(
すす
)
っただけで、あとは手を出さなかった。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ちょうど、現在の私の宅と同町内で、その頃
長寿斎
(
ちょうじゅさい
)
という
打物
(
うちもの
)
の名人があった、その横丁を曲がって真直突き当った家で、いろいろ
家禽
(
かきん
)
が飼ってあった。
幕末維新懐古談:57 矮鶏のモデルを探したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
掛たり
引馬
(
ひきうま
)
一疋
銀拵
(
ぎんごしら
)
への茶辨當には高岡玄純付添ふ其餘は合羽籠兩掛等なり繼いて
朱塗
(
しゆぬり
)
に十六葉の
菊
(
きく
)
の
紋
(
もん
)
を付紫の化粧紐を掛たる先箱二ツ徒士五人
打物
(
うちもの
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
寺にはかねて武具まで持ち込んであったと見え、たちまち駆け
集
(
つど
)
って来た人々はみんな小具足に身を固め、
槍
(
やり
)
長柄
(
ながえ
)
など、思い思いの
打物
(
うちもの
)
をかかえていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃
漸
(
ようや
)
く一般に用ひられたと言つても、まだ寶玉の屑のやうに貴かつた白砂糖で作つた
打物
(
うちもの
)
で、中にある
饀
(
あん
)
はねつとりして、良い香氣が食慾をそゝります。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
萬一
事有
(
ことあ
)
るの曉には
絲竹
(
いとたけ
)
に鍛へし
腕
(
かひな
)
、
白金造
(
しろがねづくり
)
の
打物
(
うちもの
)
は何程の用にか立つべき。
射向
(
いむけ
)
の袖を却て覆ひに
捨鞭
(
すてむち
)
のみ烈しく打ちて、笑ひを敵に殘すは
眼
(
ま
)
のあたり見るが如し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
それに浪之助には何となく、この二人の試合なるものが、単なる
業
(
わざ
)
の比較ではなく、
打物
(
うちもの
)
こそ木剣を用いておれ、恨みを含んだ真剣の決闘、そんなように思われてならなかった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
四方
(
よも
)
の壁と
穹窿
(
まるてんじょう
)
とには、
鬼神
(
きじん
)
竜蛇
(
りょうだ
)
さまざまの形を
画
(
えが
)
き、「トルウヘ」といふ
長櫃
(
ながびつ
)
めきたるものをところどころに
据
(
す
)
ゑ、柱には
刻
(
きざ
)
みたる
獣
(
けもの
)
の
首
(
こうべ
)
、古代の
楯
(
たて
)
、
打物
(
うちもの
)
などを懸けつらねたる
間
(
ま
)
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
梶田さんも無論に働かされて、鯉の形をした
打物
(
うちもの
)
の菓子を参詣人にくばった。
鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
誰かゞ
粗匇
(
そそう
)
をしたのであろうと、取り敢えず金細工の者に仰せつけられ、黄金の
打物
(
うちもの
)
を以て代りの蓋をお作りになりましたが、後年関白殿が滅亡のとき、聚楽のお城を缺所になされましたら
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あの
角
(
かく
)
の声をお
聞
(
きき
)
でないか。
打物
(
うちもの
)
の光をお見でないか。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
掛け
宰領
(
さいりやう
)
二人づつ
跡
(
あと
)
より
麻上下
(
あさがみしも
)
にて
股立
(
もゝだち
)
取
(
とり
)
たる
侍
(
さむら
)
ひ一人是は
御長持
(
おながもち
)
預
(
あづか
)
りの役なり
續
(
つゞ
)
いて
金御紋
(
きんごもん
)
の
先箱
(
さきばこ
)
二ツ
黒羽織
(
くろはおり
)
の
徒士
(
かち
)
八人
煤竹
(
すゝたけ
)
羅紗
(
らしや
)
の
袋
(
ふくろ
)
に白く
葵
(
あふひ
)
の御紋を
切貫
(
きりぬき
)
し
打物
(
うちもの
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あっしの親父
祖父
(
じい
)
も、家代々の
打物
(
うちもの
)
造り、
甲
(
よろい
)
、
兜
(
かぶと
)
に限らず、その道では名工といわれた人。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
良人は、
打物
(
うちもの
)
取っては、
強者
(
つわもの
)
ですから、そッと、まくらに近づき、濡れ髪がお手に触れたら、さそくの一太刀で、首打ち落してしまうことです。ゆめ、打ち損じてくださいますな
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
切付し
袋
(
ふくろ
)
の
打物
(
うちもの
)
栗色
(
くりいろ
)
網代
(
あじろ
)
の輿物には陸尺十二人近習の侍ひ左右に五人づつ
跡箱
(
あとばこ
)
二ツ是も同く黒
塗
(
ぬり
)
金紋付
紫
(
むらさ
)
きの
化粧紐
(
けしやうひも
)
を掛たり
續
(
つゞ
)
いて
簑箱
(
みのばこ
)
一ツ朱の
爪折傘
(
つまをりがさ
)
は
天鵞絨
(
びろうど
)
の袋に入紫の化粧紐を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それを
兜
(
かぶと
)
の八幡座のかがやきと誇る武者のこころが
忌
(
いま
)
わしくなり、武具馬具
打物
(
うちもの
)
などのすべてのそうした血なまぐさい物に囲まれている日常が、耐えられない苦痛になっていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行家は、そこに入って、義朝や一族の位牌を見ると、すぐ涙を
催
(
もよお
)
して、壇に向って礼拝していたが、ふと、べつな小さい
位牌
(
いはい
)
厨子
(
ずし
)
の前に、紅と白の
打物
(
うちもの
)
の干菓子が供えてあるのを仰いで
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常に
厩
(
うまや
)
におく馬も、まだ二、三頭しか持たない身分である。門前には、邸内の男たる者はひとり残らず、
打物
(
うちもの
)
把
(
と
)
って集まったが、総人数、わずか三十余名。これが、家の子郎党の全員なのだ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
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