志賀しが)” の例文
はなしを——或時あるときとんさんと一所いつしよえたことのある志賀しがさんがいて、西洋せいやう小説せうせつに、狂氣きやうきごと鉛筆えんぴつけづ奇人きじんがあつて、をんなのとはかぎらない
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
志賀しがに居る友達に相談して見るより外に道が無くなつた。牧野まきのさんこそは真実ほんたうに私の力に成つて呉れさうな人だ。私は一週間もそのことを考へた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そう音色ねいろ悲愁ひしゅうな叫び、または嘈々そうそうとしてさわやかに転変する笙の余韻よいんが、志賀しがのさざ波へたえによれていった——
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ワカタラシ彦の天皇(成務天皇)、近江の國の志賀しがの高穴穗の宮においでになつて天下をお治めなさいました。
中大兄皇子は、後に第三十八代天智てんぢ天皇とならせ給うたが、新政のために、新らしき都を選ばれる意味で、近江あふみ志賀しがに都し給うた。これが大津ノ宮である。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
志賀しが山越やまごえといふのは、むかしからうたにたび/\まれた、京都きようとから近江あふみえるところです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ささなみの志賀しが大曲おほわだよどむともむかしひとまたも逢はめやも 〔巻一・三一〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
舞台のうえに灼熱的しゃくねつてきな演技となって醗酵はっこうするのであったが、銀子も大阪から帰りたての、明治座の沢正を見ており、腐っていたその劇場で見た志賀しが淡海くらいのものかと思っていたので
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうの小舟を見つけだすとともに、それへ飛び乗ってをおっとり、粘墨ねんぼくのように黒い志賀しがうらなみを切って、いずこともなくげのびてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ささなみの志賀しが辛崎からさきさきくあれど大宮人おほみやびとふねちかねつ 〔巻一・三〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
野茨のばらにほひがしてて、自分じぶんみちそばに、ほとゝぎすのこゑのするところの志賀しが山越やまごえよ、といふのです。かういふふうつくりかへが、また短歌たんかうへにたびたびおこなはれました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
若帶日子わかたらしひこの天皇、近つ淡海あふみ志賀しがの高穴の宮にましまして、天の下治らしめしき。この天皇、穗積ほづみの臣等の祖、建忍山垂根たけおしやまたりねが女、名は弟財おとたから郎女いらつめに娶ひて、生みませる御子和訶奴氣わかぬけの王。
朝風あさかぜにうばらかをりて、ほとゝぎすくや うづきの志賀しが山越やまご
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
こころして吹け志賀しがうらかぜ
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
志賀しが浦風うらかぜ
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)