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惱
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なやみ
安田佐々木兩人の
惡巧みと知る者なく斯
惱しは是非もなし然るに安田佐々木の兩人は充分
事調のひしと大いに喜び三千三百兩の金を
翌朝彼は
激しき
頭痛を
覺えて、
兩耳は
鳴り、
全身には
只ならぬ
惱を
感じた。
而して
昨日の
身に
受けた
出來事を
思ひ
出しても、
恥しくも
何とも
感ぜぬ。
這は
便なし、
心を
冷した
老の
癪、
其の
惱輕からず。
薔薇色の
裸形の
兒——
哀いかな——
或は
惱の
床に
燒け
爛れたる路の砂、
惱の
骸の葉とともに
傳へ聞く
彼の
切支丹、
古の
惱もかくや——
打ち
如何懷中育といへ
何故云々とは言ずして思ひ
惱し
愚さよ今まで
夜歩行一つせず親孝行な長三郎
設し氣に入し者あつて
素生正しく心立の
能者あらば
賤き勤の藝者にもあれ娼妓にもあれ又は
如何なる
身分よき人の娘は言も更なり
賤き者の娘なりとも金に
飽して
貰ひ取り
嫁に爲んと思ひしに今日
計ずも
氣に入た女を
して來た樣な物だと
吻き/\本町へ歸る
途中も長三郎思ひ
惱し娘がこと言はぬも
辛し言も又恥しゝとは
懷中育ちの大家の
息子の
世間見ず胸に餘て立歸るも
餘に
早しと思ふより如何したことと兩親が問ば
先刻音羽まで參りましたが
腹痛にて
何分心地惡ければ王子へ行ずに立歸りしと答へて
欝々部屋に入り
夜具引擔て
打臥しが目先に殘るは