心當こゝろあた)” の例文
新字:心当
おもふに大佐たいさ暗夜あんやじようじて、ひそかにその部下ぶか引連ひきつ本邦ほんぽうをば立去たちさりしものならん、此事このこと海軍部内かいぐんぶないおいてもきはめて秘密ひみつとするところにして、何人なんぴとその行衞ゆくえものなし、たゞ心當こゝろあたりともきは
やがてくれるまでたづねあぐんで、——あかしの茶飯ちやめしあんかけの時刻じこく——神樂坂下かぐらざかした、あの牛込見附うしごめみつけで、顏馴染かほなじみだつた茶飯屋ちやめしやくと、其處そこで……覺束おぼつかないながら一寸ちよつと心當こゝろあたりが付いたのである。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
紀念かたみ同樣どうやうと云しも謂れあるすぢなりと思ひしかば忠八は膝を進め御亭主ごていしゆ只今の物語り拙者少し心當こゝろあたり有苦しからずば其印籠を鳥渡ちよつと拜見はいけんは成間敷哉と云に亭主は其は何よりやすき事なりとて下女をよびて其印籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なに此事このこといてお心當こゝろあたりはありませぬか。』と春枝夫人はるえふじんひかけた。
かう御存ごぞんじ是なきだんおほきけられ候と委細ゐさいに申上しかば大岡殿名主用右衞門へ對はれ此儀は何ぞ文藏へ意趣遺恨いしゆゐこんにても是ある者の心當こゝろあたりはなきやと申さるゝに用右衞門暫時しばらく考へ文藏儀は至て實體じつたいなる者ゆゑ意趣遺恨等いしゆゐこんとううくべき者に候は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
方々はう/″\心當こゝろあたりをさが𢌞まはつた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
呼出よびいだされ吟味ありしかどもとより知らざる趣き明白めいはく也然れども外に心當こゝろあたりの者やある種々しゆ/″\尋問たづねらるゝと雖も一かう心當りもなしと申に奉行所に於ても其身が殺して己が家の前におくはずは無ければ通仙にあらぬ事は知れながら本人ほんにんいでざるゆゑ所拂ところばらひとなりしかば通仙は是非ぜひなく京都へ引越ひきこし苗字めうじ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)