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手狭
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てぜま
ふりがな文庫
“
手狭
(
てぜま
)” の例文
旧字:
手狹
と、僕は言いました、『心というものは、そんな
手狭
(
てぜま
)
なもんじゃありません。お父さんへの愛も愛なら、
良人
(
おっと
)
にたいする愛も愛です。 ...
真珠の首飾り:――クリスマスの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
この女はある親戚の
宅
(
うち
)
に
寄寓
(
きぐう
)
しているので、そこが
手狭
(
てぜま
)
な上に、子供などが
蒼蠅
(
うるさ
)
いのだろうと思った私の答は、すこぶる簡単であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
深窓の佳人という言葉があるが、どこにどんな
帳裡
(
ちょうり
)
の名花があるか、武家の家というものは、幾ら
手狭
(
てぜま
)
でも奥行の知れないものだと思った。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世に売れている人たちの仕事場などに比べては見る
蔭
(
かげ
)
もないほどの
手狭
(
てぜま
)
な処、当り前ならば、こっちから
辞
(
ことば
)
を低くして訪問もすべきであるのを
幕末維新懐古談:46 石川光明氏と心安くなったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
わたしの首が硬いのは昔からのことだ。ちょうどその頃わたしは一人の詩人を二週間ばかり同居させたが、そのため
手狭
(
てぜま
)
でこまったのであった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
▼ もっと見る
彼女
(
かのじょ
)
の借りた傍屋は、いかにも古びて
手狭
(
てぜま
)
で、おまけに
天井
(
てんじょう
)
の低い家なので、いくらか
小金
(
こがね
)
を持った連中なら、とても住む気にはならないからである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
或時
手狭
(
てぜま
)
な家でお客をする事になったのです。お客はお医者仲間が二、三人、あとはお
父
(
と
)
うさんがお世話になる、士地での旧家の主人や隠居たちです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
手狭
(
てぜま
)
ながら
贅沢
(
ぜいたく
)
に飾られた洋室、天井から下った古風な併し贅沢な空気ランプ、深いクッションの立派な長椅子。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大「宜うこそ……是れはお嬢様も御一緒で、此の通りの
手狭
(
てぜま
)
で何とも恥入りましたことで、さ
何卒
(
なにとぞ
)
お通りを……」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
家の
間数
(
まかず
)
は三畳敷の玄関までを入れて五間、
手狭
(
てぜま
)
なれども北南吹とほしの
風入
(
かぜい
)
りよく、庭は広々として植込の木立も茂ければ、夏の
住居
(
すまゐ
)
にうつてつけと見えて
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
だんだん繁昌するようになって、神田の店が
手狭
(
てぜま
)
になってきたので柳橋二丁目のこの角地を買い、
張場
(
はりば
)
をひろくとって職人も二十人もつかい手びろく商売をやっていた。
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これはお玉が池の家が
手狭
(
てぜま
)
なために、五百の里方山内の家を渋江邸として届け
出
(
い
)
でたものである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ところで、摺沢さん、御覧の通り、この店ではもう
手狭
(
てぜま
)
なくらゐ、本の数も
殖
(
ふ
)
えましたし……。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
親父
(
おやじ
)
が死んでから春木町を去って小石川の
富坂
(
とみざか
)
へ別居した。この富坂上の家というは
満天星
(
どうだん
)
の
生垣
(
いけがき
)
を
繞
(
めぐ
)
らした
頗
(
すこぶ
)
る風雅な構えで、
手狭
(
てぜま
)
であったが
木口
(
きぐち
)
を選んだ凝った
普請
(
ふしん
)
であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「あの、旦那様、お
隣室
(
となり
)
が混み合いまして、まことにお
喧
(
やかま
)
しゅうございましょう。あの、少し
手狭
(
てぜま
)
ではございますが、あちらの四畳半が明いておりますから、御案内申しましょうか」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大臣の邸とは比べものにならない
手狭
(
てぜま
)
な館ではあるけれども、
一夕
(
いっせき
)
我が方へ臨席を仰いで
饗宴
(
きょうえん
)
を催し、心の限りもてなしをして、感謝の念の萬分の一でも酌み取って貰えないであろうかと云うことも
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いやな熱気は
手狭
(
てぜま
)
な部屋を立ち
罩
(
こ
)
める。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
冬ぬくし日当りよくて
手狭
(
てぜま
)
くて
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
家は今申した通り
手狭
(
てぜま
)
至極
(
しごく
)
なものであります。門を出て右の坂上にある或る
長者
(
ちょうじゃ
)
の
拵
(
こしら
)
えた西洋館などに比べると全くの
燐寸箱
(
マッチばこ
)
に過ぎません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ころびばてれんの今井二官は、そんな追憶にふけりながら、
手狭
(
てぜま
)
な
住居
(
すまい
)
の机によりかかって、しみじみと、縁先の柿の老木を眺めておりました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は夜はいつでも店番をしているのだから、今晩もいるに違いないと、店中を、といっても二間半間口の
手狭
(
てぜま
)
な店だけれど、探して見たが、誰れもいない。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手狭
(
てぜま
)
で診察室もないのですから、どこかもう少し広い所をと探して、小梅村の家を見つけたのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
けれども、前申し上げた通り、私の家は
手狭
(
てぜま
)
であって仕事場も充分でない。
幕末維新懐古談:52 皇居御造営の事、鏡縁、欄間を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
残る一つを出ると内廊下から日本座敷へ続く。洋風の二間は、父が
手狭
(
てぜま
)
な
住居
(
すまい
)
を、二十世紀に取り
拡
(
ひろ
)
げた便利の結果である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
打ち見たところ、五人
扶持
(
ぶち
)
ぐらいな
御小人
(
おこびと
)
の住居でもあろうか。勝手つづきの庭も
手狭
(
てぜま
)
で、気のよさそうな木綿着の
御新造
(
ごしんぞ
)
が
払
(
はら
)
い
物
(
もの
)
を出してきた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それまでは何しろ往来に近い
手狭
(
てぜま
)
な家で、患者が来ますと困るからです。今度の家は大角とかいった質屋の隠居所で、庭道楽だったそうで、立派な木や石が
這入
(
はい
)
っていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「この中が私の工房です。実に
手狭
(
てぜま
)
でお恥かしいものですが、御一覧下さい」
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
庵はもちろん
手狭
(
てぜま
)
だが、軒ばの木々の芽ざし、
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
(縁)に垂るる卯の花の朝露、清楚、眼を洗われるものがある。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
別荘というと大変
人聞
(
ひとぎき
)
が好いようですが、その実ははなはだ見苦しい
手狭
(
てぜま
)
なもので、構えからいうと、ちょうど東京の場末にある四五十円の安官吏の
住居
(
すまい
)
です。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「病間にて、取り散らしておりますが、おゆるしあるなれば、お通りくださいとの、半兵衛様のおことばでした。——何分、
草廬
(
そうろ
)
もお
手狭
(
てぜま
)
でございますから」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本能寺が
手狭
(
てぜま
)
のため、市中の宿舎に、わかれわかれに泊っていた
麾下
(
きか
)
の士もかなりあったのである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『かような
手狭
(
てぜま
)
での……』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
狭
常用漢字
中学
部首:⽝
9画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭